秋の京都を楽しむ!日本庭園のプロに聞いた紅葉の見どころ
加藤「頼山陽先生の詩で”遇人休問南禅寺一帯青松路不迷(人に遇うて問うをやめよ南禅寺。一帯の青松路迷わず)”というものがあるくらい、南禅寺にはマツしかなかったんです。100年前に三門を撮られた写真でもまだマツばっかりなのに、今はサクラとモミジの名所でしょう。これは何でかというと、うちの祖父がサクラとモミジを植えたからなんです。それまでマツばっかりだったところにサクラを植えて、サクラばっかりでは秋がさみしいので、サクラとモミジを組み込みました。いま南禅寺三門といえば、春のサクラ・秋のモミジで味わってもらっているわけですが、そのような裏話があります。今日のこの南禅寺さんの姿というのは、そういう意識で、想いを持ってモミジを足していったという姿なんですね。祖父の代の先輩たちの仕事をずっと受け継いで、いまも手入れをさせてもらっています。大自然の中でのモミジもとても綺麗だと思うんですけど、南禅寺にはそれとはまた違った、心にぐっとくる綺麗さがあります。こうした人の営みがある空間の中で紅葉を味わってもらうのもオススメですね。
無作為の作意
加藤「庭師の創意工夫を、"無作為の作意"という言葉で表現します。作為が無いという意味の"無作為"に、”作意”の意は意図の意で、”作意”とは”作ろうとする意図”のことですね。そのようにして、この庭が自然にできたんですっていう風に見えるようにしています。"自分が作ったんや!どや!!"という顔をしてはいけないんですよ。白鳥と同じで、水面の上だけを見たら優雅ですが、実は水中では意識して足をバタバタさせているようなものですね。
おわりに
今回は、一般人にもわかりやすい紅葉の見どころや裏話を教えていただきました。お庭などで綺麗な紅葉を観る時も、その景観を設計している人がいるんだなと考えると世界が広がりますね。自然のように見える庭師さんの「作意」はわたしたちをより高みの美しさに導いてくれます。秋の京都観光はぜひ美しいお庭を堪能してくださいね。
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