京都には珍しい神社がたくさんあります。髪の願い事なら御髪神社、観光客の安全を守り観光業の発展を祈る京都観光神社、車折神社内にある芸能神社など。専門性が高いのは、ピンポイントで叶えたい願い事がある人にはぴったりですよね!
なんと京都の大山崎町には「油」の神様がおられるんです。生活には欠かせない油、料理や美容に関心が高い方にはぜひお詣りしたい神社ではないでしょうか?KLK編集部が離宮八幡宮に参拝してみました。

離宮八幡宮とは

離宮八幡宮は1150年の歴史をもつ神社で、嵯峨天皇の離宮跡である「河陽宮」跡に創建されました。石清水八幡宮の元宮であるとされています。平安時代に神官が神勅を受けて「長木」という搾油機を発明し、荏胡麻(えごま)油の生産をはじめ、「油座」※1 として専売特許を持つようになり栄えました。油商人が商うためには離宮八幡宮の許可が必要だったそうです。

製油発祥の地の石碑

製油発祥の地の石碑

安土桃山時代に、織田信長の楽市楽座政策と、菜種油の大量生産によって打撃をうけ、徐々に衰退していきました。その後、幕末の「禁門の変」で長州藩の駐屯地となり被災したり、明治時代には東海道本線の京都神戸線開通によって用地とされたこともあって、広大な敷地は縮小されました。

ご利益と授与品

応神天皇がご祭神なので勝ち運の神様として、またその歴史から油の神様として全国の製油業者などからも厚く信仰されています。拝殿にもたくさんの油が奉納されていました。

画像提供:離宮八幡宮

油と勝負の両方にかかった「油断大敵」守が面白い!

御神油

御神油

画像提供:離宮八幡宮

「御神油」として荏胡麻油を購入することもできます。美容や健康にも良さそう!

わたしは御朱印をいただきました!山崎城の御城印もいただけますよ~

荏胡麻油で日本一だった大山崎

離宮八幡宮がある大山崎町は中世には活発な油生産をするようになりました。油生産者は「大山崎神人(じにん)」※2 と呼ばれ油の製造だけでなく小売りもし、西は九州から東は美濃まで広範囲に活動しました。国司や六波羅探題から関所の通行料を免除された文書も残っています。朝廷や幕府の庇護を受けて、大山崎は荏胡麻油の専売権を得ることになりました。足利義満からも自治を認められ自治都市として繁栄していきました。当時は「やまざき」が油の代名詞になっていたほどでした。

室町時代後期に成立した「七十一番職人歌合」では「宵ことに都に出るあふらうり、更てのみ見る山崎の月」と、多忙な油売りの様子がうたわれています。ちなみに仕事をサボっている人のことを「油を売る」と言いますが、江戸時代の油売りの行商人がお客さんの枡に油を注ぎながら雑談をしていたことから言われるようになりました。

 油売り

油売り

画像提供:離宮八幡宮

大山崎えごまクラブ

大山崎では有志で「大山崎えごまクラブ」という活動が行われています。大山崎の情報を発信するだけでなく、地元の大山崎小学校で荏胡麻栽培と灯明油づくりに取り組んでいます。子どもたちは荏胡麻の胤をまき、自分たちの手で油をしぼって地域の歴史を学んでいます。

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