11月も半ばを過ぎ、冬の足音が聞こえてきましたね。11月を深秋ともいいますが、私は一年のなかで秋深まるこの時季が一番好きです。染まりゆく秋とともに「もののあはれ」が感じられる一方で、クリスマスシーズンの到来とともにツリーやイルミネーションで街に華やかな彩りが添えられます。静と動、相反する2つが両立する季節です。

でもやっぱり秋といえば紅葉。そこで私のお気に入り&穴場スポットとして、堀川通のイチョウ並木をご紹介したいと思います。


 

黄金色の輝きにウットリ

京都市を南北に縦断する堀川通を北上し、今出川通を越えたあたりから紫明通までの約1kmにわたって連なっているのがおよそ70本のイチョウ。その一本一本が高くそびえ立ち、見事な枝葉ぶりを誇っています。この地は土壌が広く根を張りやすいので育ちがいいのだとか。

イチョウの葉って一枚一枚を見ると黄色というか辛子色って感じですよね。でも、堀川イチョウ並木のそれは「黄金色」の輝きそのもの。また、この辺りの道路はゆるやかなS字を描いており、カーブを進入するに従って、黄金色の並木が横へ横へと広がって見えます。そのダイナミックな様は、あたかも列車の車窓から望むワンシーンのようで、地元の私にとっては毎日通る道なのに、思わず観光気分に浸ってしまうのでした。

堀川通はかつて運河だった?

堀川通はその名の通り、かつては水がしっかりと流れている「川」でした。その昔は京の運河として、木材の運搬に利用された主要な川のひとつだったそうです。当時の水源は定かなものではありませんが、賀茂川がこの地を流れていたのではないかという説もあります。

また、堀川今出川は西陣発祥の地としても知られ、戦前までは西陣織の職人が染色に使った水を流して、川は紅色や藍色に染まっていたそうです。堀川を流れる水の色で染色業界の好不況がわかるといわれたそうです。

そんな堀川も戦後はほとんどが暗渠(あんきょ:川に覆いをして外からは見えない水路)となり、親水公園として整備された今出川通から御池通までの一部でしか川としての姿を見ることができません。近年ではこの地で「京の七夕」祭が開催されているので、堀川水流をご覧になった方も多いのでは?

堀川通と並行して流れる堀川水路

堀川通と並行して流れる堀川水路

おっと、もう1つの水流を忘れていました。
他ならぬ、イチョウ並木が連なる今出川~紫明間です。中央分離帯に幅1mあるかないかの、まさしく小川が流れるこの一帯は「せせらぎ公園」と呼ばれ、川のせせらぎが趣きを醸し出してくれます。

おススメ絶景タイム

この小川のすぐ横が散策路です。あたり一面をイチョウの落ち葉で敷きつめられたその様は、さながらジュウタンのようでもあります。中央分離帯で人通りが少なく落ち葉が傷まないため、葉を踏みしめたときにフワッとした厚みが心地よい感触を伝えてくれます。

私の中では「黄金色のジュウタン」と命名しているこの小道を歩いていると、すぐ側で車がビュンビュン走っているのに、なぜか音が気にならず自分の世界に浸ることができます。なんとも不思議な空間です。

さらに、そのまま歩き続けると時どき「バキッ」という音がします。ギンナンを踏んで殻が割れた音です。このギンナンというもの、独特のクセのある匂いを持っていて、人によっては臭いという方もいますが、私にとっては深秋の芳香です。豚骨ラーメンのように病みつきになる匂いといったところでしょうか。

さて、このイチョウ並木を鑑賞するおススメの時間帯は早朝です。車通りが少なく空気が澄んでいるので、朝焼けに照らされた黄金色がひときわ輝いて見えるからです。

特に日曜は街の目覚めが遅いので、早起きして6時過ぎに行くと車1台として走っていない静寂な眺めを楽しめます。以前は歩道橋があったので、地上5mから見下ろすその眺望に思わず背筋がピンと伸びそうになったものです。私にとっての「絶景かな絶景かな」でした。

また、堀川のイチョウ並木は四季の移ろいを色で感じさせてくれる場所でもあります。柔らかな緑色の葉の色づきが春の訪れを知らせてくれ、初夏には青葉の鮮やかな黄緑がまぶしく差しこんできます。

夏空には力強い緑色が映え、やがて秋になると黄金色に染まり、その真価を発揮します。そして冬枯れの季節には、すっかり葉が落ちた枝のこげ茶色が寂寥感を漂わせます。

同時に私の脳内では五輪真弓さんの名曲「恋人よ」が奏でられるのでした(イメージぴったりなことないですか?)。と、このように私にとってはイチョウ並木とともに歩む1年というわけです。

イチョウ並木に託した夢

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