秋の京都を楽しむ!日本庭園のプロに聞いた紅葉の見どころ
京都には寺社仏閣や観光名所が多く、素晴らしい景観のお庭がたくさんあります。秋の紅葉をどこで観るか、迷われている方も多いのではないでしょうか?今回は、京都の庭園のプロである植彌加藤造園様にお話を伺い、紅葉の見どころをいくつか教えていただきました!京都の長い歴史の中で洗練された、「魅せる技術」を知ることで、本格的な紅葉鑑賞を楽しみましょう。
植彌加藤造園とは
植彌加藤造園は1848(嘉永元)年から南禅寺御用達を務め、何百という庭園を管理されている造園業のプロフェッショナルです。日本庭園の育成管理(フォスタリング)を行われ、作庭、お庭の手入れ・育成・修復などをされています。今回は社長の加藤友規様に、庭園における紅葉の見どころについて伺いました。
見どころ①「水鏡」
加藤「嵐山で明治から営業されていた温泉旅館”嵐峡館”が閉館されて、2009年に”星のや京都”として生まれ変わりました。明治からの歴史があるお庭を元に現代的にリニューアルしたので、”星のや京都”はいま14歳ですがお庭の歴史はなんと114歳です。
お庭の写真の右下を見てください。これは石をスライスして磨き、上のモミジを写しています。小倉百人一首に”からくれなゐに水くくるとは”や”流れもあへぬ紅葉なりけり”とあるように、昔の人はモミジが流れに浮かんだ姿や水鏡に映った姿も味わっていましたが、ここではそれを応用して”石鏡”を創らせていただきました。」
見どころ②飛泉障(ひせんさわり)
加藤「1735(享保20)年に記された『築山庭造傳』という古書があります。お庭作りはこういうことが大事ですよということが書いてある当時の教科書ですね。そこに”飛泉障の樹乃事”という教えがあります。
“滝の口或ハ池の此方(こなた)只滝の手前なる方に樹を植えて飛泉の水のありありと見へぬやう奥深く木暗(こくら)く悪(こわ)き様に造るべし。”
これは、滝の横に樹木を植えて滝の水が露骨に見えないようにしましょうという意味です。南禅寺の"滝の間"の写真を見てください。滝の前にしゃらんとモミジを置いているので、滝は丸見えにはならないけれど、とても綺麗に眺められるんです。モミジがさらに映えるための仲間がいるんですよね。ただ単に紅葉だけを見てもらうというよりは、そのコンビネーションを眺めてもらいたいです。
我々庭師は、ただ単にどこどこにモミジを入れようかなというだけではなく、ちゃんとその場所でのコンビネーションを考えて味わってもらおうとしています。例えばここには、もともと祖父が植えたモミジがあるんです。その木は大きくなったので飛泉障の役割を果たせなくなりました。だから、いま私が植えて育てています。さらにその奥は10年前に植えたものがあります。今後のこととか、先のものとの調和などを、立体的に考えています。ただ、モミジの美しさは、我々庭師がものすごく仕掛けて創り上げたものというよりは、その自然の持っている力なんですけどね。」
加藤「そうですね。全て真っ赤になっている状態だけがいいかというと、そうでもないですよね。色が変化していくプロセスにも魅力があります。緑もあり、黄色もあり、赤もあり、グラデーションも味わえる。私はどちらかというとグラデーションの美しさを見てもらいたいです。」
見どころ③南禅寺の紅葉の謎
加藤「我々日本人が自然を眺めた時の景観木というか、彩りを添えてくれる木のひとつが秋の代表選手のモミジですよね。季節も感じられるし、だいたい万葉集の昔から人はモミジを眺めています。例えば庭木の王者である松は、もちろん景観木としてすごい存在なんですがちょっと玄人好みですよね。モミジは一般にもとても人気があります。
さて、南禅寺の三門は石川五右衛門が”絶景かな絶景かな”と言った伝説のある場所として有名です。歌舞伎の『楼門五三桐(さんもんごさんのきり)』という作品にでてきますね。あのシーンでは桜吹雪がばっと舞っていたりするんですが、実は南禅寺はもともと、松並木の世界なんです。安土桃山時代あたりの南禅寺に、そんなにサクラやモミジはなかったんですよ。
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画像提供:植彌加藤造園株式会社