京都一周トレイル®をご存じでしょうか?
京都市内にいる方は、京都市交通局「地下鉄・市バス応援キャラクター」の可愛いポスターで目にしたことがあるかもしれません。わたしも本屋さんで「京都一周トレイル®ガイドマップ」をよく見かけるので気になっていました。KLK編集部としても、これは見逃せません!
京都一周トレイル®とは
京都一周トレイル®は京都盆地の周りの山を歩くコースです。(京北の方にもあります)
ふだんは景色として美しく眺めている山に分け入って見るのは楽しそう。東山コース、北山東部コース、北山西部コース、西山コース、京北コースの5コースと複数のルートがあります。
『京都一周トレイル®マップ&ガイド』を見ると入門者向・一般向・中級者向の3ランクに分かれています。なんと、入門者向だとウォーキングシューズやスニーカー(運動靴)があれば登れるとのこと!
慢性的な運動不足に苦しむ運動音痴のわたしは、続けられそうかつほどほどに体に良さそうなアクティビティを常にもとめており、実はトレイルにも挑戦したことがあります。そのときはうまくいかなかったので、たまたまトレイルの話題が出たときに「もう一度挑戦してみようかな~」という気持ちになったのです。
(※京都一周トレイル®は「京都一周トレイル会」の登録商標です)
登山準備は入念に
3年前、無鉄砲な行動力のあるわたしはガイドマップとスマホの地図アプリを手に、動きやすい格好で稲荷山にトライしてみました。が、あえなく道に迷い遭難しかけました。歩けば歩くほど人がいなくなっていく不安はいま思い出してもドキドキします。街中ではたよりになる地図アプリも山中では役にたちません。しかしその時は運が良かったのか、うろうろしているうちにルート外の「薬力社」に着きました。ここは有名スポットだったようで、ご神水で淹れたコーヒーを頂き休憩までできました。帰り道の途中で縁結びスポットの「荒木神社」にも出会い、楽しく下山できました、が、けっこう危なかったと思います。あとから落ち着いて地図で確認しなおしたらルートから大きく外れていたのでした。
遭難を想定して念入りに準備をします。運動靴、ジャージのズボンと上着、Tシャツ、帽子、地図、絆創膏、タオル、雨具、ポリ袋、カメラ、汗拭きシート、食料(ゼリーやバー)、レジャーシート、飲み物、スマホの充電器など。虫も苦手なので、強力な虫よけスプレーを買って服の上からたくさん吹きかけてリュックに入れ、日焼け止めも塗ります。
今回は事前に色々調べて、使い勝手のよさそうな登山アプリなるものをダウンロードしてみました。京都一周トレイル®の地図には番号つきのチェックポイントとそれを経由するルートが記されているのですが、登山アプリで登りたい場所の地図を見ると、同じポイントとルートが出てきます。自分が通りたいポイントをタップしていくと、簡単に「山行計画」を作ることができました。これを参考にして登りたいと思います。スマホが切れると困るので節電のため機内モードにして出陣、これけっこう大事です!!
出発、さっそく道に迷う
今回は東山コース1〔伏見・深草ルート〕に挑戦します。まずは8時半に近鉄京都線「桃山御陵前」駅に降り立ちました。まだ6月でしたが、30度を超える日が続いており連日とても暑かったので、この日は曇りで暑さもやわらぎほっとしています。ここから山登りのスタートです。
街中をとおって桃山御陵参道に入ります。街中とは雰囲気が変わり、高い木々が茂っていてたちまち静かな森の中。どこからかきれいな鳥の声も聞こえてきます。うっとりと歩いているとスマホから警告アナウンスが流れました。ルートを外れると教えてくれるようです。「いつの間に道を間違えていたんだ?まだ平地じゃないか!」と己の方向音痴に檄を飛ばしながら来た道を戻ります。
桓武天皇柏原陵へ向かう道の手前で曲がり、車道に出て歩くと、伏見桃山城が見えてきました。
登山アプリが差し示す方に進んでいくと、伏見北堀公園に着きました。
とても広い敷地で、スポーツをしている人がたくさんいます。緑の中をてくてくと歩き続けていると、だんだんハイになり歩くこと自体が楽しくなってきました。
ルートの途中にはたくさん標識が立っています。これが「迷子になっていない」目印なのでチェックしながら進みます。分かれ道ですが、登山アプリは自分の進んでいる方向を直線で示してくれるので見やすいです。公園から街中に出て坂道を上がっていき、大岩山へ向かいます。
地図を見ながら知らない道を歩くのに集中し、「いらないことを考えずにすむし、SNSも見る余裕はないし、意外と気持ち良いなぁ~」と感じていると…。
!!!!!
