錦蓋、菅蓋に続いて鳳凰が来ました。輦は神事などで行幸される神霊や天皇の乗り物のことで、これらの輦は普段は、御旅所に保管されています。
第一鳳輦には主祭神・菅原道真が乗られ、鳳輦の屋形の上に鳳凰が乗っています。道真公は右大臣になられましたが讒言され太宰府に流罪となり、2年後の2月23日に、享年59歳で薨去されました。
第二鳳輦の葱華輦には道真の嫡男が乗られています。長男の高視は土佐に左遷されましたが、5年後に許され帰京して大学頭に復しましたが、以後は振るわず38歳で病死しました。この輦の上には鳳凰でなく葱(ネギ)の花の飾りがあります。医療の進んでいなかった当時としてはネギ類のニンニク、ネギなどは薬用的にも重要であったと思われ、それらの種子をつけたネギ坊主は、橋の欄干や御神輿の先端などに擬宝珠(ぎぼし)として今に残っています。
第三鳳輦には奥方が乗られています。輦の上に第一鳳輦と同じように鳳凰が乗っています。奥方の島田宣来子(しまだのぶきこ)は公の流罪後京に留まったとされますが、没年は不詳です。岩手県一関市には娘たちと共に落ち延びたという伝承と墓が残されています。

主祭神に従う神職と宮廷馬車

宮廷馬車・宮司神職の前後を守りながら、先駆神職が騎馬で供奉します。
続いて、宮廷馬車・宮司神職の直前で先導する神職が、神職先導として騎馬で供奉します。次に、神職が黒塗りの立派な馬車で行列します。場所の横には梅紋が入っています。 
 最後尾に来るのは、宮廷馬車に供奉する騎馬の神職です。騎馬などの後には馬の糞を回収する係の人もついていてなかなか大変です。乗る人も馬に慣れていないと制御が難しく、どの馬にも前にベテランの馬の飼い主など二人が付き手綱を支えています。

京の祭りの殆どは地元の氏子他の多くの人によって支えられて、祭具が保存され、手入れされて組み立てられて、お祭りが挙行されています。一昨年、昨年とコロナの蔓延で、神輿巡行などの祭礼が行われないで、神職のみによる神事が行われてきました。祭礼が中止になると、祭礼実施のノウハウの維持も困難になり、伝承が途絶えてしまう危険性があります。今年は瑞饋祭りも挙行されるようで一安心ですが、自分の周りにある地域の祭礼の実態とその歴史にも、関心を持って欲しいものです。

参考資料
段上達雄. 2013.きぬがさ3—復活する祭礼の蓋—. (5)北野天満宮のずいき祭. pp.9-11. 別府大学大学院紀要 1-19.
藤目幸擴. 怨霊から御霊神となった菅原道真公を1100年有余お祀りしてきた瑞喜神輿.前編後編.Kyoto Love.Kyoto
京都市文化財保護課.京都 剣鉾のまつり調査報告書.2.民族調査返.第6章  
3秋.秋の剣鉾のまつり.北野天満宮 瑞饋祭.pp.178-185.
Twitter Facebook

この記事を書いたKLKライター

京都府立大学 名誉教授
藤目 幸擴

 
生年月日:1945年(昭和20年)1月5日

現職
京都府立大学 名誉教授、タキイ財団 理事、NPO 京の農・園芸福祉研究会 理事長、(一財)京都園芸倶楽部 会長

主な経歴 
1969年 京都大学大学院農学研究科修士課程修了、香川大学・京都府立大学教授を歴任
1982年 京都大学農学博士
1984年 園芸学会賞奨励賞
2008年 京都府立大学農学部定年退官・名誉教授
1985~1986年 ケニア・ジョモケニヤッタ農工大学へ出張(国際協力機構) 
1993~1994年 英国ロンドン大学を中心に欧米7カ国 へ出張(文部省長期在外派遣)
1997年 デンマーク植物と土壌科学研究所へ出張(学術振興会派遣研究員)
この間に欧米、アジアなど約30カ国での国際シンポジウムに参加すると共に、留学生10名に学位論文の指導を行う

主な著書  
Q&A 絵で見る野菜の育ち方、農文協、2005
野菜の発育と栽培、農文協、2006
ブロッコリーとカリフラワーの絵本、農文協、2007
ブロッコリーの生理生態と生産事例、誠文堂新光社、2010
ブロッコリーとカリフラワーの作業便利帳、農文協、2010
はじめてのイタリア野菜、農文協、2015
「おいしい彩り野菜のつくりかた」(監修) 農文協、2018

記事一覧
  

関連するキーワード

藤目 幸擴

 
生年月日:1945年(昭和20年)1月5日

現職
京都府立大学 名誉教授、タキイ財団 理事、NPO 京の農・園芸福祉研究会 理事長、(一財)京都園芸倶楽部 会長

主な経歴 
1969年 京都大学大学院農学研究科修士課程修了、香川大学・京都府立大学教授を歴任
1982年 京都大学農学博士
1984年 園芸学会賞奨励賞
2008年 京都府立大学農学部定年退官・名誉教授
1985~1986年 ケニア・ジョモケニヤッタ農工大学へ出張(国際協力機構) 
1993~1994年 英国ロンドン大学を中心に欧米7カ国 へ出張(文部省長期在外派遣)
1997年 デンマーク植物と土壌科学研究所へ出張(学術振興会派遣研究員)
この間に欧米、アジアなど約30カ国での国際シンポジウムに参加すると共に、留学生10名に学位論文の指導を行う

主な著書  
Q&A 絵で見る野菜の育ち方、農文協、2005
野菜の発育と栽培、農文協、2006
ブロッコリーとカリフラワーの絵本、農文協、2007
ブロッコリーの生理生態と生産事例、誠文堂新光社、2010
ブロッコリーとカリフラワーの作業便利帳、農文協、2010
はじめてのイタリア野菜、農文協、2015
「おいしい彩り野菜のつくりかた」(監修) 農文協、2018

|京都府立大学 名誉教授|京野菜/伝統野菜

アクセスランキング

人気のある記事ランキング