
勇ましくキビキビとした姿で消火活動をする。消防士さんってカッコイイ職業ですよね。逆上がりも跳び箱もできないわたしにとっては、憧れの存在ではあっても、消防士になるなんて考えたこともありませんでした。そんな私が最近、京都市消防局さんに取材したことがきっかけで、俄然「消防士さん」に興味が湧いてきたのです。
なぜかというと、カッコよさだけではなく「ワークライフのバランスが最高の職業」だからなんです。今年度から受験できる年齢も35歳まで引き上げられたとか。

この素晴らしき職業を、これから就職を控えている方や転職を考えている方に、ぜひ紹介したと思い立ち、京都市消防局様の全面的な協力のもと、本サイト「Kyoto Love. Kyoto」が座談会を企画しました!また、市民の方にも私たちの安全を守ってくれる消防というお仕事の知られざる一面をご覧いただきたいと思います。ぜんぶ本音でお送りします!!

Kyosho Nextとの出会い
京都市消防局の若手メンバーが集まる「Kyosho Next」という会があります。そこでは、25年後も持続可能なチーム(京都市消防局)を目指して、京都市消防局の課題などについて定期的にディスカッションが行われています。取材でその会議に参加したとき、色々なことを感じました。一般的に知られている消防士のイメージと現実との違い。皆さんがとてもイキイキと仕事をされていること。何より、メンバーの雰囲気が良い感じなんです。
「皆さんのありのままの姿や想いを伝えるため、座談会をしましょう!」と提案したところ、「よしきた!!」と京都市消防局の皆さんが二つ返事でご承諾いただき、さっそく上鳥羽にある京都市消防学校の車庫で座談会を行いました。


現場に着いてまず驚いたのが、皆さんとっても親切なことでした!! カメラの準備を始めようとしたら、あちらこちらから局員さんが集まってきて、コードリールを出してくれたり、大きいライトを点けてくれたり、椅子をてきぱきと運んでくれたり、車を移動させてくれたり…。その気持ちがありがたかったことはもちろん、とっても手際が良いんです!!よく考えたらそうですよね。消防の現場でマゴマゴしていたら大変なことになりますものね。座談会の本番前の時点で「消防士という存在」を肌で感じる貴重な経験になりました。
外からは分からない消防士の業務
座談会に先立って、Kyosho Nextの皆さんから教えていただいていたのが「一般の人にとって消防士といえば、現場の消防隊員をイメージすると思うけれど、他にさまざまな業務がいっぱいあるし、運動がそこまで得意じゃなくても大丈夫な仕事がたくさんありますよ」ということでした。
さて、【消防士の業務】をトークテーマに座談会は始まります。


救急隊Iさん:僕は救急が長くて、他の業務の経験が少ないんだけど、指揮隊は具体的にどんなことをしているの?
指揮隊Oさん:僕は消防署で指揮隊という、まさにその名の通り「現場で消防部隊の活動を指揮・統括する」部隊の隊員をしています。これまで消防隊だけでなく、予防業務や消防団担当といった毎日勤務も経験してきました。
ちなみに僕、高校も大学も帰宅部なんで、帰宅部でも消防士はできます(笑)
消防隊Yさん:僕の業務は、着ている紺色の制服でお分かりだと思いますが消防隊です。災害の最前線で活躍できるっていうのは、僕にとってはものすごい誇りだと思ってます。また、かつては、119番通報を受ける指令センターにも3年半いたことがあります。女性のセンター員の方もおられ、指令センターの業務に腕力は必要ないので、体力に自信がないという人でも、ここなら大丈夫。
予防担当Oさん:わたしは現場の経験はなく、。現在の業務は事業所への立入検査や、火災予防運動の際の行事の企画立案などです。以前に長く勤務していた消防設備業務では、新築などで消防設備を建物に設置するときに、その届出を受けて現場に検査に行くというお仕事をしてました。

文書法務担当Yさん:わたしは皆さんとだいぶ経歴が異なります。最初は消防隊で、2年経ったら救急隊、そこから人事課勤務になって、また消防隊になって、予防も経験するなど、転々としてきました。現在は文書法務担当で、条例や規則などの改正だけでなく、DX等の導入により職員が働きやすいよう環境を整えるような業務をしています。
消防士といえば救助隊や救急隊みたいな現場のイメージが強いんですけど、予防や管理部門の業務も大事なんですよ。
【わたしの感想】
想像以上に多くの業務によって、私たちの安全が守られているんだと、なんだか感動してしまいました!でも、よく考えたら組織だから当然なんですよね。言ってみれば「消防」というサービスを販売している会社のようなものかな…?
消防士の待遇とプライベート
さて、いよいよお待ちかね(?)の知られざる消防士の待遇とプライベートを覗き見させていただきましょう。口火を切ったのは、Yさんのド真ん中ストレートの質問でした。
消防隊Yさん:では待遇に満足している人は手を挙げて~!

~6名中5名挙手~
消防隊Yさん:……あれ?Hくんどうした、何か辛いことあんのか?いじめられてないか??!

