舞殿に御輿を上げる輿丁たち

舞殿に御輿を上げる輿丁たち

少人数で狭いスペースに神輿を入れるのは危険を伴う至難の業。この場に入れるのはベテランの輿丁に限られる。なお、この時点では飾りつけ前の裸神輿であり、神様は乗っていない。(写真提供:長谷川 賢吾氏)

苦しい時、辛い時に「夜明けの来ない夜はない」と言いますよね。国難であるコロナ禍中にあって、希望を見出すことができた1日だと思います。また、この50歩の道中で神輿に触れた輿丁(担ぎ手)たちは、とてもいい笑顔を見せてくれました。それは鉾建てに携わっていた方々の表情にもいえます。「笑う門には福来る」の言葉通り、彼らの笑顔が明日への希望です。

飾り付けられた3基の神輿

飾り付けられた3基の神輿

写真提供:長谷川 賢吾氏

祇園祭に教えられた日常のありがたさ

歴史上、祇園祭はこれまでに3度、山鉾巡行ならびに神輿渡御中止の憂き目に遭っています。応仁の乱、太平洋戦争、そして今回のコロナ禍です。2回の戦争では京都、そして日本が焼け野原となりましたが、祇園祭が復活するとともに京都も日本も見事な復興を遂げています。そこにあったのは日本人の勤勉さに加えて、祭に懸ける人々の心意気であり、神様や祖先、そして周りの人々への感謝の心であったと思います。コロナ禍を通じて、祇園祭がいつも通りに実施できるのは、私たちの平穏な日常があってこそだと痛感しました。やがて闇夜が明けて「明日」が来たとき、この気持ちを忘れないこと、それがコロナで私たちが得た教訓だと思います。そして、来年こそは八坂の大神を洛中にお迎えできることを切に願い「二礼二拍一礼」をもって本稿の結びといたします。

夜明けを待つ神輿

夜明けを待つ神輿

写真提供:長谷川 賢吾氏

(八坂神社中御座 三若神輿会 幹事 吉川哲史)

【参考文献】
『日本の祭と神賑(かみにぎわい)』/森田玲
祇園祭 温故知新/淡交社
祇園祭のひみつ/白川書院
絵画史料が語る祇園祭/河内将芳
重ね地図で読み解く京都1000年の歴史/谷川彰英
三条台若中会史/三若神輿会・公益財団法人祇神会
神輿大全/宮本卯之助
八坂神社ホームページ 京都新聞ホームページ
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この記事を書いたKLKライター

八坂神社中御座 三若神輿会 幹事
吉川 哲史

 
Kyoto Love.Kyotoでの執筆記事数が50を超えるKLKフリーク。日本語検定一級、漢検(日本漢字能力検定)準一級を取得した目的は、難解な都市・京都をわかりやすく伝えるためだとか。

地元広告代理店での勤務経験を活かし、JR東海ツアーの観光ガイドや同志社大学イベント講座、企業向けの広告講座、オンラインイベント「ひみつの京都案内」などのゲスト講師に招かれることも。

得意ジャンルは歴史(特に戦国時代)と西陣エリア。自称・元敏腕宅配ドライバーとして、上京区の大路小路を知り尽くす。夏になると祇園祭に想いを馳せるとともに、祭の深奥さに迷宮をさまようのが恒例。

サンケイデザイン㈱専務取締役

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得意ジャンルは歴史(特に戦国時代)と西陣エリア。自称・元敏腕宅配ドライバーとして、上京区の大路小路を知り尽くす。夏になると祇園祭に想いを馳せるとともに、祭の深奥さに迷宮をさまようのが恒例。

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