森脇:その挫折を経験したことで、古典が好きなんだなって気づきました。学部3〜4年の頃に器楽科や作曲科の学生と関わるようになり、《ドン・ジョヴァンニ》の指揮を振る機会をもらえました。それが初のオーケストラの指揮です。藝大の学生相手に振っていたなんて、今考えると恐ろしいですね。でも、そこで上手く振れたんです。それで自信がついて、「指揮者、行けるじゃん!」って思うように。

ーそのことがきっかけで、指揮者への道が開かれたのですね。

森脇:そうです。そして晴れて京芸の指揮科に入学したのですが、入ってみると全然ダメで。モーツァルトやベートーヴェンの作品から学び直しました。ベートーヴェンの交響曲第1番って知ってますか?ハ長調なんだけど、ヘ長調のドミナントから始まるんです。しっかりと勉強してみると、革命的だと思いました(笑)

ー入学後も、地道に努力されたのですね。


現代音楽を京都から広めていきたい!

ー今後、京都においてどのように芸術活動をしていきたいとお考えですか?

森脇:京都には、京都市交響楽団さん、京都フィルハーモニー室内合奏団さんなど、全国的に見てもレベルの高いオーケストラや室内合奏団もあるので、関わっていけたらいいなと思っています。
あと私は今、大学のクラブ「現代音楽研究会club MoCo」で音楽監督をやっていまして。東京には現代音楽の団体が出来つつありますが、京芸出身の音楽家が主体となって現代音楽に取り組み、京都からも現代音楽を広めていきたいです。今は発足したてで学生ばかりですが、みんなが卒業してプロとして演奏していくようになった時に、プロの団体としてやっていければ……という野望はありますね。

ーいいですね!

森脇:京都は京都コンサートホール、ロームシアター京都など良いホールも多い。そして、多い上にアクセスが良い。
京都って街が小さいと感じませんか?コンパクトな上、盆地だからなのかな。文化がこう、ある種閉鎖的な中で育っていくのではないかと。革新的でありつつ伝統も守る、そういう土地の人々であれば、現代音楽も受け入れてくれるのではないかと思っていますね。

ーありがとうございました!


終わりに

京都の音楽家と接する中で、発声の違いなどの気付きがあったとのことで、お話を聞いていて大変興味深かったです。
また、現代音楽はなかなか馴染みのないジャンルかと思います。ですが、森脇さんが仰っていたように、京都は伝統を大事にする土地である一方、アートシーンにおいては活発にリベラルな作品が生まれているイメージもあります。そんな京都において、森脇さんの活動を中心に「かっこいい」現代音楽の世界が身近になっていくのではないか、と楽しみです。

撮影:阿部壮志
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この記事を書いたKLKライター

アートライター
阿部 千加

埼玉県出身。東京藝術大学音楽環境創造科卒。
2020年に結婚を機に京都に移住し、現在は滋賀で暮らしている。「より京都での暮らしを楽しみたい」という想いで移住前より京都検定の勉強を開始し、その年中に3級を取得。歴史や文化を知りながら街歩きをするのが楽しくなり、趣味が昂じたような形でまいまい京都 同行スタッフに。現在は、コンサートスタッフ・パソコン事務・時々ライターとして活動する傍ら、街をまいまいしている。

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埼玉県出身。東京藝術大学音楽環境創造科卒。
2020年に結婚を機に京都に移住し、現在は滋賀で暮らしている。「より京都での暮らしを楽しみたい」という想いで移住前より京都検定の勉強を開始し、その年中に3級を取得。歴史や文化を知りながら街歩きをするのが楽しくなり、趣味が昂じたような形でまいまい京都 同行スタッフに。現在は、コンサートスタッフ・パソコン事務・時々ライターとして活動する傍ら、街をまいまいしている。

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