花材を折紙につつんで
絵図② 『抛入花伝書』所収。初代池坊専好著。同書には著者名が記されていないため、これまで色々の名があげられてきた。だが、私蔵の『齢花集覧』にて初代池坊専好が記した花書であることが判明した。初代専好は、京の都で「百瓶華会」と称する生け花展を開き、京都の人々の人気をさらった。それだけでなく、文禄三(一五九四)年、豊臣秀吉が、彼の家来の前田邸に御成(おなり)したとき、つまり秀吉が前田邸を訪問した時、前田邸の大床には「砂の物」と呼ばれる形式の生け花を生けたことが知られている。その生け花の作品は、のちのちまで「池坊一代の出来物なり」と語り継がれているように、一面雄大で華麗であるだけでなく、静々とした優美さを兼ね備えていた。元日本大学教授で故湯川制氏は「初代専好は、西洋における、十六世紀のミケランジェロに匹敵する、大芸術家である」と評した様に、稀にみる傑出した花道家であった。
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編集部
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絵図② 『抛入花伝書』所収。初代池坊専好著。同書には著者名が記されていないため、これまで色々の名があげられてきた。だが、私蔵の『齢花集覧』にて初代池坊専好が記した花書であることが判明した。
初代専好は、京の都で「百瓶華会」と称する生け花展を開き、京都の人々の人気をさらった。それだけでなく、文禄三(一五九四)年、豊臣秀吉が、彼の家来の前田邸に御成(おなり)したとき、つまり秀吉が前田邸を訪問した時、前田邸の大床には「砂の物」と呼ばれる形式の生け花を生けたことが知られている。その生け花の作品は、のちのちまで「池坊一代の出来物なり」と語り継がれているように、一面雄大で華麗であるだけでなく、静々とした優美さを兼ね備えていた。元日本大学教授で故湯川制氏は「初代専好は、西洋における、十六世紀のミケランジェロに匹敵する、大芸術家である」と評した様に、稀にみる傑出した花道家であった。