しかし、明治4年に出されたお達しはようやく12年後に撤回されました。その間、全く行事をやってなかったかというと、それは記録が残ってないのでよくわかりません。そやけど行事を大事にする京都の人たちのことです。きっと地蔵盆でも運よくお地蔵さんを隠せた町内は内緒で路地(ろうじ)の奥深く、あるいは個人のお家の中だけとかで行われてたのとちゃうかなと思います。何百年も続いてきた行事を、そんな簡単にやめてたまるもんですか。きっとうまいことやったはった町内も多かったはず。「そんなとんでもない、お上のご命令は聞いてますえ。」と言うて後ろ向いたら、「まぁ適当に聞いときまひょ。」と舌を出す京都人の処世術で。

明治16年から公に、何事も無かったように地蔵盆が再開されました。「地蔵会」「地蔵祭」から名前だけを変えて。そこから約140年、また受難のときがやってきています。でも大丈夫。きっとまた乗り越えられる。子どもらがいる限り、町内の人たちが結束を願う限り。

▲数珠回し

▲数珠回し

注:
(1)「矢取地蔵」「歯ノ地蔵尊(歯形地蔵)」「矢田地蔵尊・他多数」
(2)京都府菓子卸売協同組合サイト
(3)毎日新聞京都版「京にお地蔵さん何体?」2015年9月29日(花園大学他調査)
(4)今年(2021年)は28日が土曜日で、2日にわたって行われるところに限っては、2日目の29日が日にちが過ぎてできないところから前週の21・22日になります。1日のみの開催町は28日に行うことになります。
(5)村上紀夫「京都地蔵盆の歴史」p.52(清水邦彦「京都の地蔵盆の歴史的研究」引用)
(6)村上紀夫「京都地蔵盆の歴史」p.97
(7)「京都町触集成」第13巻 一四八六号
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この記事を書いたKLKライター

鳴橋庵 店主・京都上京KOTO-継の会 会長
鳴橋 明美

 
上京の、形になりにくい文化(お祭・京都のおかず・伝統工芸・京ことば)の継承のお手伝いをする「京都上京KOTO-継の会」会長。
「鳴橋庵」店主。
「能舞台フェスタ in 今宮御旅所」実行委員会会長。

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