事業戦略を考える〜差別化編〜【京都でゼロから学生起業】

前回は、事業戦略のうち、どのように事業を持続していくかを考えました。ですが、持続していくだけですとじわじわと競合や後発に追い抜かれていきます。ですから、差別化を考えていく必要があります。

今回は、差別化をおこなっていくうえでの思考をいくつか紹介していこうと思います。

カネ、アタマ、カラダのどれを使うかを考える

新しい価値を生み出す時に、何かしらのリソースを投入する必要があります。このリソースにあたる部分は、大抵はカネ、アタマ、カラダのどれかに分類できます。

例えば、自社の営業を強化しようと考えるとします。

手法としては、以下のA〜Fのようなものが考えられます。
A 営業担当を雇う
B 営業代行業者に委託する
C 営業リストを見直し、より反応してもらえる営業方法を考える
D 他社事例やデータを集め、戦略を策定する
E ポスティングやDM送信を行う
F 企業交流会などに積極的に参加する


このうち、AとBはお金を使うことでの解決方法なので、カネにあたります。
また、CとDは主に思考の部分ですので、アタマにあたります。
EとFは、自分の体を動かしているのでカラダにあたります。
また、組み合わせて動く場合もあります。〝営業に強い人材を採用する戦略を策定したのち、営業担当を採用する〟はカネとアタマを使っていますね。大抵の活動では、カネ、アタマ、カラダのこの3つを、様々な割合で動かしていくことになります。
この3つのうち、1番選んでしまいがちなのはカネです。カネは1番単純で、悩む必要がなく、楽に使うことができます。しかし、カネを使えば利益は減ります。
忙しいと、アタマを使うのも面倒だし、カラダを使うのも面倒なため、ついついカネを使う方法を選んでしまいます。ですが、ここでカネを選び続けると、自社の利益がどんどん減っていくことになります。
カネは最終手段です。まずはアタマを使い、カラダを使う方法で戦略を練り、どうしても解決できない、採算が合わない場合にカネを使うようにしましょう。

言語化しにくいことを言葉に出す

仕事に関する経験を積んでいくことで〝この場合は大体こうだろう〟〝このパターンは深追いしない方が失敗しなくて済む〟といった、うまく説明できないけど、肌感でわかるノウハウというのはあると思います。また、ここまで事業が継続できている場合には、相当な量のノウハウが溜まっていると思います。
では、このノウハウを1から順に人に説明することはできるでしょうか?なかなか難しいと思います。実際、経験からくる判断力を言語化し、人に伝えることができる人はほんの一部です。
ノウハウは言語化できないわけではないです。ただ、言語化するのが本当に、本当に面倒です。だから、ほとんどの人がやれていません。これは個人の規模でも、名だたる大企業でもそうです。
だからこそ、私はこの〝経験からくるノウハウ〟を徹底的に言語化し、マニュアル化することをオススメします。

経験値のノウハウを言語化できるということは、自分の分身を作れるということです。もし、事業を運営していくうえで未経験の人を雇ったとしても、ノウハウのマニュアルがあれば、短期間で戦力になります。未経験者を雇う際には給与は安く済みますので、利益を産みやすいです。また、経験者は労働市場には少ないため、欠員が出たとしてもうまく補充ができないことがあります。この点、ノウハウをマニュアル化し、未経験人材を労働戦略として計算しやすくしておくと、リスク回避につながります。これらの理由から、ノウハウのマニュアル化は事業運営の強みになります。

さらに、先ほど述べたように、ノウハウをマニュアル化している企業は少ないです。また、基本的には、規模が多くなればなるほどマニュアル化は難しくなります(人事異動などが起こる関係で)。その点、個人事業主や小規模事業者であれば、面倒ではあるものの、大企業よりも柔軟に取り組むことができます。

さらに、マニュアルは1回作れば、細かい手直しをしながら長期間活用することができます。これも重要な資産のひとつといえるでしょう。

ノウハウのマニュアル化は、個人事業主や小規模事業者にとって取り組みやすく、競合との差別化になりやすい部分なのです。

いろんな場所に出かけて、いろんな人に自分の事業を説明してみよう

自分の事業を簡潔に説明できるようにして、色々な場所で紹介してみることも、差別化の手掛かりになります。ここでいう色々な場所とは、交流会だけではありません。飲み屋でも旅先でも、どこでもいいんです。

事業がある程度進んだ段階にくると、周りとの関係に利害関係が生まれます。また、交流会に出たとしても、仕事の実績次第で、相手がその後の関係を考えながらコミュニケーションをしてくる場合が多くなります。

逆に言えば、第三者の素直な意見をもらえる機会がとても少なくなるのです。ですから、自分の事業とは全く関係のない人に話をしてみることが有効になってきます。

もちろん、説明が長いと鬱陶しく思われます。自己紹介をするくらいの短さで、自分の事業を知らない人に端的に話して反応を見てみましょう。毎回とまではいきませんが、相談してみると、普段なら気が付かないような斬新な視点をもらえるかもしれません。こうした気づきは、うまく形にできると、事業の強みに変わります。

なんでも挑戦してみてOK、でも、やる前に撤退のタイミングだけ予測しておこう 

また、このほかにも差別化になる方法はいくらでもありますし、差別化の方法を思いついたら、基本的には、なんでも挑戦して良いと思います。以前触れたように、テストマーケティングのように小さく試すのであれば、必要なコストも少なく済みますし、反応の良いものを得ることができたら、継続的な利益になります。
ですが、撤退のタイミングだけは事前に決めておきましょう。新しいアイデアで、自信があるものだと、どうしても「まだ投資金額や時間が足りないだけ、もっと投入すればなんとかなるはず」と考えてしまいます。ここまで事業を成長させてきたわけですから、より自分の案に自信を持ってしまいます。さらに、事業利益による資金もあるため、起業する前のお金がなかった時よりも大胆に投資をおこなってしまいます。こうして歯止めが利かなくなると、もちろん大打撃になります。

事前に、どれだけのお金を使えるか、どのような結果が得られたら継続するかor撤退するかの、損切りの判断軸を決めておきましょう。

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この記事を書いたライター

愛知県の一般サラリーマン家庭に生まれ育ち、大学から京都に移住する。元々教育に興味のあったことから学習塾でアルバイトを始める。その後、アルバイト先の会社から話をいただき、18歳時で大学を休学して学習塾の教室長を務める。その後、複数の教育系会社の運営補助、コンサルティング等で生計を立てつつ、京都、滋賀、奈良で飲食、補助金などの新規事業の創設に携わっている。専門分野は補助教育、人事採用など。

|BRANCH SCHOOL プロデューサー|学生起業/京都移住/教育