そこで、こう直してみました。

修正ポイントは2つ。1つは文章を分けたこと。2つめは主語と述語を近づけたこと。長い文や、主語と述語の間にゴチャゴチャと入った文は、全体が見渡せず主語と述語の関係が見えづらくなるからです。


他にも「主語の省略」「述語の省略」「修飾語と被修飾語のねじれ」など、たくさんありますが、それを書き出すと本格的な「国語の時間」になってしまい、サイト離脱される方が続出するのでやめときます。とにかく、ポイントは「一文を短くすること」「主語と述語は近くに置くこと」だと考えてください。

敬語の間違いも、つまずきポイント

次に、文法と並んで読み手に「ん?」を与えてしまうのが「敬語の間違い」です。いくつかの例を挙げてみます。

【誤】おっしゃられる
二重敬語になっています。

【正】おっしゃる


【誤】拝見される
謙譲語の「拝見」と、尊敬語の「~される」が混在しています。

【正】拝見する or ご覧になる


【誤】花に水をあげる
人ではなく物に対して「あげる」は不自然です。※擬人化する意図がある場合は別。

【正】花に水をやる


文法の間違いも敬語の誤用も共通しているのは「会話なら気にならない」ということです。文章は目に見えるので、間違いに気づきやすいからでしょう。さらに最大の問題は「文法や敬語の間違いは、自分で気づくことが困難」だということです。前述した「国語力に長けた人に読んでもらう」ことの有効性はここにもあります。

テクニック編

ここまで、正しいかどうか?にこだわってきましたが、ここで少しだけテクニック的な話もしてみようと思います。「間違っているわけではないけれど、なんとなく読みづらい文章」や「なんだか稚拙な文章だな」って思うこと、ありますよね。そんな文章もちょっとしたテクニックで、ワンランク上の文章に見せることができます。いくつかのテクを並べていきますね。

■語尾に注目

「~です。」「~ました。」など、文の終わり方には一定のパターンがあります。ここで注意したいのが、同じ語尾が何度も続くと、単調な文章となり読み手は飽きやすくなってしまいます。あるいは、幼稚なイメージを与えしまう危険もあります。小学生の作文で「昨日、海に行きました。海で泳ぎました。かき氷を食べました。お父さんの車で帰りました。」なんて文章、見たことがあるかと思います。でも、意外と私たちも「~です。~です。~です。」の連打をやっちゃってます。これは、推敲時に「語尾だけを追いかける」という目線で見ていけば、カンタンに修正できます。ちなみに、私は「同じ語尾が続くのは2回まで。3回目はアウト」を基準にしています。あと、単調な語尾にアクセントをつけるテクニックとして「体言止め」が有効です。

■「の、の、の」はアウト

「京都の中学校の生徒の数の比較をする」

はい、この文では「の」が4回も続きましたよね。なんとなく読むほうぎこちなくなってきます。つまりリズムがよくありません。私の場合は「『の』の連打は2回まで」とルールを決めています。そこで、こう直してみました。

「京都の中学校の生徒数を比較する」

いかがでしょう?
だいぶスッキリしたと思いませんか?

■平がなが続きすぎる 

Vol.1では「文字数に対する漢字の割合を30%以下に抑える」と書きました。漢字が多いとゴツゴツして、「読みにくそう」なイメージを与えるからです。でも、だからといって平がなが続きすぎると、かえって読みづらくなります。

ここで、少しだけマニアックな話におつきあいください。「昭和世代のゲームあるある」で、ドラクエⅡの「復活の呪文」は、多くのエピソードを残してくれました。復活の呪文とは、ゲームの記録を残すためのパスワードです。これがなんと平がなばかりが50文字くらい続くのです。しかも「ないよしはあよまにしまにきなしくしのりはふはしまよあゆまきへしみこのしまはとらまとしはよよはまよぬめ」みたいに、まったく意味のない文字がひたすら続くのです。ゲームを再開するときに、このパスワードを入力するのですが、たとえ1文字でも間違えると一巻の終わりです。数時間、ときには徹夜も辞さず苦労して苦労して進んだシナリオがパー。すごろくの振り出しみたいに元の位置からリ・スタートとなるのです。

なぜ、間違いがおきるかといえば「ひたすら平がなが続くから」です。漢字って難しそうに見えて、実は文章を読みやすくするためのアクセントになってくれていたんですね。はい、ドラクエをご存じない方にとっては「なんのこっちゃ?」の話となってスミマセン。話を戻しますね。ようするに「平がなが続きすぎると読みづらいので、適度に漢字またはカタカナを入れましょう」ってことです。

漢字がほどよく入ると読みやすくなる

漢字がほどよく入ると読みやすくなる

■2通りの解釈が成りたつ文は不親切

「このはし渡るべからず」

一休さんが「はし」を「橋」ではなく「端」と解釈することで、堂々と橋の真ん中を歩いた話は誰もが知っていますよね。この話のミソは、2通りの解釈が成立することにありました。物語としては痛快ですが、私たちがこのような文を書くと余計な誤解を招きますし、なにより読み手を惑わせるのは不親切だといえます。もうひとつ例をあげましょう。

美しい嵐山の渡月橋。

美しいのは、嵐山なのか渡月橋なのか?こちらも2通りの解釈が成り立ちます。こうなると読み手は「ん?」となって読み返す人もいるでしょう。つまり相手の時間を奪っていることになり、不親切な文章だといえます。

嵐山が美しいのであれば「美しい嵐山に横たわる渡月橋」、渡月橋が美しいのであれば「嵐山の美しい渡月橋」とすれば、しっかりと伝わります。

推敲は1回では終わらない

ひと口に推敲といっても、いろんなチェックポイントがあることを、お分かりいただけたかと思います。慣れないうちは「論理のチェックで1回、誤字脱字のチェックで1回、語尾のチェックで1回…」というように、ポイントを1つずつ絞ってチェックすることをオススメします。

「え~、そんなに何回もチェックするの?」

と思われた方も多いことでしょう。タイパ(タイムパフォーマンス)が叫ばれる時代に逆行したことを言っているかもしれません。でも、本当のタイパとは「短い時間で効率よく書く」ことではなく「効率よく確実に伝える」ことです。だって、伝わらなかったら、書くのに要した時間すべてがムダに終わるわけですから。

私は記事をアップするときは平均で10回くらい推敲しています。それでも時々やらかしていますが…。みなさんも騙されたと思って、一度10回くらい推敲してみてください。初回の文章と10回推敲した後の文を見比べてみると「別人の文章か?」と思うくらいに洗練されて読みやすい文章になったことに気づくはずです。

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この記事を書いたKLKライター

八坂神社中御座 三若神輿会 幹事 / (一社)日本ペンクラブ会員
吉川 哲史

祇園祭と西陣の街をこよなく愛する生粋の京都人。

日本語検定一級、漢検(日本漢字能力検定)準一級を
取得した目的は、難解な都市・京都を
わかりやすく伝えるためだとか。

地元広告代理店での勤務経験を活かし、
JR東海ツアーの観光ガイドや同志社大学イベント講座、
企業向けの広告講座や「ひみつの京都案内」
などのゲスト講師に招かれることも。

得意ジャンルは歴史(特に戦国時代)と西陣エリア。
自称・元敏腕宅配ドライバーとして、
上京区の大路小路を知り尽くす。
夏になると祇園祭に想いを馳せるとともに、
祭の深奥さに迷宮をさまようのが恒例。

著書
「西陣がわかれば日本がわかる」
「戦国時代がわかれば京都がわかる」

サンケイデザイン㈱専務取締役

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自称・元敏腕宅配ドライバーとして、
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