100年後に伝えたい祇園祭 郭巨山 コロナ禍での郭巨山

令和元年(2019)の郭巨山は財団となり初めての祭事で活気に満ちていたが、世界中で蔓延した「新型コロナウイルス感染症」は令和2年(2020)初頭には世界に拡大し、疫病退散の祇園祭も「疫病を広めては本末転倒」の観点から山鉾巡行中止の決定がなされた。また「山鉾建ての中止」「午後7時以降の活動禁止」「チマキ授与は積極的に行わない」の通達が山鉾連合会から出された。

令和2年(2020)3月〜4月 京都文化博物館特別展
「京都祇園祭−町衆の情熱・山鉾の風流−」での展示風景

郭巨山では従前から脈々と役員のみで執り行ってきた「吉符入り」を関係者全員の疫病退散を願い希望者全員のお祓いご祈祷を受けた。チマキ授与は午後7時までとし、マスク着用はもとより消毒薬の設置、飛沫防止ビニールの仕切り、ゴム手袋の着用で臨み、手拭い等の販売は行わず、集印には特製朱印御札を作成し捺印は中止とした。

特製御札には真弓常忠八坂神社前宮司(当時)のお言葉「如律令」を頂戴し、朱印帳に貼れる大きさ(A5版)とした。

令和2年(2020)〜令和5年(2023) 特製御札

7月17日の前祭巡行では各山鉾代表1名が小榊を掲げ、御旅所へ詣で本社遥拝をした。

令和3年(2021)に入ってもコロナウイルスは新型株に分かれその猛威は衰えず、2年連続で山鉾巡行は中止となった。しかし、ワクチンの接種、衛生観念の周知も進み、1年延期となった東京五輪も7月に開催されることになり「山鉾建ては各保存会に委ねられ(曳き初めは中止)、路上活動は午後7時までで駒形提灯も消灯する、巡行は各保存会から代表2名が供奉し1名が前年同様に御榊を護持して1名がくじを改める、などが通達された。

令和3年(2021)7月17日 くじ改め

郭巨山は、山建て技術の継承は前年に京都文化博物館の特別展「京都祇園祭—町衆の情熱・山鉾の風流—」で会場に実物展示をしているので「山鉾に人が集中するのは避けられない」との観点から令和3年(2021)の山建ては行わない決定が理事会でなされた。

令和3年7月17日 本社遥拝
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この記事を書いたライター

祇園祭の山鉾のひとつである「郭巨山(かっきょやま)」を守り、受け継いでいくための組織です。