条件2での冠水状況

条件2での冠水状況

そして肝心の最初に水が流れだしたところはこちら。

最初に水が流れ出すところ。京阪電鉄京津線に沿うように流れる

最初に水が流れ出すところ。京阪電鉄京津線に沿うように流れる

何と皮肉な事か。京阪電鉄京津線に沿って水が流れていくだけではないか。つまり、京都に流れる水を止めると、滋賀が大洪水を起こした後で結局京都に流れ出ていくという結果に…

そしてさらに気になった点はここである。こちらをご覧いただきたい。

条件2でとある地点での洪水状況。どこかお分かりいただけるだろうか。

条件2でとある地点での洪水状況。どこかお分かりいただけるだろうか。

こちらの画像は、JR米原駅から少し北にある東海道新幹線用のトンネルである。このトンネルを抜け、少し行けば岐阜、愛知へとつながるところだ。しかし画像からわかる通り、トンネル手前まで水没している。

そう、ここまで水を止めると東海道新幹線の線路が水の中なのだ。もちろん新幹線だけではあるまい。新幹線と同じく東京-大阪間を結ぶ国道1号線や他の線路も水没してしまう。こうなれば京都大阪どころか、日本全体の交通網に多大な損害を生むことは避けられないだろう。そうなれば琵琶湖の水を止めた犯人に文句を言うのは京都や大阪からだけではない。全国からの非難が集まるし、そもそも国家単位で琵琶湖の水を京都に流すように圧力がかけられること間違いなしだ。


ちなみに気になって条件1のモデルで米原駅周辺を拡大したところ、東海道新幹線の線路すぐ近くまで冠水していた。

条件1での米原駅周辺の冠水状況。線路のすぐそこまで水が来ている。

条件1での米原駅周辺の冠水状況。線路のすぐそこまで水が来ている。

あれ?もしかして、そもそも条件1でも交通網を十分に混乱させ、全国を敵に回せた…?


 

今までに滋賀県で起こった水害

過去に滋賀県で被害が起こった例を振り返り、簡単にシミュレーション結果と比較したい。ちなみに琵琶湖の水位は「B.S.L.(Biwako Surface Level)」で表されることが多いので、せっかくなのでここは慣習に従い、これを使っていく。

ちなみにB.S.L.0mは瀬田の唐橋の近くにある鳥居川水位観測所の零点高、T.P.+84.371mと同じになるよう揃えられている。何のことかわからない人は「B.S.L.0mが準で、例えばB.S.L.+50cmなら基準より50cm水位が上がった状態」とだけ覚えておいてほしい。

最近の滋賀県で起こった水害の記録では、平成25年台風18号豪雨被害がある。この際、琵琶湖の水面が約1mほど上昇した。(B.S.L.-20cmから+77cmに上昇)

この水害では守山市などで被害があったことが報告されている。この際、琵琶湖の下流にある天ケ瀬ダムの水量が著しく増えていたため、瀬田川洗堰を開放することができず、滋賀県内で被害が起こってしまったらしい。

この記録からB.S.L.+77cmでは実際に水害が起こる事がわかる。なお瀬田川洗堰をMAXまで閉じたときはB.S.L.+130cmまでせき止められる。こうみると、条件1で瀬田川洗堰を全閉し、限界まで水位を引き上げればシミュレーションのように水害が起こることは明白であった。

もっと過去の記録も見てみよう。

日本全体で見ても、歴史的に特に雨が多かったと言われる明治29年は、滋賀県でもひどい水害が起こったと記録されている。

明治29年の琵琶湖は7月から水位が高い状態となった。同年9月、そこへ追い打ちのように、10日間で1,008mmを記録する豪雨があった。例年であれば滋賀県内年間降水量は約1,900ミリメートル、なんと一年に降る雨の半分以上がたった10日で降り注いだのだ。その結果、琵琶湖の水位がなんとB.S.L.+376cmまで上昇。先ほどシミュレーションでみた条件1はB.S.L.+130cmだった。130cmでも大被害だったのに、それよりもなんと2.5mも高い水が滋賀県を襲ったのだ。

B.S.L.+376cm時の滋賀南部でのシミュレーション結果。地形や建物は2021年のモデルなので、もし同様の被害が起これば、これほど浸水する

B.S.L.+376cm時の滋賀南部でのシミュレーション結果。地形や建物は2021年のモデルなので、もし同様の被害が起これば、これほど浸水する

大洪水により、琵琶湖周辺にあるほとんどの市町村が浸水による被害をうけた。そこから滋賀県全域が無害水位に低下するのに237日を要したと記録されている。

特に彦根市の80%、大津市の中心部は全て浸水したという悲惨な記録が残っている。

2021年に同様の浸水が起こった場合の大津市の災害シミュレーション。この状況からも明治29年の悲惨な被害が想像される

2021年に同様の浸水が起こった場合の大津市の災害シミュレーション。この状況からも明治29年の悲惨な被害が想像される

もちろんこの規模の災害はめったに起こるものではないし、治水技術の発達した昨今で、同規模の被害が起こるとは考えにくい。しかしながら、滋賀県は琵琶湖などの水に恵まれている反面、水害が起こるリスクも高いと断言しても間違いではないだろう。

まとめ

滋賀の水を止めることは大変困難で、無理矢理せき止めた場合、滋賀県の広い範囲で水害が起こるわ、結局京都に流れていくわ、という目も当てられない結果が分かった。また実際に琵琶湖の水位が上昇した際に起こる水害は悲惨で、その恐ろしい歴史も知ることができた。

これにて一件落着……と言ってもいいが、それだけではあまりにも面白くない。シミュレーションだけにとどまらず、考えるからには徹底的にやろうではないか。

また同時に、この大量の水の扱いを考えることが自我の水害を切り開く一歩になる…かもしれないような気もしているような感覚がある。

というわけで、次回「水害を引き起こさずに、滋賀県はどうすれば水を止められるのか」を徹底考察していく。

※Google Earth proを用いたシミュレーションはあくまで簡易的シミュレーションであり、その正確性を保証できるものではありません。あくまでもざっくり検討したレベルとお考え下さい。
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京都が好き。美味しいものを食べるのも好き。
でも実は一番好きなものは化学や物理学などの自然科学。
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