開票40周年を迎えました京都駅前地下街「ポルタ」が工夫を凝らしながら整備を進めています「トイレ」を中心にご紹介をさせて頂きます。
アメリカの大手旅行雑誌「トラベル+レジャー」で世界の人気観光都市第1位に2年連続で選ばれ、名実ともに世界から認められた国際観光都市「京都」ですが、交通渋滞に次ぐ課題として、観光インフラでもある「トイレ」の整備が挙げられています。
京都の玄関口「ポルタ」では、近年、リニューアルを重ねる毎に「トイレ」の充実に力を注いで参りました。
実は以前、私も「ポルタ」でネクタイやシャツを購入したことがありましたが、ここに着任した4年前には、既にメンズのお店が姿を消していたのです。
2014(平成26)年3月に「ポルタ」は、大規模なリニューアルを行いましたが、この時、女性を対象とした衣料・雑貨に特化した店舗構成…レディスファッション中心に変更したのです。この機会に女性専用「トイレ」を設置したのが始まりです。
この女性専用「トイレ」は大好評でした。
ショッピングセンターは、個々の店舗の集合だけで成り立つものではなく、ディベロッパーが、「館」としてマーケティング活動やプロモーション等により、魅力的な商業空間を提供できることに強みがあります。そこは、商店街や百貨店などと異なっていますが、お客様にご支持を頂き続けるためには、リニューアルを繰り返すことも欠かせないものです。
近年「ポルタ」は、リニューアルの際にお客様に京都を感じながら「京情緒」や「伝統美」を堪能して頂けるように環境演出を行って参りました。そして、何よりも「トイレ」には、美しく使いやすく、そして、京都らしさを実感して頂けるよう趣向を凝らしています。
もちろん、男性用「トイレ」も気持ちよくご利用頂けるようにしていますが、率直なところ女性用の「トイレ」には、一層「京情緒」を感じて頂く空間として力が入っています。
その代わりにここでは、男性には、決して中に入って見学して頂くことが出来ない女性用の「トイレ」の貴重な写真(供用開始前に撮影)を披露させて頂きます。
2018(平成30)年3月のリニューアル … 東エリアが大きく変身しました。
コンセプトは、「京都に生活・滞在する喜びを何気なく実感する『京都暮らし』」。
京都出身の若手アーティストのデザインによる京の台所「お竈(くど)さん」をイメージしたディスプレイ、そして、「京町家」の格子等のファサードと京都らしさを彩るオブジェで雰囲気を醸し出しました。
2つの広場には、江戸時代に創業された京和傘の老舗「日吉屋」さんの伝統の技を駆使した「蛇の目傘」と「番傘」の設置により、“ほんまもん”の風情を醸し出しています。
そして、「トイレ」です。少し奥まった位置にあるのですが、このリニューアルからトイレにも京情緒を漂わせる工夫を取り入れました。それほど広いスペースではありませんので、古くから残る京町家のウナギの寝床と言われる玄関を入って現れる坪庭の美を設えました。
この東エリアの「トイレ」の完成を見て、スタッフ一同が改めて京情緒溢れる「トイレ」の大切さを噛み締めました。
東エリアのリニューアルは、“食”をテーマとして、日常の気軽さの中にも上質さを感じて頂く飲食ゾーンを新たに設け、京都初出店の回転寿司やインバウンドにも人気のラーメン店、鳥が自慢の居酒屋、京のカレーうどん等人気店やスィーツコーナーも新設し、賑わいを見せています。
2019(平成31)年3月…西エリアリニューアル
前年の東エリアリニューアルは、「京町家」の設えで「洛東」の街並みをイメージしたものでしたが、東西に長い「ポルタ」を京のまちに重ねながら、西エリアは、自然・竹林などの穏やかな静の佇まいを想い描いた「洛西」。
お客様に寛いで頂ける「よりみちスクエア」には、枯山水に感化された空間を創り出し、Wi-Fi環境も整えています。
そして、「トイレ」です。エントランスから心穏やかに美しい月を愛でる「竹林の小径」が誘う凛とした佇まいを演出。呼吸をするような本物の竹を使用した竹林が「トイレ」空間に導きます。その入口は、お茶室を連想する「和」を象徴し、心安らぐ空間を演出しました。
女性用「トイレ」の個室は、青竹の中でかぐや姫になった気分を味わって頂ける美しい空間。扉も竹の膨らみがある分、ゆとりを持ってキャリーバッグを入れることができます。
このリニューアルで西エリアには、新たに働く女性をターゲットにしたセレクトショップの拡充や有職女性に向けた衣料品、服飾・生活雑貨の充実など新しい4店舗、改装の6店舗をオープンしました。
2020(令和2)年3月…西エリア(中央)リニューアル
開業40周年を迎える本年もリニューアルを実施し、東エリアの洛東「京町家」、西エリアの洛西「竹林」に続いて「京情緒」「伝統美」にこだわり、京都のまちなかのスポットとして、「梅」をモチーフに北野天満宮を想う「トイレ」を設えました。
「ポルタ」の中央に位置する「トイレ」ですので、アプローチには京都の昔ながらの町家の「犬矢来(いぬやらい)」や「行灯(あんどん)」が仄かに照らすアプローチ。そして、内装には温もりを感じて頂く「梅」をモチーフでお迎えをすることとしています。
