天橋立十景をまわる
なお、こちらにも“股のぞき発祥の地“の石碑がありますが、説明書きがありません。いわれは小野小町が小用を足した際に、股の間から覗いたのが発祥だとするもので、内容からしてあまり大々的にPRしづらいのかもしれません。小野小町は丹後七姫にも数えられ、京丹後市大宮町五十河(いかが)に伝承が伝わっています。
東からの「雪舟観」は、獅子崎(しいざき)稲荷神社の上の展望台からの眺めで、雪舟の天橋立図に似た景観として名付けられています。天橋立図と同じ構図の場所はどこにもないとされ、雪舟がここで絵を描いた根拠はないという点には注意が必要。4月にはミツバツツジが大変綺麗な場所です。以上が、『天橋立十景』のうちの『四大観』です。
『天橋立十景』他の見どころは?
十景の中で天橋立の目の前で選ばれているのは、智恩寺の海側から眺める「文殊の知恵(智恵)海道」。
見やすさでいうと宮津市街地がある湾の奥の島崎公園からの「島崎蒼龍観」、橋立北西の丹後国分寺跡からの「天平歴史の道」も、比較的簡単に眺めることが出来るでしょう。
個人的に好きなのは「滝上弓ヶ観」です。宮津市街地の西にある滝上山展望台からの眺めで、大天橋と小天橋が織りなす弓なりの天橋立の眺めが楽しめ、宮津湾も望めます。ここでしか見られない光景ではないでしょうか。展望台へは短いながらも急な登りですので、ぜひ天気のよい日に登ってみて下さい。春にはこちらもミツバツツジが綺麗です。
十景の中で最も高い視点で橋立を望めるのが「天上大パノラマ観」。丹後国分寺跡から車で成相寺へと向かう山道へ入り、お寺から更に上へと進んでいくと“成相山パノラマ展望台(展望所)”の駐車場があります。昇龍観と形は似ていますが、標高は約470mの場所。まさに大パノラマな光景です。ここではかわらけ投げが出来たり、土日祝日限定で“美人茶寮”というカフェもオープンします(12月中旬〜3月中旬は積雪のため休業)。
最後に、最も難度が高いのが「戦国ロマン八幡山」。宮津市街地の南、宮村駅の北東にある猪岡八幡神社から登っていけます。ここには八幡山城があり、戦国時代に細川藤孝・忠興父子が丹後を平定して宮津に入った際には、まずこの八幡山城を居城とし、その後改めて宮津城を築城します。木々の茂る道中、山城の雰囲気を感じながら登れ、山頂付近には石垣が残されています。約20分余りで標高164mの山頂に到着。ここからの眺めが「戦国ロマン八幡山」と称され、家々が密集する宮津市街地を手前に、遠方に天橋立が望めます。細川藤孝・忠興父子、そして忠興の妻である玉(のちのガラシャ)も同じような視点の眺めを楽しんだのでしょう。
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観光ガイド「京都旅屋」代表
京都検定1級に4年連続の最高得点で合格
気象予報士
1982年生、岐阜県出身、同志社大学文学部卒業
学生時代を京都で過ごし、気象予報士の資格を取得。
民間気象会社に勤務後、2006年に京都に戻り、2011年に観光ガイド「京都旅屋」を起業。
京都についての座学や現地案内に加え、毎日更新のブログでも京都の情報を発信中。
『京ごよみ手帳(宮帯出版社)』監修。
|観光ガイド「京都旅屋」代表|観光/丹後/天橋立
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