「京都の動物園でまったりほっこり」~京都市動物園の五月~

アクビも出る程のどかな日常

桜の季節もあっという間に過ぎ去り、木々は柔らかい葉を茂らせ始める。
園内は花見の時期のような賑わいも収まり、落ち着いた時間が流れている。
見上げれば、アクビ中のまったりしたジャガーを目撃し、なんだかコチラも眠くなりそうな光景である。
今日は園内をぶらり。

アクビをするジャガー

ミライハウス

園内を散策していると小腹が空いてくる。メインエントランスから、のらりくらりと歩いて動物達を見ていると東エントランス前に「ミライハウス」というショップが現れる。何処にでもあるお土産売り場なのだが、他の園では見られない大人向けのオリジナルアパレルや雑貨も豊富にある。特に「ヤブイヌグッズ」は日本一のアイテム数を誇るとのこと。ショップ店長が「ヤブイヌ」をゴリ推しているそうだ。
ショップ店長の「ヤブイヌ」への愛は日本一なのだろう。

ミライハウス テイクアウト注文カウンター

三月にリニューアルしたというテラスで小腹を満たすため、テイクアウト注文カウンターへ向かう。
お孫さんらしき男の子を連れたおばあちゃんが、注文しているところだった。お孫さんと散歩がてら気軽に来られる動物園があるのは良い。

ミライハウス テイクアウトメニュー

メニューは一見、何処の動物園でもよく見かける、「焼きそば」や「フライ物」がずらりと並ぶ。
メニューの中でも目を引く「琥珀糖」がちりばめられた可愛くて綺麗なソフトクリームを注文。琥珀糖のシャクっとした歯触りとなめらかなソフトクリームの食感が食べていて楽しい。通常のソフトクリームが四百円なのに、この「キラキラ琥珀糖ソフトクリーム」は五百円とお手頃でお得な感じがする。

京菓匠 高野屋貞広の琥珀糖を使ったキラキラ琥珀糖ソフトクリーム

甘いものを食べたら、やはりしょっぱいものが欲しくなるのは仕方ない。錦市場の丸常蒲鉾店の天ぷらにミライハウスオリジナル焼き印を焼き付けた「ZOO天」を3種注文。軽食かと思いきや意外とボリュームがあってすでにお昼ご飯を食べたくらいの満足感だった。やはり美味しい。ビール片手にちょうど良いだろう。

錦市場の丸常蒲鉾店 ZOO天

動物園のショップ横には必ずと言って良いほど置いてある、ミニUFOキャッチャー。手乗りゾウさんのぬいぐるみが連れて帰って欲しそうな顔してコチラを見つめている。その視線に負けて百円玉を投入。
あっ、つかめた。と思ったらコロリンとアームから滑り落ち元の場所へ。気づけば五百円も使ってしまったのに連れて帰ることができなかった。残念。ちょうど小銭もなくなったので潔く退散することにしてまた園内をぐるり。

ミニUFOキャッチャーの手乗りゾウさんのぬいぐるみ

まったりゴリラの兄弟

京都市動物園と言えば、やっぱりニシゴリラの家族に会わないで帰るわけにはいかない。
ゴリラ舎を覗きにいくと、次男坊のキンタロウが展示ガラス近くで一人遊びしている。
その奥には、弟のキンタロウを見守る兄のゲンタロウの姿。
その光景がちょっと人間の家族の日常にある風景のようだなと思い可笑しくなった。
まわりで見ている人たちからも同様にその仕草に親しみを感じるような会話がちらほら聞こえてきた。

弟のキンタロウを見守る、兄のゲンタロウ

スロージェットコーヒー

お昼時。春頃に発売開始した特別なクレープを食べたくて、一旦園の外に出て、メインエントランス横のライブラリーに併設されたカフェ「スロージェットコーヒー」でまったり。
ここは、動物園に入場しなくても一般利用できる動物関連の本が読める穴場スポットでもある。

スロージェットコーヒー受付カウンター

カウンターで、「アイスコーヒー」と二種類ある「おつけものクレープ」をそれぞれ注文。
中身が見てみたかったので、注文の際にスタッフさんに無理を言って、一つ「クレープ開きで」とお願いした。
クレープを開きでというお願いをするのは私ぐらいのものだろう。

「おつけものクレープ」は京都市動物園からすぐのところにある、今年創業百二十年を迎える京都老舗のお漬物屋さん「株式会社大安」とのコラボ商品だそうだ。
「おつけものクレープ」とは、なんとも京都らしい。これは京都の定番となるのではないだろうか。

京都市動物園ライブラリー①

呼ばれるまでしばらく先に渡された「アイスコーヒー」を飲みながらライブラリーを見渡す。
ここには、動物に関する蔵書が沢山揃えられている。私が制作に携わった「動物園めぐり」(G.B出版)も並んでいる。

京都市動物園ライブラリー②

待っていました。運ばれてきた一つ目は、「柴漬けのおつけもの」と「タルタル」「ハム」を巻いたクレープ。玉子サンドのようなボリュームのあるクレープ。こってりした玉子多めのタルタルに柴漬けの酸味がアクセントとなって意外とボリュームがあるのにペロリと平らげてしまえる不思議。

柴漬けタルタルクレープ

二つ目は、「スグキのおつけもの」を始め「お豆腐」「ツナ」「紫キャベツの赤ワインビネガー和え」を巻いたクレープ。コチラはあっさりとした軽めな仕上がりになっている。先ほどの「柴漬けタルタル」のおつけものクレープが洋風なら、コチラは和風と言ったところだろう。「紫キャベツの赤ワインビネガー和え」の酸味がスグキのおつけものの酸味と相まって、とても軽やか口当たりと爽や後味がとても食がすすむ。

