京都生活と、子育てと、私

 はじめまして!「コドモト」という団体の代表をしています、山本安佳里と申します。

こども=未来です。こどもの延長線上に未来が延びていきます。未来を担う子どもと、町と、様々なことをつなぎたいという想いで活動しています。
 私は北海道札幌市出身で、5年前に東京から京都へ夫と( お腹に5ヶ月の子と) 移住してきました。初めての関西、初めての妊娠、京都という憧れの土地で始まった新生活に、ワクワクして荷解きをしていたのも束の間、引っ越しから2ヶ月足らずで「切迫早産」になり、外出禁止の寝たきり生活が始まりました。お風呂にも入れず、食事も寝たままする生活が数ヶ月、、、ようやく我が子に出会えたのは3月の桜の花が綺麗な時期でした。

 私の暗く苦しい冬の時間が終わり、溢れるような光と鶯の声、わっさわっさと豊かに揺れる桜の花、ホニャホニャの可愛い我が子の存在、世界中から「よく頑張ったね!おめでとう!」と祝福されている様な幸せな気持ちになったことは、忘れられない京都の春の景色です。

 赤ちゃんも外に出せるようになった辺りから、色々なワークショップに参加し始めました。その中で出会った母たちと「赤ちゃんと一緒 京都おでかけ手帖」という、キッズウェルカムな場所やイベントを紹介するガイドブックの出版に携わりました。京都に知り合いはほぼ無く、土地勘もなかった私は本の取材を通して、京都のまちを少しづつ知り、当初思っていた観光地としての「The 京都」とは全く違う魅力も、子どもと一緒に日々感じてきました。

書店で並ぶ「あかちゃんと一緒 京都おでかけ手帖」

書店で並ぶ「あかちゃんと一緒 京都おでかけ手帖」

子連れで外へ出る、透明なハードルの存在

 おでかけ手帖の取り組みで、子連れウェルカムな場所は京都にも沢山あることが分かりましたが、自分の実体験を通して、子連れでのハードルが高い場所は幾つもあることにも気づきました。

 我が子4ヶ月、初めての京都の夏。「祇園祭ってやつに行ってみたいと思ってる」と周囲の母達に伝えると、8,9割くらい確率で「あそこは子連れが行く場所じゃないよ! すごい人混みって知ってる?無理だよ。」と。しかし私は日本三大祭りの一つ、動く美術館、、、見てみたい好奇心の方が大きくなり、周囲の忠告は無視して、宵々々山くらいの午後~夕方にかけて出かけました。事前知識はほぼゼロで、ただただ山鉾のスケールの大きさと、動く美術館の意味が納得!な豪華な設え、一千年以上前からあるお祭りを繋げ続けている保存会の方の背中が格好良いこと!!!なぜ、母たちはこれを子どもたちに”敢えて”見せないのか!?避けるのか!?の疑問と同時に、まだまだ土地勘のない新米母な私は、どこで授乳したら良いのかも分からないし、ちょっと腰をおろして休める場所も見つからず、たいした範囲も回れずに、ヘロヘロになって帰宅しました。

4 ヶ月の娘と初めての祇園祭

4 ヶ月の娘と初めての祇園祭

 行きたい場所に行きにくい、行けたとしてもシンドい・周囲の視線が気になる、ならば行きやすいところだけ選択して出かけよう。これは私の知的好奇心がどんどん削がれていくような感覚になり、モヤモヤが沢山生まれてきました。祇園祭が子連れで行く場所じゃないと云われたことも相まって、子連れが行きやすい場所にだけ足を運んで集い、社会から隔離されて子育てする、を繰り返していると、親子の知的好奇心や文化活動参加は減少し、行く末は文化の衰退も招きかねない!と一人で危機感を覚え、居ても立ってもいられなくなり「コドモト」という任意団体を立ち上げるに至りました。

