気になる京都本読んでみた!「謎解き京都のエフェメラル」
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京都をテーマにした書籍や雑誌はとても多く、話題の観光スポットやオススメのカフェ・歴史や伝承などについて様々に語られています。今回は京都を舞台にしたライトミステリー「神宮道西入ル 謎解き京都のエフェメラル」と続刊の「神宮道西入ル 謎解き京都のエフェメラル 夏惜しむ、よすがの花」を取り上げます。本屋さんで見て気になっていた本で、表紙の美しいイラストと、「神宮道」というピンポイントな地名がタイトルなのが興味をそそりました。ネタバレはないのでご安心を!
「謎解き京都のエフェメラル」とは?
京都を舞台にしたことのは文庫のライトミステリーで、作者は泉坂光輝さんです。
主人公は京都で法律を学ぶ大学生、高槻(たかつき)ナラ。彼女の亡き祖父の事務所を継いでいるのが探偵の春瀬壱弥(はるせいちや)、見た目はスマートな30代のイケメンです。
この事務所が「神宮道西入ル」にあります。
ちなみに神宮道とは、平安神宮の前から円山公園まで続く道です。京都市京セラ美術館や京都国立近代美術館・京都府立図書館・平安神宮大鳥居・青蓮院・知恩院などがあり、短いけれど文化的で京都らしい道。日中は観光客が多く通りますが、朝や夜は閑静で静かな場所です。
ちなみにエフェメラルとは「つかの間の、はかない、一日の命の、一日限りの、短命な(Weblio)」という意味がありますが、本作では「エフェメラル=儚いもの」と記されています。
1話完結型で、この2人が依頼人や協力者と関わりながら、様々な謎を解決していくという流れ。文章も難しくなくさらりと読みやすいミステリーです。
本の推しポイント
①リアルな京都が描かれている
地図で指し示せるくらい詳細な地名が出てきます。私は生まれた時からずっと京都住まいなのですが、住んでいたところやよく行く場所がたくさん出てくるので脳内でかなりリアルにイメージできました。いつでも探偵事務所のドアをノックできそうです!
またリアルなだけでなく、京都の雰囲気が幻想的に表現されており、普段暮らしている京都をより美しく感じられます。
②会話が京都弁(京ことば)
京都が舞台の小説でも登場人物は標準語というのが普通ですが、本作は京都弁(京ことば)で会話してくれます!京都人として嬉しいですね。しかも、芸舞妓さんや料亭・旅館の女将さんが使うような本格的な京ことばではなく、日常会話レベルの自然な京ことばなので違和感なく読めます。
1巻の「青い宝石と海辺のソネット」に、探偵の春瀬壱弥が「金魚さんも役に立つもんやな」と話すセリフがあって感動しました。成人した男性が動物に「さん」をつけて呼ぶ感じ、とても京都らしいです!!!
③人が死なない
故人が出てきたりはしますが、むやみに人は死にません。ミステリー自体は好きなのですが毎回殺人事件だと辛くなることもあります。本作のミステリーは心に重たくのしかからないすっきりとしたもので、謎を解き明かす面白さに集中できます。それぞれの話も人の心の機微などに重点がおかれていて「エフェメラルってこういうことか…」と自然に得心しました。どれも読み応えがあり面白い話で、どこか切ないです。
④イケメン探偵が魅力的
探偵ものはやはり、探偵さんがどれだけ魅力的かが大事ですよね!スーツが似合う仕事モードと、ご飯食べるのを面倒くさがるレベルのぐうたらさのギャップや、事件をすみやかに解決する頭の回転の速さなど探偵の魅力がふんだんに描写されていてぐいぐい引き込まれます。
⑤着物や和歌に詳しくなれる
着物の柄や着こなしの説明も、丁寧に表現されています。その表現がが素敵なので、自分も着物を着たくなります。大和路主計(やまとじかずえ)というこれまたイケメンの呉服屋の息子が出てくるのですが、とても魅力的なのでもし実在するならめっちゃ彼に着付けてもらいたいです。2巻の「夏惜しむ、よすがの花」裏表紙にも登場するのでぜひチェックしてみてください。
和歌においても作者さんの豊富な知識がうかがわれます。色彩や情景描写が素晴らしく、和歌の世界観が豊かに浮かんできます。
京都愛が深まる一冊
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