ネット社会でも、文章に語彙力は必要か?~書くのがラクになる文章のトリセツVol.5~
「KLK Academy」とは?
京都で「働き学ぶ」人たちの知見や経験を
共有するコミュニティです。
「失敗は成功のもと」という格言もあるように、
失敗や試行錯誤から得られた経験は、
何物にも代えがたい財産です。
KLK Academyでは、この財産を「知のおすそ分け」として
京都に住む人、働く人、学ぶ人、来られる人と
分かちあうことを目指してまいります。
では、語彙力を身につけるにはどうすればよいのでしょうか?よく言われるのが読書です。それは間違いないと思いますが、ただ漫然と本を読んでいても、なかなか言葉は身につきません。そこで大事になってくるのが「意識」と「実践」です。別にわざわざ読書しなくても、現代社会では大量の言葉が目に入ってきます。その中には自分の引き出しになかった言葉に触れることも多いでしょう。そのとき「へえ~、こういう言い方もあるんか」と思えるかどうかで、語彙力に大きな差がつきます。これはもう「意識するかしないか」の違いだけです。そして、そのような意識が定着すると、それまでなら見過ごしていた言葉、流していた言葉、いわば風景の一部となっていた言葉たちが、視界の中でその存在を主張するようになります。そうなれば、加速的に語彙力がアップするようになります。これが「意識」の大切さです。
次に大事なのが実践です。「知っている」と「実際に使える」には大きな違いがあることは、お分かりかと思います。バットの振り方をいくら知っていても、1回も振ったことがない人より、知識ゼロでも100回振った人のほうが打率が高いですよね。つまり「どんどん書きましょう!」ってことです。お金といっしょで、言葉の知識も持っているだけではもったいないのです。いや、お金はイザというときのために貯めておくことも大切ですが、言葉こそ使ってナンボのもんです。SNSで写真をアップするなら、「美味しかった」「キレイ」で終わらせるのではなく、いろんな言葉を考えてみましょう。きっと「映え」に華を添えてくれますよ。
言葉は文化
ここまで見てきましたように、ネット社会では誰でも簡単に情報を入手できるようになり、知識そのものの価値はダダ下がりしました。それは疑いようのない事実です。しかし、その知識の「使い方」は、これまで以上に重要となります。ひと言でいうと「適切な場面で、適切な言葉を出せる」こと。これをできる人が重宝される時代といえます。ドラえもんは、たくさんの便利な道具を持っています。でも、パニックになると、とたんにポンコツ化し、ヤカンや枕などのガラクタばかりを出して、のび太から「あわてるとダメなやつ」と憐みの目で見られていました。そう、持っているだけでは意味がないのです。言葉はあくまでも道具です。言葉に意味、つまり価値を持たせられるかどうかは、言葉を使う人間次第。本格的なAI時代を迎えるにあたり、私が自分に言い聞かせていることです。
さて、2024年の大河ドラマは源氏物語が舞台となります。一千年前に誕生した、世界で最初の長編小説ともいわれる源氏物語の作者はご存じ紫式部、京都が生んだ女流作家です。文化庁の移転に象徴されるように、京都は文化のまちです。その文化と言葉は切っても切れない関係にあります。文化都市・京都に生きる一人として、私はこれからも言葉を大切にしていきたいと思います。
祇園祭と西陣の街をこよなく愛する生粋の京都人。
日本語検定一級、漢検(日本漢字能力検定)準一級を
取得した目的は、難解な都市・京都を
わかりやすく伝えるためだとか。
地元広告代理店での勤務経験を活かし、
JR東海ツアーの観光ガイドや同志社大学イベント講座、
企業向けの広告講座や「ひみつの京都案内」
などのゲスト講師に招かれることも。
得意ジャンルは歴史(特に戦国時代)と西陣エリア。
自称・元敏腕宅配ドライバーとして、
上京区の大路小路を知り尽くす。
夏になると祇園祭に想いを馳せるとともに、
祭の深奥さに迷宮をさまようのが恒例。
著書
「西陣がわかれば日本がわかる」
「戦国時代がわかれば京都がわかる」
サンケイデザイン㈱専務取締役
|八坂神社中御座 三若神輿会 幹事 / (一社)日本ペンクラブ会員|戦国/西陣/祇園祭/紅葉/パン/スタバ
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