京都人がパン好きな理由は?

人は一年にどれくらいパンを食べているのか? 総務省総計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2017~19年平均)」の最新データでは、お隣の滋賀県大津市が年間56kg以上を消費して1位。全国平均の約45㎏より10kg以上もようけ食べている。地味な印象の大津市であるが(すんません)、やるねぇ。

で、2位大阪市、岡山市、堺市、神戸市と続いて京都市は6位である。ところが食パン以外のパン消費量を見ると、かつては京都市が1位やった。ちなみに食パンだけなら長く神戸市が首位を独占してたけど、今回は鳥取市に首位を譲ったようである。

京都人がパン好きな理由としては編集部の記事にゆだねるけど、私はもう一つ思う。それは、「発酵食品やから」。上位を見ると神戸も大津も酒どころやし、岡山にも良いお酒がたんとある。京都以下の都市を見ても、名古屋、広島、奈良、和歌山など佳き酒や醤油・味噌の産地である。酒をはじめ味噌や醤油、酢も、発酵という微生物の働きを活用して出来上がる。そしたら大阪と堺はどうよ?と言われたら答に詰まるが、ここは忙しい人が多いので手軽に済ましたいためではないかと思われる(^^ゞ)

京都ももちろん、酒どころである。以前、パン組合のセミナーでお酒の話をさせていただいたのだが、パンは小麦粉をこねてイースト(パン酵母)で発酵させて焼き上げる。日本酒は米のデンプンを麹菌の力で糖分に変え、平行して酵母の働きで糖分をアルコールに変えるのだ。発酵するときに炭酸ガスを出すが、パンはこのガスを利用してふっくらふくらむ。

そんなわけで、京都人は発酵のメカニズムを活かした食品=パンにもなじんでいるんと違うやろか。

パンはパンでも菓子パンが好き

私も京都人なので、パンが大好きである。が、それは菓子パンだ。食パンには忌まわしい思い出があり、もう一つ食指が動かない。それは…私が小学生の時代、給食はぱすぱすもそもその食パンで、おそらく6枚切りが3枚、アルマイトの皿に載せられていた。4年生までは多少残しても怒られへんかったが、5・6年の担任が独裁者的で、「栄養計算してあるのだから、全部食べ終わるまでは席を立ってはいけない」と言い放ち、完食が義務づけられた。今の私からは想像できひんやろけど、当時は小柄で食が細く、食パンなんて1枚が妥当。おかずもおいしくなかったんで、毎度昼休みのほとんどを給食に費やし、涙目でのつこつしながら食べていた。お陰で2年間のうちに体重は増加し、「ぶーさん」というあだ名をもらうに至ったのである。ン十年前のことやけど、いま思い出してもあのク○BBA!とムカついてしまうのだ。
大人になった今でも、一度に食パン3枚なんて食べへんよねぇ。このように悲惨な子ども時代を過ごしたんで、食パンはちょっと苦手。けど、菓子パンは大好きで、ブログでもときどき菓子パンコレクションをやっている。

京都の懐かしいご当地パン

さて、京都人の菓子パン(ここでいう菓子パンとは総菜系も含む。分類上の総菜パンとは、サンドイッチやホットドッグなどパンに何かを挟んだものを指す)と言えば、真っ先に挙げられるのが志津屋のカルネ。ハムとスライスオニオンをカイザーロールに挟んだだけのシンプルさやけど、そのシンプルさゆえに飽きが来ないし、また食べとうなる。ハムが大きくてパンからべろんとはみ出しているのもええし、ちょっとトーストして食べるとなおおいしい。

カルネ

カルネ

けど、志津屋と言えば、私はジャンボのほうが好きやった。ハム・レタス・ポテサラを大きいフランスパン(たぶんクッペ)に挟んである。ポテサラは具がなんも入ってへん、じゃがいものマヨネーズ和えなんやけど、まろやかで後を引く、家庭では出せへん味なのだ。ボリューミーで、それこそ食べ盛りの学生時代にはずいぶんお世話になったものである。

ジャンボ

ジャンボ

当時は繁華街へ出ると、河原町三条のお店で買うて帰るのが楽しみやった。
そして、もっとノスタルジックなご当地パンと言えば…
それは「オーションロール」「ニューバード」である。「オーションロール」はコッペパンにマヨネーズを塗り、刻んだキャベツとハムが挟こんである。モダンなサンドイッチが出てきてからは姿を消したが、今でも松原大宮を東へ行った『まるき製パン所』では「ハムロール」の名で売っている。素朴で飾り気がないけど、いつ食べてもおいしいのはカルネと一緒。シンプルイズベストである。

ニューバード

ニューバード

ニューバードのほうはカレー味の生地でソーセージを包んでパン粉をまぶし、揚げてある。生地のカレー味が素敵においしかった。中身のソーセージも安もんのソーセージ(おそらく扇形ソーセージのようなプレス物)を細長い棒状に切ったので、そのチープさが庶民的なカレー味とマッチしておいしかったのだ。写真のニューバードは志津屋ので、ちゃんとしたソーセージを使うてあるけど。
この二つが50代以上の京都人にとって、京都のご当地パンと言えるん違うかな。

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川添 智未

京都市北区生まれ、中京区在住。たまねぎ工房の屋号でライター・フードコーディネーターをしている。酒好きが高じロ利酒師・日本酒学講師となって酒セミナーを開くほか、京の食文化ミュージアムあじわい館「食と酒のかたりべ」でもある。飲み食い以外の趣味は犬で著書に「洛中いぬ道楽」「いろこよみ-風景に見る日本人の心-」、相方は犬用介護ハーネスの玉葱工房(http://www.tamanegi.com)
ブログ【京都・町家ぐらし】

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