救助隊Hさん:一般的に見たら、高卒で入局4年目の22歳にしては、多分だいぶもらっている方だと思うんです(※1)。ただ、危険と隣り合わせという意味では友だちからもっと貰ってもいいんじゃないと言われたりします。
編集部注:(※1) 日本の男女平均年収より少し多いくらいの額です。
指揮隊Oさん:僕は〇〇円!(Hさんの1.4倍程度)
消防隊Yさん:僕もそのくらいですね。
救急隊Iさん:僕は△△円もらってますね(Hさんの1.6倍程度)
子供の扶養手当が大きいです。3人いるから基本給に扶養手当が付くからベースだけでも結構な金額になります。今勤務している地域は救急出動が多いから時間外勤務が多いので、その手当もいただいています。祝日や年末年始の休日勤務手当も大きいですね。
予防担当Oさん:私は毎日勤務で、時間外勤務もほとんどないですが、それでも□□円くらいあります。キャリアは10年です(Hさんの1.4倍程度)
消防隊Yさん:そうなんだ!時間外勤務無しでその額なんて、かなり充実してるんじゃないですか。
指揮隊Oさん:平日の休みも多いですよね。住民票とかを取りに行く時は便利です。あと、僕の趣味は狩猟なんですが、平日は参加できる人が少ないんで分け前が多いです!

消防隊Yさん:僕も狩りに行きますが、ほんとにそうですよね!
指揮隊Oさん:このメンバーに猟師が2人いるんですよ(笑)イノシシと鹿は平日の方が肉をたくさんもらえます!
消防隊Yさん:変則シフトで働いているので、試しに休日数を計算してみたら、月10日働いて20日休みなんですよ。もちろん「昼寝とかもせず全く無理したら」という計算ではあるんですが、タイパはめっちゃいいですね。
予防担当Oさん:お給料もですけど、きちんと休暇をとれるのも嬉しいですよね。私はプライベートでは結構インドア派なので、家で料理したり、趣味のネイルをしたりしています。
消防隊Yさん:ネイルしてても業務に差し支えないから問題ないですもんね。予防担当Oさん:働きやすさをアピールするとしたら、私は有給休暇を20日しっかりとってます。夏休みも5日全部とって、今年は結婚休暇もとりましたし、リフレッシュ休暇も全部とりました!!

消防隊Yさん:よく考えたら、めっちゃ色んな種類の休日がありますね。子どもを看護するときの休みとかもあるなあ。子供がいたら1人につき5日間の休暇、3人がマックスで15日でしたっけ?
文書法務担当Yさん:私もよく取らせてもらいましたね。子どもはすぐ熱が出ちゃいますから病院行かないといけないですし。
救急隊Iさん:今年から入学式や卒業式でも使えるので、やっぱり大きいですよね。
消防隊Yさん:僕は去年「育休」を取らせてもらいました。子育てに深く関われて、すごく良い時間になりました。
救急隊Iさん:うちの消防署では今、男性女性含めて3人くらい取ってますね。
指揮隊Oさん:僕も2人目が生まれたときに育休を取りました。1ヶ月ですが、取ったことによって奥さんの大変さや、女性の強さがわかるし、尊敬できました。
消防隊Yさん:やっぱり男性が育休を取りやすいというのも、めちゃめちゃメリットですね。しかも気兼ねなく、何なら京都市消防局は「取れ取れモード」っていう。
文書法務担当Yさん:みんな、1ヶ月は取ってほしいなと思っています。子どもの成長は早いし、良好な家庭を維持するためには必要ですよね。
指揮隊Oさん:うちは一家全員で相撲が好きなんですよ。僕が休みの時は寝る前に2人の娘相手で三十番(試合)とっています。それが僕の役目です。子供相手でも30もやったら結構疲れますよ。しかも全部負けてあげないといけなくて(笑)
消防隊Yさん:うちは奥さんが専業主婦なので、家事を全部やってくれています。恥ずかしくて言えないけど感謝しています。いま子供が3歳なんですけど、僕の役割として、子供に全集中&全力で遊び相手をしています!それだけではなく、趣味の狩猟やバイクもやらせてくれてるんで、もう感謝しかないんです……
全員:のろけですか?

文書法務担当Yさん:私の家庭の役割は、お金関係の管理やイベントの企画です。お小遣いは1万円くらい、あまり遣わないので……
指揮隊Oさん:僕も1万1千円!!めっちゃ少ないから仲間がいて嬉しい~

救助隊Hさん:僕はまだ独身ですが、月1万1千円は無理です……!!
予防担当Oさん:私は結婚して1年です。共働きなので家事は2人で協力して半分ずつやってますよ。私がフライパンでの調理が多いので、夫はレンチンでできる料理を作ったり、ご飯炊いてくれたりしてます。
救急隊Iさん:家事の分担じゃなくて、一緒に作ってるの?!
予防担当Oさん:同時に一緒にやります。掃除も洗濯も一緒にします。基本的に全部一緒にやってます。