1 歳4ヶ月の祇園祭。休憩できる場所が少ないことを痛感

1 歳4ヶ月の祇園祭。休憩できる場所が少ないことを痛感

こども=未来です

 コドモトという名前には、「子どもと共に、一緒に」「子どもto(子どもへ向けた)」「こども+〇〇」という意味を込めました。こどもは未来を体現する存在です。私たちが先人から受け取って、何気なく日々の営みの中で役立てている、生活の知恵・美意識・文化・芸術、心の拠り所の元となる「種」を次の世代に繋げなくては、そのまた次の世代には繋がって行きません。目の前にいる子どもたちと一緒に起こすアクションは、孫たちが居るであろう、100年後くらい先までは影響を及ぼすことが出来るはず。子どもと一緒に行動したい!京都は町全体が、博物館で、美術館で、学び場で、遊び場です。そんな豊かな土壌で子どもと色んなものを繋いでいきたい、子どもと共に京都の土に根付いた文化やお祭りを捕まえていきたいと思っています。

過去、現在、未来

過去、現在、未来

子どもたちが未来へ荷物を運びます

「種」を次の世代に繋ぐ

「種」を次の世代に繋ぐ

子どもと、まちと、文化を繋ぎたい

 私たち主催の、「こどもと行こう!祇園祭」という取り組みがあります。2017年に第1回目を立ち上げました。

1150年続くお祭りを、この先100年・1000年後も続けられるものになるよう、京都の親子がもっと積極的に祇園祭へ向いてもらいたいなぁという想いと共に。先にも書いた、私の祇園祭での経験から、第1回目は「こどもステーション」という赤ちゃんこどもの授乳やオムツ替え、休憩ができる場所を山鉾町周辺に23箇所設置し、歩き方アドバイスを発信しました。こどもたちが来ても良いんだよ~の雰囲気を生み出そうと企画し、多くの方の協力や支援のお陰もあり、沢山の親子が感謝の言葉を口にして利用がしてもらいました。

が、終わってからモヤモヤが生まれていました。実際の子どもステーション利用者はそもそも祇園祭はよく知らず、「大きな夏祭りに遊びに来た、露店が楽しみ」という方が大多数だったからです。それも祇園祭の魅力の一つになってることは確かです。しかし観光客が年々増加して、宵山は人で溢れかえり、行き場のない疲れた親子が路上に居るのも事実、ここを救済する支援を起こしても、それはマイナス要素がゼロに向かうくらいで、こどもステーションだけでは祇園祭自体のボトムアップには貢献できない、「種」を先に繋ぐことにはならないなぁと感じました。

「こどもステーション」での様子

「こどもステーション」での様子

「こどもステーションMap」を路上で配布

「こどもステーションMap」を路上で配布

 そこで、2019年からは祇園祭を「リアルに感じる」ための体験型のワークショップを増やしました。「ちまきって なに?」では、左京区に本部を置く「チマキザサ再生員会」の方の案内で花背にあるチマキザサ保護区へ見学へ赴き、チマキザサの置かれている現状を知るところから始めました。子ども達とちまき入れ・売りを保存会の方と一緒にさせてもらう機会を生み出し、「お神輿ってなに?」では八坂神社へお神輿3基を見に行くツアーや、スサノオノミコト一家の話をガイドの先生も交え行う等、ワークショップを数本実施しました。また、「祇園祭ってなに?」という絵本の様な冊子も作成し、そもそも祇園祭はどんなお祭りなのかということを、こどもでも分かるように制作し配布いたしました。

チマキザサ保護区の見学

チマキザサ保護区の見学

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山本 安佳里

1984年札幌市出身。デザイナー/ プランナー/ コドモト 代表/ 二児の母。
多摩美術大学・生産デザインプロダクトデザイン学科卒業。
メーカーのデザイン、デザイン事務所にて従事し、2015 年より「AKARI DESIGN」開始。
ブランディングやディレクション、グラフィックデザイン、プロダクトデザインと多岐に渡り活動中。
2014年より京都へ移住し出産。
自分自身が母になったことをきっかけに、「こども=未来」だと実感し「コドモト」を立ち上げる。
未来を担うこどもと一緒に文化・伝統・芸術を繋ぐ場をデザインすべく、多様な価値観を育んでいけるカタチを日々模索中。
「こどもと行こう!祇園祭」主催。

           

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