「京都で伝活!~私たち伝統産業を愛する活動はじめました~」 「プロが教える!お家で工芸品を飾るテクニック」

日々の暮らしに京都の工芸品を使って欲しい…そんな思いを持って、我が家で勝手に始めた活動「伝活」も、スタートさせてから長くなってきました。

「伝活」を綴った拙著「伝えたい!京都生まれの工芸品~私たち「伝活」はじめました~」(KLK新書刊)の出版を機に、これまでの「伝活」についてや、「伝活」の方法をお話しする機会も増えてきました。

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そこで、今回、おうちで「伝活」するポイントを具体的にご紹介したいと思います。

おうちで飾る工芸品 

飾るといっても、床の間や飾り棚がないと…と思われるかも知れませんが、そんなに身構えることはありません。動線の邪魔にならない、ほんの少しのスペースで大丈夫。探してみると、ここにも飾れそう…と思う箇所があると思います。


例えば玄関のシューズボックスの上や引き出しの天板。床にスペースがあるのならば、板を一枚敷いて、台を置けばスペースの完成。また、窓枠でも五センチほどの幅があれば飾りスペースができます。

日常に飾っているものに、年中行事にちなんだもの、季節の植物をモチーフにしたものを加えてみたり、海外から入ってきた文化や、成人式や還暦など人生の儀礼などに時々飾り変えると、新鮮味が出て気分が変わります。

窓枠に端午の節句飾り


最近は、百円均一などでも、飾りは種類、質と共に充実してきています。お子さんが作られたものを取り入れてもいいですね。飾りの全部を、工芸品にすることもないので、こうしたアイテムも交えて、飾られると良いと思います。

丸椅子に布を敷いて秋の飾り

第一のコツは「無理をしないこと」。

せっかく、やってみようと思っているのに、いきなり頑張りすぎると、疲れて嫌になってしまうので、それでは本末転倒。出来ることから、出来るときにやりましょう。なにごとも長く続けられる秘訣です。

飾り方のテクニック

飾り方を紹介していきましょう。基本的に自由に飾っていただければ良いのですが、なにか物足りないなと思われたときに、参考になさってください。テクニックは色々ありますが、私も百貨店のディスプレイでよく使う3つの方法を紹介。

  • 左右対称

中央に置く飾りを軸にして、左右対称に並べる方法です。中央には背の高いものを置き、両端に低い小物を飾ります。逆に、両端を高くして、真ん中を低くする方法もあります。比較的簡単に取り入れられます。

  • くり返し

同じ飾りを均一の幅にして、くり返し並べて飾る方法です。背の高さを概ね揃えておけば、色違いや形の違う飾りでも、統一感が出てリズミカルな心地よい飾り方になります。

  • 三角形


アイテムの高低差を利用して、三角形になるように並べる技です。上を頂点にした三角形はもちろん、逆三角形、頂点を左右どちらかに寄せた三角形にします。高さが足りない場合、置く場所の色に似た箱や板を置いて付け加える、壁面に吊るして高さを出すなどして、三角形になるように心がけると、美しく仕上がります。慣れてきたら、正面から見ても、上から見ても三角になるように並べると、より高度な仕上りになります。

おきにのうつわ流、飾り方の具体例



実際に飾ったものを例にして解説していきましょう。

①ひなまつりの飾り

場所…チェストの上

工芸品…京焼・清水焼製のひな人形

他アイテム…犬筥、和紙で作った桜橘飾り、グラス

飾り方…左右対称


ポイント…グラスの高さとバランスが合うように、白木の台をかさ上げしています

②祇園祭の飾り

場所…玄関

工芸品…京扇子・京陶人形・木版画・西陣織

他アイテム…山鉾ミニチュア・厄除けちまき

飾り方…三角形

ポイント…厄除けちまきを台に乗せて、より背の高い三角形になるようにしています

③お月見

場所…本棚

工芸品…京焼・清水焼

他アイテム…ガラスうさぎ人形、造花、月見団子ミニチュア

飾り方…三角形


ポイント…紙粘土で手作りした月見団子を飾っています

④クリスマス

場所…リビングの端

工芸品…京くみひも、京指物、京提灯

他アイテム…キャンドル、オーナメント

飾り方…くり返し

ポイント…メインのアイテムの高さは揃えるとスッキリとまとまります

例をご参考にしていただき、飾ってあるのを見ると、キュンとするような、そんなディスプレイをお楽しみください。

ですが、くれぐれも「無理はしないこと」が大切です。

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この記事を書いたライター

京都生まれ。祖父の代まで染屋を営み、親戚一同“糸へん”の仕事にたずさわる環境で育ち、学生時代はファッションを学び、ウェディング業界へ就職。そこで出会ったテーブルコーディネートに感銘を受け、後に食空間コーディネーターとして起業。京都の伝統産業の産地支援や、五節句や年中行事など生活文化を次世代に伝える活動を行っています。京焼・清水焼の卸売をする夫と夫婦ユニット「おきにのうつわ」を結成して、京焼・清水焼の魅力の発信や講演、展示会プロデュース、また陶磁器以外の伝統産業品のPRや観光業とのコラボなども手がけています。近年スタートさせた「伝活」では実際に京都の伝統産業品を愛でたり、使っている様子をSNSで紹介。
特非)五節句文化アカデミア 理事

|おきにのうつわ
食空間コーディネーター 工芸品ディレクター|うつわ/清水焼/伝統産業