今まで知らなかった仲間のプライベートにびっくり!
皆さま、赤裸々な告白をありがとうございました!!
京都市消防局のやりがい
待遇は大切。でも、やっぱりやりがいも大事ですよね。
救急隊Iさん:Yさんは、なぜ消防士になられたんですか?
文書法務担当Yさん:大学では物理学を専攻していたのですが、頭のいい人がいっぱいいる中でそっちでは無理やなと…。ちょっとだけ体力に自信があったし、だったらそれを活かした仕事をしてみようかと思ったのと、親戚にも消防士をやっている人が結構いたので、公務員やったら消防だと思って入局しました。今は毎日勤務ですが、それは自分の適性だったんでしょうね。楽しいですよ。
予防担当Oさん:(やりがいといえば)私は二条城やチームラボの立入検査にも行ったことがあります。自分が完成検査に行ったところが営業しているのを見ると嬉しいですよね。そこにお客さんとして行ったりとかして。
救急隊Iさん:Hくんはどう?ずっと救助隊やけどしんどくない?
救助隊Hさん:確かにしんどいこともありますけど、現場で「最後に救出してくれ」と言われるのは僕たち救助隊が多いので、僕らがちゃんとしないといけないと思っています。
現場で訓練通りにできた時にはすごくやりがい感じますし、忙しい日々を送っていますけど、時間を見つけて訓練したり勉強したりもしてます。
消防隊Yさん:街なかで、子供が消防車に手を振ってくれるのって、めっちゃ嬉しくないですか?
救急隊Iさん:確かに!頑張ろうと思えます。子供は絶対手を振ってくれますよね。お母さんお父さんも「ほら、消防車やで」って言ってくれますよね。僕らが頑張っているのを評価してくれている気がして嬉しいです。
消防隊Yさん:これは、消防士のみんなが今まで仕事を頑張ってきた集大成だと思うんですよ。

救助隊Hさん:僕は、消防グッズ(救急車のキーホルダーなど)を自分のジャンバーの中に入れてるんですよ!
消防隊Iさん:え?ジャンパーに?
救助隊Hさん:ジャンバーにキーホルダーを何個か入れていて、小さい子どもが通ったりしたらあげています。ほんまおすすめです。鉛筆、消しゴムやティッシュを入れておいたら、子どもが結構喜んでくれる。僕、子どもと接するのが好きなんですよ。
救急隊Iさん:じゃあ、いま子どもさんが出張所に行ったらHくんに会えて、消防グッズも貰えんの?
救助隊Hさん:出張所に来てもらえたら僕がグッズやおもちゃを配ります!!
救急隊Iさん:すごいな~。
救助隊Hさん:15年後、その子が消防士になってくれる可能性がありますよ!
全員:素敵~!!
消防隊Yさん:15年後も絶対僕らの仕事はなくなってないはずです、必要ですから。法律にも明記されてるし、そんな仕事をやらせてもらっているのは素晴らしいことだと思っています。
予防担当Oさん:公務員という枠で、毎日勤務が魅力で入局したんですが、消防は他の行政職よりも市民と近いところで仕事ができるとも感じます。
消防隊Yさん:消防士って、鍛えてて、体力あって、技術あってみたいに思われがちなんです。でも、結局やってることってホースを伸ばして水を出すというシンプルなことなので、多くの方ができることだと僕は思うんです。必要なのはマンパワーですから、筋骨隆々で最強の5人がいるより普通の10人がいる方が良い活動になると思っています。
指揮隊Oさん:現実では、ヒーローでもなんでもない、ただの地方公務員なんですよ。
消防隊Yさん:とはいえ、特殊な技能を持つ救急救命士さんなどもおられます。もちろん訓練が必要ですけど、それでも結局やるのは「人」ですからね。人がたくさんいてくれたらもう本当に助かるんです!!皆さん、誰でも京都市消防局に来てください。よろしくお願いします!

応募はここから!
京都市消防局:職員採用案内
【KLK編集長’s eyes】
「チームワークで仕事を進めろ!」とよく言われますが、京都市消防局ほどそれが自然体で徹底されているチームを私は見たことがありません。組織としての縦の指揮系統は明確でありながらも、それぞれのセクション内やセクション同士のつながりが極めてフラットで(連携という意味で)ストレスフリーなのです。だから京都市の消防・防災力は全国屈指なのか!と納得もしました。すべての企業や団体がこんな風に運営できたなら目標達成も容易いんだろうな、そして給与もお休みも、待遇がすこぶるよくて満足感が高いからこそのハイパフォーマンスなんだろうなと、経営者としては考えさせられました。バリバリの体育会系の人はもちろん、頭脳派の人も、帰宅部だった人もみんなに活躍の場がある京都市消防局。仲間を思う優しさと、この街と市民守る使命感を兼ね備えた心優しくもタフなレディース&ジェントルメンたちに接した昭和な私は「熱い心を強い意思で包んだ人間たち」というGメン’75のオープンングのナレーションとあの映像を思い出しました。

