コロナウイルス感染による外出自粛の逆境の中、こんな時だからこそとお客様のこと、共に働く仲間であるスタッフのことなど、お店のあり方を考えるキッカケにしている飲食店があります。そんな飲食店経営者の1人、魚とお酒が自慢の「居酒屋あんじ」をはじめ京都市内3ヶ所で居酒屋を経営されている中谷安志社長に仕事への想いを綴っていただきました。京都で働く「職業人の誇り」。これもKyoto Loveの1つです。

 

営業すべきか休むべきか、それが問題だ。

「誇りをもつ」私たちの経営理念です。居酒屋の経営者として食の仕事に携わるということは、伝統的な日本の食文化の一端を担っているんだという誇りを胸に刻んでおります。

「それは誇りを持てる行動か?思考か?」日々、スタッフに問うている言葉です。しかし、今はこの言葉を自分自身に幾度も言い聞かせている毎日です。

「営業すべきか?」「休むべきか?」
毎日毎日、何度も何度も考えました。

コロナ感染の影響で売上は平時の15%以下に落ち込んでいます。それでもスタッフの雇用を守ることは、経営者の使命だと考えています。そのためにはお店を続けるしかありません。同時に社員スタッフ、そしてアルバイトさんの安全を優先して考えないといけません。そんなさまざまな葛藤と戦いながら、今回の営業時間と営業形態の変更を決めました。

今、私にできること 

この状況で、私たちが商売をさせていただいている使命は何かとあらためて考えました。食を通じてお客様に喜んでいただくこと、笑顔の場を提供すること。それが私たちの仕事だという原点に至りました。そこで、食卓での団欒づくりに、家事の軽減に、スーパー混雑の緩和に、オフィスでの憩いに、少しでもお役立ちできればとお持ち帰りメニューの工夫をしております。

また、私の知人を通じて、我々テイクアウトサービスを行なっている飲食店と、お客様を結び付けるFacebookやホームページを立ち上げてくれています。これから、お客様の利便性が向上する改善がなされ、飲食店ならではの味がより身近になってくれたら私たちもうれしい限りです。

よろしければ下記のURLをご参照くださいませ。

飲食人の生き甲斐  

コロナ渦中であらためて痛感すること。それは「スタッフは社員の前に一人の人間である」ということです。「何の意味もないこと」をやり続けないといけない。「何の反応もない」「何の役に立っているのだろう?」と思いながら時間が経つのを過ごす日々ほど辛いことはありません。人として、飲食人として「誰かが喜んでくれている」「役に立てたかな」と思える仕事をしているだけでやりがい、いえ生き甲斐を感じます。その生き甲斐が目の前の不安を少しでも忘れさせてくれ、同時に未来に希望が持てるのです。

私たち飲食店も苦境を強いられていますが、お客様にとっても自粛生活が続く中、お子様が学校にいけない環境など、ストレスが爆発寸前な日々を過ごしておられる方も多いはず。一旦収束したとしても、完全に「終息」するまでには、まだまだ自粛生活が続くかもしれません。

だからこそ、少しでも家族が食卓に集まり笑顔で今日あったことを話し「明日はこんなことしようよ」「これ美味しいね」「あのお店のこんな料理をWEBで見たよ」って笑顔で話せる時間を作っていただけるお手伝いができればと思います。今回のコロナ騒動で、お店のあり方をあらためて見直すキッカケにしたいと思っています。

最後になりますが、コロナ感染の一日も早い収束を願い、お客様と笑顔でお会いできる日をスタッフ一同楽しみにしております。それでは皆さま、どうぞお静かに、お元気で。

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この記事を書いたKLKライター

有限会社あんじ代表取締役
中谷 安志

 
子どもの頃の夢は「コックさん」。
毎日食卓に並ぶ、たくさんの母の手料理に影響を受け、料理が好きになりました。
また、当時子どもだった私にとって、親戚との外食は特別なもの。
美味しい料理とわくわくする雰囲気にいつも胸を躍らせていました。
しかし、進学を重ねるうちに、いつの間にか決められたレールに乗っている自分がいました。
このままでいいのか...挫折をきっかけに、自分が本当にやりたいこととは何かに気付き、自分の道を歩き始めました。
その後、飲食店のオープンや、中央卸売市場での魚の仕入れなど自分が思いつくことに挑戦していました。
理想を追い求めるも時間だけが過ぎていく日々。
いつの日か、家族を食べさせることに、生きることに精一杯になり、「いつか独立する」という想いに満足していました。

このままではいけない!と自分を奮い立たせ、34歳で初めて本格的に包丁を握る。
コックを夢見て26年越しの決心でした。

そこから数年。
様々な困難を乗り越え、今もあんじグループは前進しています。
足を運んでくださるお客様、一緒に店づくりをしてくれるスタッフ、当たり前のことに感謝する気持ちを忘れず、必要とされる飲食店であり続けます。
また、スタッフの個性や状況に応じた働き方にも対応できる、幅広い事業領域をつくることが私の使命でもあります。

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中谷 安志

 
子どもの頃の夢は「コックさん」。
毎日食卓に並ぶ、たくさんの母の手料理に影響を受け、料理が好きになりました。
また、当時子どもだった私にとって、親戚との外食は特別なもの。
美味しい料理とわくわくする雰囲気にいつも胸を躍らせていました。
しかし、進学を重ねるうちに、いつの間にか決められたレールに乗っている自分がいました。
このままでいいのか...挫折をきっかけに、自分が本当にやりたいこととは何かに気付き、自分の道を歩き始めました。
その後、飲食店のオープンや、中央卸売市場での魚の仕入れなど自分が思いつくことに挑戦していました。
理想を追い求めるも時間だけが過ぎていく日々。
いつの日か、家族を食べさせることに、生きることに精一杯になり、「いつか独立する」という想いに満足していました。

このままではいけない!と自分を奮い立たせ、34歳で初めて本格的に包丁を握る。
コックを夢見て26年越しの決心でした。

そこから数年。
様々な困難を乗り越え、今もあんじグループは前進しています。
足を運んでくださるお客様、一緒に店づくりをしてくれるスタッフ、当たり前のことに感謝する気持ちを忘れず、必要とされる飲食店であり続けます。
また、スタッフの個性や状況に応じた働き方にも対応できる、幅広い事業領域をつくることが私の使命でもあります。

|有限会社あんじ代表取締役|飲食/飲食業界/生きがい/コロナ渦中

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