竹の恋人繋ぎ ~木賊張りという、竹を密着させる技法~ 僕は京都の銘竹問屋 Episode-17
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ん?なんでここが詰まらない?節の所の、この1ミリの削り残しが邪魔しているから?犯人はお前だっ!
行ったり来たりの果てに、遂に恋人繋ぎ。竹同士は密着しました。実感した事は、髪の毛1本ほどの削り具合の差が密着度を左右する、という事です。
半割の竹を並べる竹の塀の工法として、両サイドを垂直方向にカンナで削り、側面を平面に加工する事で接しさせる形式もありますが、この場合、手打ちの和釘を正面から打つことで1枚ずつを固定させています。
本木賊張りの特徴は、釘が見えない事。取り残した凸の部分に釘を打ち、裏桟に固定するのですが、その部分は相手側の凹の部分がかぶさり隠れるように計算されています。隣り合う竹同士がピッタリと寄り添い、互いに押さえあう事で、舞台裏を隠しながらも固定されるのです。これを次々に繰り返し、何枚もの竹を繋ぎ合わせて、塀の巾にしていくのです。上賀茂や南禅寺辺りの散策をしていると、旧家の塀で使われているのを見かける事もあるかもしれません。
伝え聞いた所では、熟練の職人さんが作ったものは、裏側に雨を通さないほどに隙間が無いそうです。このような技法を生み出した人が居て、その技が受け継がれ、実用の為の塀として竹が役割を果たしている事を想うと、日本の伝統技術の存在価値を知らされます。
何はともあれ、AくんはBさんとの恋人繋ぎを成就できて、よかった。ミッション完了。
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1967年京都市生まれ。
関西学院大学法学部卒。
1915年創業の銘竹問屋・(有)竹平商店4代目、代表取締役。
NHK「BEGIN JAPANOLOGY」「美の壺」などのメディアへの出演や「第8回世界竹会議」の開催組織委員・「日本人の忘れ物知恵会議」のパネラー等を務め、日本の銘竹の美を海外・国内に向け発信する活動を行っている。
|銘竹問屋四代目・ギタリスト|竹/明智藪/嵐山/祇園祭/ギター
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