技法の総合芸術「錺(かざり)」

神社仏閣の建築物やお祭りの神輿、山車などに付けられる錺金具。
先で紹介した技法で製造されたものを材料にして組み合わせて、錺を作られる「錺職人」さんがいらっしゃいます。

完成後のイメージを元に、この部分はどの材料か、このパーツはどんな技法で表現するかなどを計画し、専門職人さんによる既製品をカスタマイズしたり、自作する部品と組み合わせるなどして作られていきます。
また場合によっては近代的な技術も駆使し、また費用も念頭に置きながらトータルにコーディネートして錺を完成させます。
言うなれば錺職人さんは「金属工芸の選手兼監督(+フロントも?)」といったところでしょうか。

錺金具の色々

錺金具の色々

(於:仁科旗金具製作所)

金属工芸を身近に楽しむ

結婚を機に身に付けるようになった結婚指輪。ジュエリーメーカーさんがたくさんありますが、工芸品のPR活動している私たちなので、京都の金属工芸を身に付けたいと、普段はお茶道具を作ってらっしゃる金属工芸師さんが、私たちの無理を聞いて作ってくださいました。

私たち夫婦の結婚指輪

私たち夫婦の結婚指輪

(十六代目金谷五良三郎作)

また、金属で出来た一輪挿しも私のコーディネートに度々登場しています。すっとしたフォルムの一輪挿し。実は底に強力なマグネットを仕込んでもらっていて、テーブルクロスの下
に入れた金属板に付けて自立するようになっています。

蔦の模様が入った一輪挿し

蔦の模様が入った一輪挿し

(仁科旗金具製作所作)

冒頭で記述したとおり、身の回りにはたくさんの金属が存在します。
特に神社やお寺に行くと金属で出来た灯篭や襖の引き手、釘隠しなどの装飾品をたくさん目にすること出来ます。ぜひ、見かけられましたら当時の職人さんがどんな風に作ったものか思いを馳せてみてください。

参考文献
京都金属工芸協同組合 (2023)
参照先
京都金属工芸協同組合ホームページ
香取正彦 井尾敏雄 井伏圭介 (1986) 金工の伝統技法 理工学社
長野 裕 井尾建二 (1998) 金工の着色技法 金工の着色技法 理工学社

金属工芸の技法、錺金具について「仁科旗金具製作所」仁科雅晴さんにご教授いただきました。

Twitter Facebook

この記事を書いたKLKライター

おきにのうつわ
食空間コーディネーター 工芸品ディレクター
三谷 靖代

京都生まれ。祖父の代まで染屋を営み、親戚一同“糸へん”の仕事にたずさわる環境で育ち、学生時代はファッションを学び、ウェディング業界へ就職。そこで出会ったテーブルコーディネートに感銘を受け、後に食空間コーディネーターとして起業。京都の伝統産業の産地支援や、五節句や年中行事など生活文化を次世代に伝える活動を行っています。京焼・清水焼の卸売をする夫と夫婦ユニット「おきにのうつわ」を結成して、京焼・清水焼の魅力の発信や講演、展示会プロデュース、また陶磁器以外の伝統産業品のPRや観光業とのコラボなども手がけています。近年スタートさせた「伝活」では実際に京都の伝統産業品を愛でたり、使っている様子をSNSで紹介。
特非)五節句文化アカデミア 理事

記事一覧
  

関連するキーワード

三谷 靖代

京都生まれ。祖父の代まで染屋を営み、親戚一同“糸へん”の仕事にたずさわる環境で育ち、学生時代はファッションを学び、ウェディング業界へ就職。そこで出会ったテーブルコーディネートに感銘を受け、後に食空間コーディネーターとして起業。京都の伝統産業の産地支援や、五節句や年中行事など生活文化を次世代に伝える活動を行っています。京焼・清水焼の卸売をする夫と夫婦ユニット「おきにのうつわ」を結成して、京焼・清水焼の魅力の発信や講演、展示会プロデュース、また陶磁器以外の伝統産業品のPRや観光業とのコラボなども手がけています。近年スタートさせた「伝活」では実際に京都の伝統産業品を愛でたり、使っている様子をSNSで紹介。
特非)五節句文化アカデミア 理事

|おきにのうつわ
食空間コーディネーター 工芸品ディレクター|うつわ/清水焼/伝統産業

アクセスランキング

人気のある記事ランキング