大河ドラマ「光る君へ」で紫式部の人生が描かれていることから、2024年は「源氏物語」が注目されています。でも源氏物語をゼロから読み始めるのって、長くて心が折れそうになりますよね。また、がんばって読んでみたけどあまり共感できなかった・難しかったという方もおられるのではないでしょうか。

2024年6月14日(金)、京都新聞文化ホールで「源氏物語のはじまり、そしてミライへ」というトークイベントがあります。作家の山崎ナオコーラさんと石山寺座主の鷲尾龍華さんが源氏物語を語るという内容が、源氏物語の世界に興味を持つ人にとって、とても良さそうなのでご案内いたします。源氏物語を知る&深めることの一助になるイベントです。

源氏物語を読んでいない方へ

広重『源氏物語五十四帖 若紫』

広重『源氏物語五十四帖 若紫』

嘉永5 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1308829 (参照 2024-05-31)

源氏物語には、熱心なファンの方がたくさんおられます。作品を読み込んだ上で、平安時代について勉強したり、装束やくずし字について学ばれたり、すごい方はめちゃくちゃすごい世界です。

わたしは高校生のときに、大和和紀さんの漫画「あさきゆめみし」と田辺聖子さんの小説「新源氏物語」を通して、源氏物語に触れました。あとは古典の時間にたまに原文に触れたりするくらいの「ちょっとだけ源氏物語のストーリーを知っている人」です。それでも、「あの頃に源氏物語を読んでて良かったな」と感じることがたびたびあります。

一陽斎豊国『須磨』(源氏香の図)〔山本屋平吉〕

一陽斎豊国『須磨』(源氏香の図)〔山本屋平吉〕

国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1305894 (参照 2024-05-31)

源氏物語の魅力は、作品そのものであることは勿論ですが、千年前から愛されているため裾野が広いことも挙げられます。次代の芸術作品のモチーフになることも多く、オマージュやパロディが続々と作られています。

たとえば小説や漫画、ドラマ、映画などでも源氏物語の有名なシーンがオマージュされていたり、絵画や美術工芸品のモチーフやタイトルに使われていたりすることも多々あります。京都国立博物館の常設展なんかをぐるりと周ると、かならず1つは源氏物語に関係する展示品に出会うように思います。

また、お香の香りのパターンを源氏物語各帖のタイトルであらわす「源氏香」というゲームがあります。この源氏香の意匠は優れたデザインなので、着物の文様などにも使用されています。このように「源氏物語」という1つの作品を知ることが、多くの芸術の理解にもつながるのです。

「若紫」と聞けば何も知らない少女のみずみずしさと、ひとりの男性の恋のはじまりを連想します。「須磨」と聞けば、都から遠く離れて心細いような、また物語が大きく動くような気持ちをおぼえます。そして「紅葉賀」と聞けば、とある女性の運命の残酷さと、青年たちのきらめくような青春の美しさが頭をよぎります。源氏物語を読み、そこで得た知識で世界を見ることによって、目に映る世界がすごくカラフルになるんです。勿論これは、源氏物語以外の偉大な他作品にも言えることではあります。

でももし源氏物語の世界に興味をもったならば、ぜひ読んでもらいたいです。群青・葡萄茶(えびちゃ)・萌黄・蘇芳など、新しい色の名前を知るように、きっと豊かな気持ちになれますから。

源氏物語とさまざまな方法で向き合おう

以前、源氏物語を読んでいない知人に「これなら読みやすいよ~」と「あさきゆめみし」を貸して布教を試みたことが2度あったのですが、当時と現代の、常識や感性などのギャップでつまづき、読まれなくなってしまいました。

(左)山崎ナオコーラさん (右)鷲尾龍華さん

(左)山崎ナオコーラさん (右)鷲尾龍華さん

今回のトークイベントでお話される山崎ナオコーラさんは著書「ミライの源氏物語」でルッキズムやロリコン、不倫など様々なキーワードに着眼して、現代的な読み方を提唱されています。現代人が感じる「源氏物語への違和感」と向き合うことですっきりと読めるようになる方もおられるのではないでしょうか。

鷲尾龍華さんは著書「ほとけの誓い、おもき石山 紫式部ゆかりの寺にて」で女性座主としての想いや祈りを綴られています。古典を継承するお立場からのご意見も勉強になりそうです。源氏物語を読んだことがない方も、または読み深めているけれど他の人の解釈を聴いてみたいという方にもおすすめです。

源氏物語のはじまり、そしてミライへ

Bunkamuraドゥマゴサロン 文学カフェ with THE KYOTO
「源氏物語のはじまり、そしてミライへ」
日時 2024年6月14日(金)18時30分開演
会場 京都新聞文化ホール

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