うっそうとした怪しい入り口が現れました。奥の方が薄暗くて気圧されます。
「とうとうこれから山に入ってしまうんだ…」
覚悟を決め、虫よけスプレーを再度全身に吹きかけて入山。竹林の中を歩きます。
入山、がんばれ私!
竹林を抜けると電波塔が見えます。坂道がどんどん急になり、体がしんどくなってきました。登山アプリによると現在の標高144m。「ああ、登山しているなあ…」という気持ちです。あと少しで山頂なので、頑張って登ります。すでに全身汗だくです。
スタートしてから2時間!10時半にやっと山頂に着きました。視界が開けていて、見晴らしがとてもいいです。天気が良くなってきてなかなか暑くなってきたので、休憩してゼリー飲料などを頂きます。
あとは下山だけ!はりきって道を進むと登山アプリが鳴り響き、また警告されました。「こんな山のど真ん中で迷わなくてよかったな」と怯えつつ、正しい道を進みます。
なんだか突然、ルートの難易度が上がる!
え?ほんとにここが正規ルート??と不安な気持ちになりながら、身をかがめて、葉っぱをかきわけながら山道を進みます。足元は木の根っこや岩でゴロゴロしているので、こけないように慎重に歩きます。手をつきながら歩けるように、軍手も必要だったかもしれません。虫が増えて、謎の壊れた鳥居が現れ、濁った大きな池が恐ろしく見えます。足元がぬかるみはじめ、ちょっとした沼地をなんとか渡っていきます。
「わたし、無事に山から出られるのだろうか??」必死に険しい道を乗り越えていくと…。
青もみじから透き通る日の光とともに、神聖な美しさがひろがっていました。前から見たいと思っていた堂本印象が寄進した、とても芸術的な鳥居です。石材のすみずみまで彫刻してあります。しばらく佇んでうっとりと眺めました。こんな山の奥で出会うと、とても不思議な感じです。
この後は、それほど厳しい道もなく順調に下山。森から抜けて、民家や車が見えた時はほっとして嬉しかったです。ほんとうはこの後、稲荷山も登るルートだったのですが、へとへとで絶対無理。京阪藤森駅に近い『東山F26』地点で自分のゴールにしました。11時50分、トレイル終了です。
登山を終えて余韻にひたる
アプリの山行記録によると6.8㎞歩いていたようです。体育は常に「2」がついていた運動が苦手なわたしにしてはかなり頑張ったのではないでしょうか?(5段階評価です)
登山中はアプリに頼りきりでしたが、リサーチには京都一周トレイル®の公式ガイドマップを使いました。トレイルの(一部をのぞいて)歩きやすい道は、このマップの売り上げで整備されているんです。
調べたところ、京都一周トレイル会は道中にある道標(全コースで約400本)や案内板の設置、整備や簡単な倒木の伐採をしたり、年間に数十回のコースパトロールをしてトレイルを維持できるよう取り組まれていて、これらの活動を行うための人件費、材料費等々にガイドマップの売上は使われているそうです。将来に向けてトレイルを残していくためには、利用と保全どちらが欠けても続かないので、公式ガイドマップを買うことは大きな支えになります。
わたしも新しいルートに挑戦するときは入場料のつもりで公式ガイドマップを買い足して応援したいと思います!
また、街中に近い所で山登りを楽しめるのが京都一周トレイル®の魅力です。今回みたいに、「しんどいから途中でやめよう」もできるし、「途中でグルメやお土産を楽しもう」とか「観光しよう」も可能です。体力がついたら私もいつか…。
へとへとだったので家に帰り、シャワーを浴びて、気づいたらお昼寝していました。「自分はよくやった」と達成感がこんこんと湧いてきて、体はしんどいけれどとても気持ちよかったです。夜はおいしくお酒をいただいて泥のように眠れましたので、また秋になれば別のルートにチャレンジしてみたいなと思います。もちろん、まだまだスニーカーでいける入門者向のコースで!
(編集部/やまださん)
「京都一周トレイルコース公式ガイドマップ東山」京都一周トレイル会