写真は北区の半木の道。北大路~北山間の賀茂川東岸にベニシダレザクラだけの並木があります。ベニシダレの並木としては一番大きいと思います。

 もっとも有名なのはやはり左京区の平安神宮でしょう。東神苑の泰平閣を彩るようにベニシダレザクラが咲き誇ります。その他、北区の上賀茂神社、常照寺、正伝寺、原谷苑、左京区の三千院、妙満寺、圓光寺、東山区の智積院、養源院、右京区の妙心寺退蔵院、龍安寺、二尊院、中京区の二条城、下京区の仏光寺、西京区の正法寺、勝持寺、善峯寺、伏見区の城南宮などでベニシダレザクラを見ることが出来ます。

 見頃の目安ですが、ソメイヨシノから遅れること4日~7日ほど。うまく行けば両方咲いている場面も見られます。
 

6.遅咲きグループ

 ベニシダレが満開~下り坂を迎える頃、遅咲きの桜たちが出番を迎えます。

 写真はヤエザクラ。遅咲きの品種の中では比較的知られていると思います。京都では、早咲きの品種よりも遅咲きのほうが数も多く、花の形も個性的なものが多いように感じます。色味もピンクとは限らず、緑色の花が咲くギョイコウや、黄色い花が咲くウコンザクラなど。そういえば、造幣局通り抜けも遅咲きの桜で有名です。

 いちばん人気を集めるのは仁和寺のオムロザクラでしょう。これが満開になると京都の桜は終盤、と言われたりしますが、その後も、たくさんの遅咲き品種に出会えます。植わっている場所も多く、ソメイヨシノが散った跡にヤエザクラなどが咲くと、また違う風景を楽しめます。

遅咲き品種はとにかく多いので、全て挙げきれず、品種も確定しにくいのですが…

 上京区では京都御苑、本満寺、堀川の東沿い、千本釈迦堂、千本えんま堂、雨宝院、平野神社、妙蓮寺、中京区の高瀬川一之船入、左京区の鞍馬寺、実光院、宝泉院、寂光院、右京区の梅宮大社、虚空蔵法輪寺、蓮華寺(仁和寺の東隣)、南区の六孫王神社、東寺、山科区の勧修寺、西京区の正法寺、大原野神社。

 このあたりでしょうか。

 見頃の時期は、早くても4月10日頃。遅い年なら20日以降になることもあります。
 

まとめ

 桜の品種はたくさんありますが、ソメイヨシノを基準に、それより早いシダレザクラ、遅いベニシダレザクラ、我が道を行くヤマザクラ、と覚えて置いてください。温暖化が進むとしても、現状では、開花の順番までは狂わないと思います。あとは、出掛けた先で特徴のある品種を覚えていけばいいのです。

 いまは早咲き品種が見頃を迎えており、(2020年3月2日現在)つぎはシダレザクラが開花していくでしょう。これを読んだ皆さんがシダレザクラの見頃に出会えるように、ひとつコツをお伝えします。

 京都で、ソメイヨシノ開花速報が出たときには、よほど寒の戻りが無い限り、シダレザクラはすでに見頃入りしている可能性が高いです。特に、京都御苑の近衛邸跡と出水桜、平野神社の魁桜などは、そうです。

 では、ソメイヨシノ開花日はいつか。これが難しいのです。

 じつはソメイヨシノなどの花が咲くためには、一定の暖かさだけでなく、寒さも必要なのです。休眠打破、といいます。寒さが足りていると考えるかどうかが、ポイントです。

各社とも、記録的な早さで開花すると予想しています。

しかし、気象予報会社ではないのですが、ソメイヨシノ開花予想日を平年よりも遅く、3月31日と予測しているホームページがありました。

Qnewニュース(くにゅーニュース)です。

低温度の時間が何時間あったかを計算した結果、寒さが不足しているので、休眠打破が遅れたという結論です。こちらも、説得力を感じますね。

桜開花の予想だけでもこれだけ難しいのです。特に、今年は近年にない暖冬だったので、詳しい人たちも、ああでもない、こうでもないと悩んでいることでしょう。

世に 桜のなかりせば、でしょうか。

どちらにせよ、あと3週間ほどで結果はわかります。

こまめに開花速報を確認していれば、見逃すことはないと思います。もし開花がずれてしまったら、早咲き、遅咲きの桜を愛でたりすればいい…と考えれば少し楽しくならないでしょうか。

2020年も、京都の桜を楽しみましょう。
 
 

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この記事を書いたKLKライター

写真家
三宅 徹

 
写真家。
京都の風景と祭事を中心に、その伝統と文化を捉えるべく撮影している。
やすらい祭の学区に生まれ、葵祭の学区に育つ。
いちど京都を出たことで地元の魅力に目覚め、友人に各地の名所やそれにまつわる歴史、逸話を紹介しているうち、必要にかられて写真の撮影を始める。
SNSなどで公開していた作品が出版社などの目に止まり、書籍や観光誌の写真担当に起用されることになる。
最近は写真撮影に加えて、撮影技法や京都の歴史などに関する講演会やコラム提供も行っている。

主な実績
京都観光Navi(京都市観光協会公式HP) 「京都四大行事」コーナー ほか
しかけにときめく「京都名庭園」(著者 烏賀陽百合 誠文堂新光社)
しかけに感動する「京都名庭園」(同上)
いちどは行ってみたい京都「絶景庭園」(著者 烏賀陽百合 光文社知恵の森文庫)
阪急電鉄 車内紙「TOKK」2018年11月15日号 表紙 他
京都の中のドイツ 青地伯水編 春風社
ほか、雑誌、書籍、ホームページへの写真提供多数。

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SNSなどで公開していた作品が出版社などの目に止まり、書籍や観光誌の写真担当に起用されることになる。
最近は写真撮影に加えて、撮影技法や京都の歴史などに関する講演会やコラム提供も行っている。

主な実績
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しかけに感動する「京都名庭園」(同上)
いちどは行ってみたい京都「絶景庭園」(著者 烏賀陽百合 光文社知恵の森文庫)
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