前回までは、何を事業としてやっていくかを決め、すぐにでも事業をスタートできる状態だったと思います。
今回は、事業をスタートした後に、どのように事業を持続していくのか?という視点でのお話になります。
せっかく始めた自分の事業、どうにかして継続していきたい……事業の持続化のために考えるポイントを、いくつか紹介していこうと思います。
単発の出費と継続的な出費を捉える
事業を続けていくためには、支出よりも収入が多いことが必要です。当たり前ですね。逆にいえば、収入より支出が少なければ、事業を辞めなくても済むわけです。ですから、支出をしっかりと捉えておくことは、事業を持続していくうえで必須です。
「さて、なにをやろう!ビジネスアイデアを考えよう」の章で固定費の話を書きましたが、固定費は常に把握し、見直していく方が良いでしょう。なんせ、固定費が払えなくなった瞬間に事業が終了するわけですから。最低限のランニングコストを把握し、収入と比べながら、どれだけのお金を貯蓄に、どれだけのお金を新規の投資に回して良いかを計算しておきましょう。
そんなこと言われなくてもわかっているよ、と言われるかもしれません。ですが、事業が軌道に乗り始めるとついついサボってしまう部分なのです。地味で面倒な作業ですから。
勝って兜の緒を締めよ。うまくいっている時ほど支出に敏感になりましょう。
仕組み化をし、属人性をできるだけ排除する
事業をするうえで、自分が動いて自分が生活できるお金をもらえるようになりました。さて、もしここで体調を崩して自分が仕事ができなくなった時、どうなるのでしょうか。そうです。事業が止まってしまいます。
もし、万が一自分が動けなくなった時に備えて、取り組む必要があるのが仕組み化です。手段はなんでも良いです。
機械化、マニュアル化、生成AIを活用する……業務ごとに合った方法を活用していきましょう。
仕組み化の目指すべきゴールは「普段仕事をしていない人でも、少し教えただけで対応できる」状態です。
現実問題、そのレベルまで仕組み化ができることは難しいです。営業や戦略などは特に、自分以外の人がやることは難しいです。ですが、それ以外のことについては、できるだけ仕組み化しておくことによって、リスクヘッジになります。
仕組み化しておくとミスが減ったり、時間の短縮にもなったりし、やっておいて損はないです。
体調不良に備えてだけではなく、事業が拡大して人を雇おうと思った時にも必要になります。なんにせよ、事業をしていくうえでは仕組み化は必要になるわけです。
時間削減に取り組む
仕組み化にも近い話ですが、時間削減についても取り組んでいきましょう。
事業をやっていくうえでかかるランニングコストは、お金だけではありません。自分を動かすための時間もコストです。仕組み化でも触れましたが、機械による自動化やフォーマットの作成などが、時間削減の手段として挙げられます。
事業を継続していくとしても、自分が動かなければいけない時間はできるだけ削減していく方が良いです。
自分が動かなければいけない時間が長いと、余裕が生まれにくくなります。余裕がない状態だと、アクシデントへの対応や、新事業を考えること、既存事業の底上げなどにまで頭が回らなくなってしまいます。
時給換算で3,000円を目指そう
これまでの話を達成するために、事業は、時給換算で3,000円くらい稼げるところまで成長させることをお勧めします。
ざっくりとですが、ランニングコストに加え、自動化や仕組み化をするための費用を1時間1,000円と計算し、アルバイトを時給1,000円で雇ったとして、残りの1,000円が経営者の実入りになります。これが達成できると、自分が動く必要のある時間を減らし、仕組み化をしながら利益を生み出すことができるようになります。
もちろん、アクシデントや人件費、ランニングコストの高騰に備えて、できるだけ収益性の高い事業になるように工夫していくことが大切です。。時給換算3,000円は、自動化と仕組み化をするための目安として捉えてください。
〝安定をした収入源を持つことで、やりたい事業に取り組むことができる〟
ここまでが達成できると、〝あまり手をかけずに、継続的に利益を生み出すことができる事業〟が完成します。これは事業の1つのゴールです。
ここまで来るとだいぶ余裕が生まれます。
とりあえずご飯を食べることができ、「次はなんの事業をしようかな?」と考え始めることができます。また、2個目以降の事業が失敗したとしても、次の日のご飯に困る心配は少なくなります。
さらに、自分で事業を作ったという実績とノウハウも手に入ります。未経験だったときよりも多くの人が手を貸してくれるようになります。
既存事業を大きくすることを考えても良いですし、さらに規模の大きい事業を考えて、取り組んでみることも良いでしょう。
もしくは、より自分のやりたかったことに近い事業に取り組むことも良いです。
コンサルティングで有名な分析手法として、「PPM分析」というものがあります。これは、ボストン・コンサルティング・グループの創業者が考案したものです。
ここではざっくりとしか触れませんが、PPM分析では事業を以下の4種類に分類します。
・花形
・金のなる木
・負け犬
・問題児
〝花形〟は、現在利益を生み出しており、これから先も成長する見通しのある事業です。〝金のなる木〟は、現在利益を生み出しているが、これ以上の成長は望みにくい事業です。
〝負け犬〟は、利益を生み出せず、成長の予測ができない事業です。〝問題児〟は、現在利益を生み出していないが、今後成長して花形や金のなる木になる可能性がある事業です。
自動化と仕組み化が進んだ事業は、〝花形〟もしくは〝金のなる木〟に該当します。
あなたが作り出した〝花形〟や〝金のなる木〟の事業の利益をもとに、あなたが面白いと思う〝問題児〟の事業に取り組んでいきましょう。