知られざる祇園祭 弓矢町武具飾 ~武者行列の復興に向けて~
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山鉾巡行、神輿渡御、花笠巡行・・・祇園祭は華やかで有名な行事が目白押しですが、「弓矢町武具飾(ゆみやちょうぶぐかざり)」をご存知でしょうか?
実は昭和49年まで、甲冑をつけた武者が祇園祭の神輿行列に参加していたんです!今は行われておらず、その行列で身につけられていた甲冑の展示を鑑賞するのみになっています。
弓矢町の武者行列は今後復活するのでしょうか?その歴史と今後の展開について調べました。
弓矢町とは
弓矢町は京都の六原(ろくはら)地域にあります。平安時代末期は平清盛率いる平家の本拠地であり、その後は六波羅探題がおかれたところですね。いまでは六波羅蜜寺や六道珍皇寺がある場所として知られています。清水寺も近いので観光で通る方も多いのではないでしょうか。
弓矢町は松原橋(安土桃山時代までは五条橋)の東側、清水坂の西に位置する松原通周辺にあります。中世以前より祇園社(いまの八坂神社)に仕えていた犬神人(いぬじにん)の系譜を引いた人々が住んでいました。かつて住人は弓矢の製造に関わり、祇園祭には弓矢を携えて神事の護衛にあたったことから「弓矢町」と呼ばれました。洛中洛外図では柿渋色の衣に白い頭巾姿で神輿を先導している「六人の棒衆」が描かれていますが、これが弓矢町の人々です。
武者行列とは
弓矢町では古くから祇園祭の神幸祭と還幸祭の神輿渡御を先導することを慣例としていました。祇園祭の祭礼の行列に「弦召(つるめそ)」という鎧武者の行列を成し、時代によって形態を変えながらも神輿の先頭に立って警固していました。ちなみに「弦召」の由来は平時に弓矢町の人々が弓や弦を作って「弦(つる)めせ~」と売り歩いたことから人々にそう呼ばれるようになったんです。
明治8(1875)年からは清々講社第二号弓矢組として神幸祭と還幸祭に供奉しました。しかし行列への参加は財政的な負担が大きく、甲冑も損傷していき、還幸祭は昭和41(1966)年、神幸祭は昭和49(1974)年を最後に行われなくなりました。昭和50(1975)年からは「弓矢町武具飾り」として町内の各家に甲冑を飾り、その伝統を今に伝えています。
事務局にインタビュー
弓矢町の今後について、事務局の皆さんにお話をお聞きしました。
弓矢町「弓矢町は八坂神社に奉仕する町内です。祇園祭の際には古くから素戔嗚尊(すさのおのみこと)の先導を務めました。長く続いてきたのですが、1974年にいったん中止することになりました。今では町内で虫干しを兼ねて鎧を飾っています。これが弓矢町なりの祇園祭なんです。」
弓矢町「全部です!研究も進めたいですし、祇園祭の行列にもまた参加できるようになりたいです。しかし1回きりのものではないので、長いスパンで準備が必要だと思っています。発信も強化していますし、鎧の修理などはやっているところが少ないので工房を探すところから始めています。たとえば、鎧を一領作るためには160mの紐が必要だと聞いています。軍資金も必要ですし、やることは盛りだくさんです。」
弓矢町「愛知大学准教授の佐藤先生に協力してもらって、今後につなげる取組もしています。11月には蔵に保管されている武具などのアーカイブ調査も予定しています。古い鎧の保存だけでなく、発展につなげていきたいですね。
この前は町内の有志で、研修として愛宕(おたぎ)念仏寺に行きました。今は嵯峨鳥居本に移転していますが、元々は弓矢町にあったお寺なんですよ。感慨深かったです。」
弓矢町「数年前までは事務局の人員が不十分だったので、あまり広めてこなかったんです。今は若い方も手伝ってくださるようになり、環境が整ってやっと広報ができるようになりました。若手の筆頭である岡田さんがLINEグループを作ってくれたのは革命でしたね(笑)
武者行列の復活も、宮本組さんは是非出てくれと言ってくださるのですが、1回限りでなくて毎年行列に参加できる体制が整うまで参加することはできない、とお断りさせてもらったこともあります。
今までは役員だけで会議などをしていたのですが、町内や外部の皆さんにも広めて共有するようになりました。そうじゃないと武具飾りすら続けることができなくなります。町内の方だからといって皆が関心を持っているわけではありませんので、巻き込んで気運を盛り上げたいです。やるからには、100年続くような行列にしたいんです。」
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画像提供:米沢市上杉博物館