そこへ現れた男の亡霊。

そこへ現れた男の亡霊。

小町に好意を抱き、「百夜通い」を行いながら思いを遂げられずに死んだ、深草少将の怨霊でした。

小町に好意を抱き、「百夜通い」を行いながら思いを遂げられずに死んだ、深草少将の怨霊でした。

僧は、懺悔のために「百夜通い」の様子を演じて見せるようにと言います。 その時の思いを狂おしく再現してみせる少将。

僧は、懺悔のために「百夜通い」の様子を演じて見せるようにと言います。 その時の思いを狂おしく再現してみせる少将。

僧の見守る中、

僧の見守る中、

やがて二人は成仏していきます。

やがて二人は成仏していきます。

初めて撮影する薪能でしたが、お寺の方丈で拝見するとまた一味違う雰囲気が味わえます。
一休禅師と能の関わりを思えば、さらに興趣深いのではないでしょうか。

私は、能そのものには、あまり接点がありません。しかし、能から影響を受けたり、共通する題材を扱ったりする祭事、芸能には何年も親しんでおり、いわば隣り合う分野のように感じていました。
たとえば、能の「土蜘蛛」は、そのまま念仏狂言の演目にもなっています。また、六斎念仏の獅子と土蜘蛛の曲にも、影響が見られます。能が源流となって、各民俗芸能へ波及しています。

今回上演された「通小町」は、深草少将の百夜通いの逸話を下敷きにしていますが、小町ゆかりの地、小野の随心院で、3月に行われる、はねず踊りは、まさにこの百夜通いを題材として作られたものです。
はねず踊りに出てくる百夜通いは、小学校の女の子たちが歌うこともあって、可愛らしく描かれていますが、通小町で描かれる深草少将の怨みの深さは、とても生々しい…などと対比させながら見ると、とても面白く感じられました。
こんど、市原の小町寺へ行くときには、この演目で見たことを思い出すでしょう。能をひとつ拝見したことで、今まで触れてきたものがさらに重層的に繋がっていきます。

いつか、念仏狂言では見ている土蜘蛛を、能でも拝見したいと思います。撮影もできればなお良いのですが。

なお、一休寺薪能は毎年9月中旬に実施されますが、日にちは年によって変わります。
興味を持たれた方は、一度お寺にお問い合わせください。

酬恩庵 一休寺

電話:0774-62-0193

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三宅 徹

三宅徹
写真家。京都の風景と祭事を中心に、その伝統と文化を捉えるべく撮影している。やすらい祭の学区に生まれ、葵祭の学区に育つ。いちど京都を出たことで地元の魅力に目覚め、友人に各地の名所やそれにまつわる歴史、逸話を紹介しているうち、必要にかられて写真の撮影を始める。SNSなどで公開していた作品が出版社などの目に止まり、書籍や観光誌の写真担当に起用されることになる。最近は写真撮影に加えて、撮影技法や京都の歴史などに関する講演会やコラム提供も行っている。
主な実績:京都観光Navi(京都市観光協会公式HP) 「京都四大行事」コーナーほか
     しかけにときめく「京都名庭園」(著者 烏賀陽百合 誠文堂新光社)
     しかけに感動する「京都名庭園」(同上)
     いちどは行ってみたい京都「絶景庭園」(著者 烏賀陽百合 光文社知恵の森文庫)
     阪急電鉄 車内紙「TOKK」2018年11月15日号 表紙他
     京都の中のドイツ 青地伯水編 春風社
               ほか、雑誌、書籍、ホームページへの写真提供多数。
Facebookページ: きょうのいろ”Colors of Kyoto”
https://www.facebook.com/colorsofkyoto/

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