数年前にスターバックスが鳥取県に出店し全国制覇を果たしたとき、「スタバはないがスナバはある」の名言(?)とともに、ちょっとしたニュースになりました。さて、京都市には2020年1月末現在29店ものスタバが出店していますが、市内で店舗がないのは上京区と西京区だけです。さらに驚きの発見をしてしまいました!上京区にはスタバだけではなく、ドトール、コメダ珈琲、タリーズ、ベローチェ、ホリーズなどいわゆるチェーン系カフェがただの一軒もないことが判明しました。もしかして編集部の独占スクープかも?
 

データが示す上京区カフェゼロの実態

まずは別表①をご覧ください。京都市の行政区別カフェ店舗数です。一目瞭然ですよね、上京区には清々しいまでに「ゼロ」が並んでいます。ALLゼロは上京区のみ。ひょっとして上京区民はカフェ難民なのでしょうか。いいえ、もちろんそんな訳ではありません。こう見えても私、趣味がカフェめぐりなので、上京区にもおいしいコーヒーが飲める店、鴨川ほとりの眺めのいい店、趣味性の高い店など、いろんなカフェがたくさんあることを知っています。でもやっぱり上京区民からすれば、こんなデータを見せられると「なんでやねん?!」と言いたくなりますよね。

 

スタバに突撃取材を敢行

そこで○○ナイトスクープのごとく、スターバックス本部に電話で突撃取材を試みました。快く応じていただいたその回答は「なかなか条件に合致する場所がなく、ご縁がなかった」とのことでした。ちなみにその条件は社外秘だそうです、残念。今後のご縁に期待ですね。結局、「上京区にはなぜチェーン系カフェがないのか?」問題はナゾのままです。そこで、スタバを例に私なりの仮説を立ててみることにしました。
 
 

人口が原因?

まず考えられるのが「人口が少ないから」説です。別表②のとおり、たしかに上京区の人口は少なく、市内11行政区中の9位にすぎません。しかし、1㎢あたりの人口を示す人口密度では3位にランクしており、むしろ集客ポテンシャルは高いはず。やっぱり「なんでやねん?」です。次に立地の観点から見てみましょう。スタバが出店するのは、駅近や駅ナカ、そして繁華街やビジネス街、また少し離れたところであれば駐車場が確保できるところが多いですよね。では上京区はどうでしょうか。区内にある2つの駅、今出川駅も丸太町駅もターミナル駅というほどではありませんし、繁華街やビジネス街といえるほどのストリートもありません。そして、もうひとつ。実は北区と左京区もスタバが1~2店と少ないエリアですが、北区にはビブレ、左京区には洛北阪急スクエア(カナート)があり、その施設内もしくは隣接のような形で出店しています。そうです、「上京区にはショッピングモールなどの大型商業施設がない」ということです。これらをまとめると、人口そのものよりも「人が密集している場所の有無」が基準なのではないかという結論に達しました。
 
 

上京区の真髄ココにあり

そこで上京区で該当する場所を思い起こしてみましたが、春秋の御所の一般公開か、毎月25日の天神さんの縁日くらいでしょうか。うーん、残念ながら上京区は条件から外れているようです。しかし、私はここに上京区らしさが表われていると思います。人の密集とは、よくいえば賑わい、悪くいえば「人混み」です。御所が鎮座し茶道の家元が立ちならぶ上京区は「凛とした佇まい」が街の色ともいえます。スミマセン、いちびって意味もわからずに難しい漢字を使ってしまいました。辞書で調べたところ「静けさの中にも存在感があること」だそうです。えっと、ようするに上京区に人混みは似合わないのです。

一方で地図を見ればわかるように上京区は京都市のほぼ真ん中に位置し、郊外といえる場所はありません。つまり、上京区は「京都の中央でありながら静寂を保つ」という相矛盾する2つを内包しているわけです。雅なる公家文化を受けつぐ街・上京区の真髄がここから見えてきます。その特性を考えるとカフェがないのも頷けますよね。ちなみに上京区と対をなす下京区には、市内最多の10店のスタバを含む24ものカフェが出店しています。さすがは商工の街・下京区。こんなところにも上京と下京の対比が見られて面白いものですね。

では、結びに一句。

「一杯の 珈琲が語る 洛中洛外図」 

文字数があってないうえに、季語もない!
お粗末でした。

(編集部 吉川哲史)

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