千本通 -冥界への路- パパっと分かる平安遷都
境内には、弘法大師三井の一つという加持水(仏様の慈悲と智慧が加わった水)があります。また、この地は鎌倉時代初期の歌人・藤原定家、家隆が住んだ所ともいわれており、定家らの墓と伝えるものがあります。
3.千本焔魔堂(引接寺)
開祖は小野篁卿で、あの世とこの世を往復する神通力を有し、昼は宮中に、夜は閻魔之廰に仕えたと伝えられ、朱雀大路頭に閻魔法王を安置したことに始まる。
現存の閻魔法王は、長享二年(1488)に造立されたもので、高さ2,1mある。篁卿は『お精霊迎え』の法儀を授かり、塔婆供養と迎え鐘によって、この地を現世浄化の根本道場としました。以降、宗旨・宗派を問わない民間信仰が続いています。
千本ゑんま堂は「悪いことはするな」「嘘をついてはいけない」という子供らへの教戒の場となっています。演歌歌手の都はるみの生家が近くにあり、幼少の頃境内で遊んで大きくなったと言われている。
冥界にある先祖の霊は、盆期間中は各家庭に戻り、盆が過ぎるとこの寺から冥界に帰って行くという信仰が存在しています。
五月に行われる千本ゑんま堂大念佛狂言は、京都三大念佛狂言のうち唯一の有言劇で、京都市無形民俗文化財に指定されています。
境内にある紫式部供養塔は、貴重な十層の多重石塔で、国の重要文化財に指定されています。
チョットひと休み
「蓮台」とは「蓮華の台」であり、「極楽往生する人の乗る台」を意味し、葬送の地を指す。
「蓮華」と言う言葉は、仏教では「尊い仏の悟り」と言う意味があります。
植物学的にはハスとスイレンを指し、どちらも心安らぐ美しい花姿が特徴で、やさしく上品な香りで仏事にふさわしい花である。
4.上品蓮台寺
古くは聖徳太子の創建と伝えられ、広大な寺域に伽藍が建ち並ぶ壮大なものであったが、応仁の兵火により消失しました。
文禄年間に復興され、この付近の蓮台野一帯に十二の子院を建立したことから「十二坊」の名で知られるようになりました。
寺宝として、下段に経文を、上段に経文の内容を説明した絵画を描いた貴重な経典として名高い絵因果経(国宝)をはじめ、
文珠菩薩画像、六地蔵画像(ともに重要文化財)など、多くの文化財を所蔵しています。春には枝垂桜が見事に咲き誇ります。
「上品蓮台寺」で出家得度した定朝は、十二坊にあったといわれる塔頭の一つ「照明院」を建立しました。宇治の平等院の阿弥陀如来像を完成した四年後に京都で没し、遺体は上品蓮台寺に埋葬されました。
大慈院
十二坊あった子院の内、唯一現存する寺院である。室町時代・足利義教の金工・豪商であった後藤祐乗の菩提寺。今では無住職寺院になり墓地は荒れがちである。
後藤家代々の5基あった墓碑は、3基は立っていたが、2基は崩壊したままであった。世の移り変わりの無常を感じる。
関連する記事
昭和19年京都市北区生まれ。
理科の中学校教諭として勤めながら、まちの歴史を研究し続ける。
得意分野は「怖い話」。
全国連合退職校長会近畿地区協議会会長。
|自称まちの歴史愛好家|北野天満宮/今宮神社/千本通/明智光秀/怖い話
アクセスランキング
人気のある記事ランキング
二本の釘と釘抜きが貼られている