1000個のパーツで作られる京甲冑の世界【京都で伝活!~私たち伝統産業を愛する活動はじめました~】
④ 飾り金具
原型を元に、電気鋳造(電気化学反応を利用した鋳造方法)で銅製の複製品が作られます。手間がかかる方法ですが、精密な文様が再現されるんだそう。兜の縁や吹返しの部分、鎧の袖の部分などに付けられます。
⑤ 縅(おどし)
箔押しされた小札に正絹平打ち紐で綴って編み上げて行きます。この時、紐の通し方や力加減次第で甲冑の形状や美しさが変わってくるので、最も神経をつかうところだそう。
⑥ 小道具類
甲冑を飾る時に支える「芯木(しんぎ)」や、常は兜を納めて、飾るときには台になる「唐櫃(からびつ)」なども製作。
⑦ 仕上げ
専門の職人さんにより仕上がってきたパーツを組み立て、バランス良く仕上げる最終工程です。長年の技術を持ってしても、組上がった後には全体を眺めて、何度も何度も調整を重ねるんだそう。
良いバランスで出来たときには「良しっ」と、心の中でガッツポーズ。
兜飾りの新しい提案
近年では、甲冑飾りを端午の節句だけでなく、家族を災いから守るお守りとして、そしてインテリアとして京都の伝統技術、日本の文化を身近に感じられるようにと、新しいスタイルの兜も登場しています。
さらに、甲冑に使われている美しい部品を活用して、小札を使ったサコッシュなども開発されています。
伝統を守りながらも、新しい文化の創出や、現代のライフスタイルに合わせた商品作りなど柔軟な発想を持って京甲冑は発展して行っています。
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京都生まれ。祖父の代まで染屋を営み、親戚一同“糸へん”の仕事にたずさわる環境で育ち、学生時代はファッションを学び、ウェディング業界へ就職。そこで出会ったテーブルコーディネートに感銘を受け、後に食空間コーディネーターとして起業。京都の伝統産業の産地支援や、五節句や年中行事など生活文化を次世代に伝える活動を行っています。京焼・清水焼の卸売をする夫と夫婦ユニット「おきにのうつわ」を結成して、京焼・清水焼の魅力の発信や講演、展示会プロデュース、また陶磁器以外の伝統産業品のPRや観光業とのコラボなども手がけています。近年スタートさせた「伝活」では実際に京都の伝統産業品を愛でたり、使っている様子をSNSで紹介。
特非)五節句文化アカデミア 理事
|おきにのうつわ
食空間コーディネーター 工芸品ディレクター|うつわ/清水焼/伝統産業
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(写真提供:工房武久)
波形の金属板。奥から順に出来上がって行く様子です。