いよいよ幕を開けた2020年オリンピックイヤー。日本で開催されるのは56年ぶりの国家的大事業ですが、同じ56年前に京都でも大事業がありました。1964年12月28日、京都市下京区の地でお披露目した京都タワーの開業です。本稿は上京下京特集の記事ではありますが、下京区というより京都を代表するランドマーク・京都タワーにまつわる7つの「?」をとりあげてみたいと思います。
七不思議その① ロウソクがモデルなの?
すぐそばに東本願寺があることから「お東さんのロウソク」とも呼ばれる京都タワー。その白く細長い形から京都らしくお寺のロウソクをイメージして作られたと思われがちですが、意外にもそのモデルは灯台。京都市には海がないのになんだか不思議ですよね。京の街を見守るという意味から灯台がモチーフになったとか。灯台といえば海、海といえば波。京町家の瓦ぶきは、さざ波を見立てているそうで、その想像力に感服です。
七不思議その② 高さの由来は?
京都タワーの高さは131m。もちろん京都市で一番高い建物です。では、どうして131という数字に決まったのでしょうか。ちなみに、東京スカイツリーの634mは江戸の旧名である武蔵=「ム・サ・シ」の語呂が由来ですが「131」には特に見合う語呂もありません。かといって、テキトーに積みあげたら131mになった訳でももちろんなく、ある理由から決められたのでした。
京都タワーの開業は、前回の東京オリンピックと同じ1964年。そのときの京都市の人口が131万人であり、タワーの高さの由来はここにあるそうです。おそらく当時は「京都市民131万の夢をタワーに託して…」みたいなコピーが踊っていたのではないかと思うのですが、今となっては「へぇ~」というよりは「ふ~ん」ですよね、はい。
七不思議その③ 市民は建設に反対していたってホント?
市民にとっては景色のようにあたり前に存在している京都タワーですが、建設計画時は反対デモまで行われるほど抗議が殺到したそうです。いわく「古都にふさわしくない」「景観を損なう」だとか。ひどいものになると「応仁の乱以来の京都破壊」「卑俗な観光塔」などといわれたり、「京都に東寺・五重の塔を超える高い建物を作るとタタリがおこる」という都市伝説まがいのトンデモ説まで飛びだす始末だったそうです。ちなみにフランスのシンボル・エッフェル塔でも最初はモノすごい反対運動があったそうです。いつの時代も新しいものには反発があるものなんですね。
七不思議その④ 京都市最高峰のパワースポット?
京都タワーのゆるキャラマスコット・たわわちゃんをご祭神にまつっているのが「たわわちゃん神社」です。地上100mに鎮座するこの神社は、京都市街で一番高いパワースポットでもあります。神様ってふつう天高くにいらっしゃるもんですよね。ということは神様により近い位置にある神社ほどご利益があるということになります。(注:編集部解釈)。ちなみにたわわちゃん神社には、下鴨神社とのコラボにより縁結びのご利益があるそうです。カップルでタワーからの夜景を観たあとに縁結びの神社にお参りってロマンチックですよね。神様はゆるキャラですが。
七不思議その⑤ バチあたりスポット?
京都タワーの展望台は360°のパノラマビュー。東寺、清水寺、本願寺、知恩院、八坂神社etc…日本を代表する寺社仏閣をこれだけたくさん見渡せるのはココ京都タワーだけ。でもよく考えるとこれって、めちゃバチ当たりなことでもあるんです。要するに神さま仏さまを上から見下ろしているということ、今風にいえば「上から目線」てことですよ。人間同士でも「上から目線で何様のつもり?」などとモメ事のタネになるのに、おそれ多くも神さま仏さまにむかって上から見下ろすとは、まさしく神をも恐れぬ行為なわけです。ま、そんなこと言っちゃ身もフタもないのですが…。タワーから神社やお寺を眺めるときは「神さま仏さま、ごめんなさい」と気持ちは下から目線でつぶやくようにしましょう。
七不思議その⑥ 京都タワーには鉄骨がない?
京都タワー独特の円柱は、日本を代表する建築家・山田守氏がデザインし、京都大学工学部が設計しました。最大の特徴は鉄骨を使っていないってことです。厚さ12mm~22mmの特殊鋼板シリンダーを溶接でつなぎ合わせて作られました。日本で初めてモノコック構造を採用し、地震や台風などの災害に備えて、一般の建築物がもつ設計安全率の2倍以上の値を想定し設計にあたったのでした。えっと私は文系男子なので、意味わからずに書いてます。なんにしても阪神大震災では震度5強の激しい揺れにも損害はまったく無く、その安全性の高さを証明しました。念のためですが、これは意味わかって書きました。
七不思議その⑦ 京都タワー七変化?
昼間は青空を背にその白さがまぶしい京都タワーも、黄昏どきになるとライトアップされ、駅前を行きかう人々を優しく照らしてくれます。でも実はライトアップの色は白だけじゃないってご存知でした?市民にさまざまなメッセージを伝えるために、京都タワーは時どき衣替えをします。乳がん検診を促進する「ピンクリボンキャンペーン」のシンボルとして淡いピンク色にお色直しすることは、割りと知られてきましたよね。
他の例をあげますと、
・世界禁煙デー イエローグリーン
・DV抑止 パープル
・子宮頸がんの促進 ティール&ホワイト
・児童虐待防止 オレンジ
そして、環境への取組みとして毎月16日にはライトアップならぬライトダウンをしています。
さらに、個人でも有料で好きな色にライトアップさせることができます。プロポーズなどサプライズにいいですよね。でも万一「ゴメンナサイ」されたら、京都タワーを見るたびにブルーな思い出がよみがえってしまうので、自信のある方限定プランですね。
いかがでしたか。建設当時の猛反対を乗りこえ、今ではすっかり京都の顔として定着した京都タワー。私は出張や旅行で他府県から帰ってきたときに京都タワーを見ると「ああ、京都に帰ってきたんだな」と、なんだかホッコリします。このように京都の玄関として、市民には「お帰りなさい」、観光客には「ようこそいらっしゃいませ」と迎えてくれる京都タワーは、これからも京都のシンボルとして街を見守り続けてくれるでしょう。
(編集部 吉川哲史)
<オマケ>
七不思議とは関係ないのですが、池に映る京都タワーを見られる穴場スポットをご紹介します。