どちらも「ひんやり」としていてとても食べやすく冷たいクレープ生地のほんのり優しい甘みがなんだかホッとさせられるのである。

スグキ漬物とお豆腐とツナのクレープ(開きで)

フラミンゴ

クレープ二つはやはり苦しい。ひとまず再入園しまた園内を散策。
少し歩いたのだが、フラミンゴ舎手前のベンチで休憩。やはり食べ過ぎたのだ。「どんなに美味しいものでも腹八分目が大事だ」そんなことを言われた記憶を思い返しながらベンチに座り眺めるフラミンゴ。
長い首をもたげて水を飲む姿に思わず、昔父に買ってもらった「水飲み鳥」のオモチャを思い出した。
今でもあのオモチャは売っているのだろうか。独特のリズムでお辞儀をする様子が見飽きなくて好きだった。

フラミンゴ

ゴリランド

閉園時間のアナウンスが流れ始め、出口に向かう来園者の波に誘われるように私も向かう。
出口脇にあるお土産物店の「ゴリランド」ではゴリラをメインにしたオリジナルグッズが数多く並べられている。

ゴリランド

ゴリラやゾウのぬいぐるみは、「ゴリランド」のオリジナルだそうだ。ちょっとデフォルメされたその容姿がとても可愛らしい。子供達にも愛される表情をしているように思える。

ゴリランドオリジナルのぬいぐるみ達

子供向けの商品ばかりかと思ったが、ゴリラのキャラクターをあしらった入浴用品を始め、「入浴剤」「タオル」「アイマスク」などのリラクゼーショングッズ「ごリラックスシリーズ」なども取りそろえられていた。
京都で銭湯に入ってから帰ることも多いので、「ゴリラタオル」を購入。こういった日常的に使えるグッズはなんだか嬉しい。

可愛らしいゴリラデザインのリラクゼーショングッズ

店内を見てまわると、これまた懐かしいものを発見した。何処の観光施設でも必ずといっていいほど設置されている来園記念メダルとその刻印機。キーホルダーとネックレスタイプがあり、昔はネックレスタイプに憧れていた記憶がある。ネックレスが良かったのか、それともチェーンが好きだったのかは分からない。しかし、この記念メダルの機械はいつ見ても、昭和の香りが漂う観光地ならではの代物であることは間違いないだろう。

記念メダル販売機と刻印機

ちょうどゴリランドで買い物を済ませて外へ出ると閉園時間となり、園から出てくる来園者もいないようだった。少しお腹がすいてきた。二階にレストランがあったことを思い出し立ち寄ることにした。

 

旬菜食健ひな野

閉園後、正面エントランスの二階にある「旬菜食健ひな野」に立ち寄った。
ここは昼も夜もビュッフェ形式で五〇種類以上の無添加にこだわった自然派の良い食材を使ったメニューが楽しめるお店だ。

旬菜食健ひな野 入り口

日々健康を気にする人や、季節ごとの旬なものを口にしたいと思っている人の希望を叶えてくれるお店が、動物園のすぐ上にあるのは驚きだ。なにより、無添加にこだわって作り並べられた料理はどれもとても輝いて見える。

旬菜食健ひな野 ビュッフェ

どの料理も上品な味付けに調理されており、食材のおいしさや特徴を味わうことができる。
また、いくつも料理を小鉢に少量ずつ取り分け、食べ比べを楽しんでもその上品な味付けによりくどくならず、心ゆくまで様々な旬の食材を堪能できるのは最大の贅沢である。

身体に優しく手のかかる料理の数々

食事をしながら窓の外を見下ろすと閉園後の誰もいない園内を見ることができる。
そこには先ほどまであった家族の賑わいはなく、ただ草木の葉が揺れてこすれる音だけ。
それもここからはガラス越しなので聞くことはできない。
いっそう静けさを感じて昼間の賑わいを思い出してしまう。
夏と秋の夜間開園には、日没後に園内を行き交う来園者の賑やかな光景が見られることだろう。

閉園後の静けさの漂う園内
[協力]
・京都市動物園 (HP)
〒606-8333 京都市左京区岡崎法勝寺町 岡崎公園内
TEL:075-771-0210 / FAX:075-752-1974
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・ミライハウス
〒606-8333 京都府京都市左京区岡崎法勝寺町 岡崎公園動物園内
TEL:075-204-1749
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・スロージェットコーヒー (HP)
〒606-8333 京都市左京区岡崎法勝寺町岡崎公園内京都市動物園正面エントランス内
TEL:075-762-1511


・京都市動物園エントランスショップ ゴリランド (HP)
〒606-8333 京都市左京区岡崎法勝寺町岡崎公園内京都市動物園正面エントランス内
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・旬菜食健ひな野 京都市動物園店(HP)
〒606-8333 京都府京都市左京区岡崎法勝寺町125 京都市動物園内
TEL:075-771-8118
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この記事を書いたライター

兵庫県明石市在住

初めまして動物園 水族館 植物園 専門の撮影取材をしている動物園写真家(写真家/ライター)阪田真一です。
野生でない環境に暮らす彼らの表情や日常を始め、その飼育に関わる人や取り組みなどを取材しその魅力を伝えています。
@DIME(小学館)というWEBデジタルマガジンに、毎月『動物園』『水族館』の取材記事を掲載中。

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