「京都の動物園でまったりほっこり」~京都市動物園の六月~
トラの給餌
ゾウ舎の掃除はまだかかりそうなので、トラ舎へ。ちょうど給餌体験でトラの展示場に肉の塊を配置しているところだった。普段入ることのないトラの展示場。トラはいなくても、背中に緊張が走る。
配置するお肉も、結構大きなお肉なのだが、これは焼き肉で食べたら何人前なのだろうと思いながら参加者が配置していくのを見守った。お肉を配置するだけでも、どこに置いたら良いのかという疑問も出てくる。
お肉の配置が終わり、入れ替わりでトラが展示場の中へ入ってくると、さっそくお肉に気づいた様子。
「もうちょっと向こうに置けば食べているところ見やすかったかも」「あれ、あそこのお肉に気づいていないのかな」などと配置するときの試行錯誤の答え合わせが行われる。こうやって日々、飼育員さん達が工夫してエサの「大きさ」や「種類」、「配置する場所」を考えているのかと感心させられる。
キリン舎の掃除
キリン舎では、サブグラウンドの清掃を行う男の子達を不思議そうに眺めるキリンの視線が面白い。キリンも、普段と違うということは容易に感じ取れるのだろう。これは警戒しているのだろうか、それとも興味津々で見守っているのだろうか。じっと清掃の様子を見て立ち尽くしている。
サブグウランドに出された干し草を大きな熊手でかき集めると結構かさばり、重労働に見えた。
小さくはないけどあの塵取りでかさばる干し草をかき集める作業って、ほぼ挟むという表現が正しいのではないかと思う。
移動してキリン舎の中へ。やっぱり、キリンからの目線がここでも気になる。いや、キリンがコチラを気にしているのだろう。
実は、キリン舎にはサブグラウンド側の寝床と、メイングラウンドに隣接した寝床の二つがある。サブグラウンド側では干し草を広げた寝床。メイングラウンド側は砂を敷き詰めた寝床。どちらが掃除しやすいかと飼育員さんに質問すると、砂の方が楽だという。とはいえ、どちらも慣れてない参加者からすれば重労働である。
砂を熊手で鋤きながら、ビー玉ほどのコロコロした糞をかき集める作業はなかなか大変で、砂に埋まった糞を探すのも一苦労。そんな作業を見ているとなんだか小学校の運動会で小麦粉の中に隠れたイモ飴を手を使わず口で探し顔を真っ白にして走る競技の記憶がよみがえった。
糞が一通り回収できたら続いては尿のかかっている砂を掘り返す作業。キリンたちが病気にかからず、快適に過ごせるようにと行われる作業である。これを飼育員さんは毎日こなしているのかと、ここでも頭が下がる思いである。
自然界では汚物は虫たちを始め多くの生きものの循環によって処理されていくが、動物園という箱の中では暮らす彼らの生理現象を循環させるのは人の役割であって、これだけ人の労力をかけなければならないことを目の当たりすると自然界の仕組みというのは計り知れないほどにすごいのだと思うばかり。
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兵庫県明石市在住
初めまして動物園 水族館 植物園 専門の撮影取材をしている動物園写真家(写真家/ライター)阪田真一です。
野生でない環境に暮らす彼らの表情や日常を始め、その飼育に関わる人や取り組みなどを取材しその魅力を伝えています。
@DIME(小学館)というWEBデジタルマガジンに、毎月『動物園』『水族館』の取材記事を掲載中。
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