全人類対応アジア料理研究家、京都カーストを語る ~わたし京都に50年しか住んでませんねん~

あるとき、カラフルなアイコンのお姉さまから京都メディア「Kyoto Love. Kyoto」のInstgramにメッセージがきました。「京都カースト記事やイケズ座談会にハマりました。何かあれば是非参加させてくださいね!」と。
「では、ぜひお話をお伺いさせてください!」と申し上げたところ、「京都住みまだ50年ですが、私が知る限りのことはお話しますよ」とお返事をいただきました。

住んで「まだ50年」……大変京都らしい言い回しです。「全人類対応アジア料理研究家」というはじめて聞いた職業のお姉さまである抜水みどりさんに、わたしは京都のお話を伺うことにしました。

▶京都カーストは本当に存在するのか ~立場から見た京都カースト~

▶京都の叡智が結集!「いけず座談会」

京都で体験した京都カースト

聞き取りはカラフルでかわいいお部屋にて行われました

KLK 抜水さんはいつから京都に住まれているのでしょうか?

抜水「短大からです。嵯峨美術短期大学でビジュアルデザインを学んでいました。独身の頃は妙心寺の近くに住んだりしていて、結婚してからは伏見区に住んだ後、西京区に家を建てました」

KLK キッチンスタジオは中京区に構えられていたんでしたっけ?

抜水「はい、室町六角です。『京都のどこなん?』って言われても室町六角って言ったら皆さん黙りますね」

KLK そういうの、ありますよね~!!(激しくうなずく)

抜水「スタジオを探していたとき、京都人の友達から『1mでも堀川から東に行き、そのかわり河原町より西やで!』と言われていました」  

KLK ひえ~!!

抜水 「『松原より下は八坂さんちゃうねん』とも言っていましたね」

KLK 氏子エリア的には、伏見稲荷や松尾大社になりますもんね。

抜水「いまのスタジオが丹波口にあるんですが、『丹波口か、まあ洛中やな』と」

KLK 「まあ洛中」なんですね、なかなか厳しいです。

▶結構あいまい…京都の「洛中洛外」とは?

抜水「でも、京都人はええ人ばっかりですし、仲良くなるとざっくばらんで面白く付き合えます。若い人でもご飯時は人の家に行かないようにするとか。ちゃんと常識をわきまえておられている印象です」

KLK 京都人、優しいですよね。優しくなかったら「いけず」をいう必要がないですしね。

抜水「わたしはシンガポールにも住んで現地の文化を学び、料理教室も開きました。京都が嫌なとこやったら50年もいてないんですよ。京都のことを愛してますし、海外に出ると日本の、京都の優しさに気づくことが多かったです」

KLK 海外と京都を行き来されている抜水さんが言うと説得力がありますね。それでは、抜水さんの活動についてもお聞きしてみたいと思います。

全人類対応アジア料理研究家と京都

抜水みどりさん

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全人類対応アジア料理研究家 抜水みどり
【略歴】
40年前に家族旅行で初めて訪れたシンガポールで、当地の食べ物にはまってしまい、その後、シンガポール、マレーシア、タイを訪れて料理を研究。
1995年より日本で東南アジア料理スタジオを15年主宰。
2010年に長年の夢である東南アジアに住みたい!!という思いが叶い、シンガポールで居酒屋のアシスタントマネージャー勤務の後、東南アジアと日本料理の株式会社を経営。マレーシアの航空会社AirAsiaX社のクアラル ンプールから関空初就航のハラール日本食機内食を製作、3年半のシンガポール在住を終えて2014年春、日本に本帰国。2015年東南アジア料理教室を京都市中京区で開始。
2016年より全人類対応の外国人向け日本料理教室と外国人向け喫茶店ツアーを開始。
2024年より京都市下京区のJR丹波口駅から徒歩5分の町家スタジオで対面料理教室再開。

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KLK 抜水さんはシンガポールと京都を行き来しながら料理教室をされてきたんですね。すごいバイタリティです!

抜水「シンガポールにはじめて行った頃はインターネットも普及していませんでしたから、日本シンガポール協会に情報を頂いて少しずつ調べました」

KLK シンガポールでも料理教室をされていて、2014年に京都に戻ってこられたんですね。

抜水「そうなんです。日本に帰ってきたらインバウンドが始まってて。『ハラール料理』が分からなくて日本は大騒ぎしていました」

KLK ハラール料理は、イスラム教徒の方が食べることができるイスラム法において合法な料理のことですね。

抜水「それからハラール料理のコンサルタントになりまして、翌年に室町六角で東南アジア料理の教室を開きました。インバウンドの方の目的が観光や買い物だけでなく『体験』にシフトしていっていたので、外国人向けの料理教室のニーズがあったんです」

KLK なるほど!インバウンドの需要はこの頃から高まっていたんですね

抜水「海外に出てから、日本・京都の優しさや気遣い・おもてなしの心に気づき、これを仕事にできないかと考えました」

KLK 素晴らしいですね。海外のイメージが強かったんですが、京都ならではの仕事だったんですね!

抜水「わたしは『全人類対応』と謳っていますが、どんな方にでも合った料理を作る自信があります。
例えば南アフリカからお越しの大人数でお越しのお客様が、事前にアレルギーの有無をお聞きしていたはずなんですが、お料理を並べて食事が始まる時にお一人のお客様から大豆アレルギーなんだとお聞きして、私は食べないとおっしゃるので、数分待ってくださいと お願いして、お味噌汁をナンプラー味に変更しておすましを作り、巻き寿司のお醤油をナ ンプラーに変更して皆さんでお食事をして頂きました。
ひとつのテーブルで色んな人種の方が楽しく食事ができるのが、わたしの夢なんです」

KLK 良かった!臨機応変な対応、すごいです。いままでのキャリアでのノウハウと思いやりですね。

抜水「他にも、外国人向けの喫茶店ツアーをやっています。お客様には必ず『あなたは京都で何したいの?』と聞き、簡単なカウンセリングをしているんです。その後は喫茶店じゃなくてもお客様に合ったお店にお連れすることもあります。ツアーも料理教室も、帰るときはハグをして別れるくらいなんですよ」

KLK 旅行代理店みたいですね!すごく親切な対応が伝わってきます。
「全人類対応アジア料理研究家」は、京都の思いやりありきの存在なんですね。本日は、取材させていただき有難うございました!

抜水「いえいえ。おなか空きませんか?ちょっと待っててね」

KLK !???

抜水「まずはお椀に酢と醤油と高菜を入れます。そして熱い豆乳を注いで……」

KLK え?もしかして作ってくださってます???

抜水「できました!さあ、いただきましょう」

ということで、取材後にすごい速さで台湾の「シェントウジャン」スープを作っていただきました。とっても美味しかったです。

終わりに

この後、抜水さんが制作された食品サンプル(上画像)も見せていただきました。ここに書いた3倍は様々なお話があったのですが、まっすぐな生き方と情熱にもうびっくりです。生き生きしていて、おしゃれで、とても素敵なお姉さまでした。
それにしても、こんなに海外にぽんと行ってしまう方が、必ず京都に帰ってくるということが嬉しかったです!

スタジオに飾られていたMAYA NUKUMIZUというアーティストの油絵がかっこいい!実は娘さんなんだとか。元気な空間にぴったりでした。

TOP | MAYA NUKUMIZU
抜水摩耶の公式ウェブサイトです。
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この記事を書いたライター

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