祇園祭は疫病に負けたのか 最終話
7月28日神輿洗にて
お還りの渡御祭が明けて4日目の28日。この日は夕刻の神輿洗神事の前に神輿のお飾りを外して仕舞う仕事がある。
午後3時に三若からは精鋭輿丁20人が神輿庫前に詰めた。
揺られ鳴ることもなかった鈴や瓔珞(ようらく)。祭りの後は寂しいものだが今年はひとしおだ。裸になった神輿を見るとその思いが一層強くなる。
本殿での神輿洗奉告祭に続き神輿庫前で神輿洗式が斎行される。
「神輿会のみなさんもこちらへお並びください」と告げられた。
これは10日の神輿洗式では叶わなかったことだった。
神輿庫に向かって右側に宮本組役員、左側に清々講社正副幹事長と三若会長(三社神輿会会長)が並び、神輿会役員・輿丁が続く。
祝詞が奏上され、御神用水を榊で掬って神輿に振りかけられる。
神官が退下される時に、森宮司が神輿会の前でふと足を止められた。
宮司は24日の御神霊渡御祭の石段下でのお迎えに触れられ「雨の中をマワセ、マワセの掛け声に沿道の人たちも涙を流し、私も感動で涙が溢れました」と、神輿会に対してこれ以上はないお褒めの言葉をいただいた。
最後に最高のご褒美をいただき感無量だ。
神輿舁きとして立派に祇園祭の本義を貫き通した彼らを誉れにしたい。
(カーテンコール)
神輿庫でのお飾りの片づけのあと、数十センチだけ神輿を動かす必要があった。「手舁き」で動かせるものだが、今年初めて神輿に肩を入れて動かし、そのままほんの数十秒だけ練らせていただいた。声が響き、神輿は上下に大きく揺れたが、周りに数人おられた神職はきっと目を瞑っていただいていたに違いない。深謝。
最後の最後に
本稿の掲載にあたって幾人かの方からお写真をご提供いただきました。熱い想いをもって1ヶ月間の神事を追ってくださった写真家の皆さまにこの場にて心から御礼を申し上げます。来年は勇壮な神輿振りを撮影してくださいね!
関連する記事
三若神輿会幹事長として、八坂神社中御座の神輿の指揮を執る。
神様も、観る人も、担ぐ人も楽しめる神輿を理想とする。
知られざる京都を広く発信すべく「伝えたい京都、知りたい京都 kyotolove.kyoto」を主宰。編集長。
サンケイデザイン代表取締役。
|三若神輿会幹事長|祇園祭/神輿/八坂神社/裏側/深い話
アクセスランキング
人気のある記事ランキング
写真:三宅 徹氏