「郵便番号が分からない!」-京都の「町」の不思議(その2)-
旧市街地でこそメリットになった7桁郵便番号
さてここまで郵便番号7桁化の大変な面を述べてきました。でも実際は旧市街地でこそ7桁の郵便番号には大きなメリットがあるのです。
たとえば「中京区亀屋町」は別々の場所に5か所もあるので、これだけでは場所が特定できません。しかし「〒604-0811 中京区亀屋町」(=堺町通の亀屋町)「〒604-0941 中京区亀屋町」(=御幸町通の亀屋町)と郵便番号とセットで書けば、場所が特定できるのでちゃんと郵便は届き、一般の書類に記入する住所としても機能すると思います。つまり両方のセットによって「御幸町通押小路下ル」などの通り名を省いても場所が特定でき、郵便は確実に届くのです。これは旧市街地での郵便番号のメリットといえるでしょう。
なお最近のガイドブックや民泊の住所にはこの郵便番号+町名+番地だけで通り名がない表記が目立ちます。しかし第1回で書いたとおり旧市街地の正式な住所には通り名が必要です。また京都市民の多くは町名ではなく通り名での道順に慣れているので、この町名+番地だけで道を尋ねられても困ってしまい、タクシーの運転手さんも困ります。
ガイドブックでも、きちんと通り名まで書いてほしいですね。
京都の旧市街地の町はほとんど両側町で、道路から場所を示すという独自の仕組みを持っていました。そうした中、町名から住所を示す7桁郵便番号システムの受け入れは多くの難しい点があったと思います。しかし戸惑いながらもうまく順応して使いこなしたのは、やはり常に新しいものを積極的に取り込んできた京都の強みが発揮された出来事なのかな、と思っています。
第2回はここまで。次回の「京都の『町』の不思議(第3回)」は、旧市街地の「番地」の不思議についてご紹介したいと思います。
『平成21年度版 郵便番号簿』(1998年度版,2009年度版)
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京都市中京区生まれ、北区紫野育ち、民間企業に37年間勤務
祇園祭の魅力が忘れられず、定年を機会に埼玉県から帰郷、大学院に入学し民俗学を学ぶ
祇園祭を中心に京都の祭り・民俗行事、平安京の歴史、京都の地理・町の形成などを研究
京都府文化財保護課での祭り行事調査に参画中
現在、佛教大学非常勤講師、京都民俗学会理事、日本民俗学会会員
|京都の祭り・歴史研究家|京都の町名/京都の通り/番地/山鉾町
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