このリニューアルでは、純粋な“モノ”の魅力が詰まったファッション雑貨店や遊び心に満ちたライフスタイルを届ける生活雑貨店など京都初出店の店舗及び感度の高いお客様のご期待に応えるため、世界的に展開しているファッションブランドを導入しました。
「ポルタ」の安全・安心
「ポルタ」の「トイレ」の紹介をして参りましたが、「ポルタ」の「トイレ」は、買い物のお客様だけでなく、行き交う人々や京都駅周辺の公共交通(バス・タクシー)の運転手の方々など多くの皆様にご利用を頂いています。これは、「ポルタ」が公共地下歩道に寄り添って営業しているショッピングセンターであり、「トイレ」は大きな地域貢献の役割を担っています。
「ポルタ」の地域貢献は、京都駅周辺における「安全」「安心」にも及びます。
地下街は、地震時に地盤の揺れと基本的に同じ揺れをするので、地上構造物のように建物
自身で揺れが増幅されることがないと言われ、これまでも各地の大地震で地下街は、地上
構造物ほど被害が生じていない事実があります。しかし、「ポルタ」では、「地下は安全」
という「安全神話」に頼らず、徹底した防災対策を進めて参りました。
大規模災害発生時の帰宅困難者対策としては、従前より飲料水・食料・寝具の備蓄に努めて参りましたが、2019(平成31)年3月に非常用発電機の更新を契機に帰宅困難者対策の一環として、お客様のための停電時対策の充実を図りました。
具体的には、照明装置などの電源確保、停電時専用コンセント(210口)の設置、館内放送による情報提供等を可能にする施設整備、Wi-Fiの非常用電源の確保、停電時の換気不良を避けるための空調設備の一部を稼働させる措置、そして、停電時でも「トイレ」使用が可能なように洗浄起動装置の改良などです。
そして、「ポルタ」は、開業40周年を記念し、お客様に「安全」「安心」を実感して頂ける最新型の「防災センター」を2020(令和2)年12月に完成させます。ITV設備を始め最新技術を導入し、情報センター的機能も果たします。お客様の属性分析や店舗への買い回り、売上分析などマーケティングへも活かし、より魅力ある品揃えを実現させます。
新型コロナウイルスによる厳しい状況の中でもこの「防災センター」は、実現させます。
情報発信と「ポルタプラザ」
「ポルタ」の通路の柱等にこの2年間で約60台のデジタルサイネージを設置しました。
そして、本年1月から京都駅からご来館頂ける進入路3ヶ所に大型デジタルサイネージを備え、それぞれからショップの紹介とともに公共的情報の提供などを発信しています。
中央の広場「ポルタプラザ」では、日頃はポップアップストアとして、それぞれのシーズンに応じ、ファッションのアウトレットや千枚漬けの実演販売、薪能のプレイベント、夏にはビアスタンド等を展開していますが、さらに「ポルタプラザ」を有効活用するために本年の40周年を記念して、特大デジタルサイネージを設置させて頂きます。
予定では、東京オリンピック・パラリンピックをパブリックビューイングで楽しんで頂こうとしていましたが、新型コロナウイルスの影響でお預け。特大デジタルサイネージの設置は、少し時期が変更になりますが、「ポルタプラザ」の新しい顔としての活躍を期待しています。
2021(令和3)年に開催される関西ワールドマスターズゲームズでは、この「ポルタプラザ」が大会受付や案内所機能を果たす「マスターズビレッジ京都」の会場となり、世界中からの参加者の皆さんをお迎えいたします。
これからの「ポルタ」
これは2018年11月に新たに策定した京都ステーションセンター株式会社の企業理念です。
京都駅前地下街「ポルタ」は、「国際文化観光都市京都」の玄関口において、国内・外からの観光客、日常的に京都駅を利用される通勤・通学の方々、駅周辺の近隣住民の方々など多くの皆様に笑顔でご利用いただける使命を果たさなければなりません。単にショッピングセンターとして、営利を追求するだけではなく、京都のまちづくりや地域・社会への貢献についても積極的な姿勢で取組を進めていくこととしています。
「ポルタ」は、これまでも地球温暖化推進に取組み、京都市の温室効果ガス排出でS評価、
2期連続「ごみ減量・3R活動優良事業所」の認定等の実績を重ねて参りましたが、今後も食品ロスの取組、トイレの地下水利用の排水、黒染めによるファッション再利用など様々な角度から独自の「SDGs」の目標に挑戦を続けます。
2009(平成21)年3月に開設した「ポルタギャラリー 華」では、京都に所縁ある芸術家や新進気鋭の作家の方々の絵画・陶芸・工芸・染色・写真等幅広い分野の作品を発表する場としての役割を果たして参りましたが、今後も京都の文化・芸術の発展に寄与するギャラリーとして作品展を開催いたします。
結びに
「ポルタ」の飲食ゾーン「ポルタダイニング」は、昼食時には大変賑わっていますが、今後のリニューアルでは、夕刻以降の時間帯にも日常的に京都駅をご利用の皆様、周辺にお住いの皆様、そして、観光客の皆様にも「ちょい飲み」や「本気飲み」等バラエティーに富んだひとときを楽しんで頂けるステージに変身いたします。
引き続き、ファッション、雑貨、グルメ、フード、コスメ、お土産などにステップアップをさせながら、皆様に笑顔をお届けする「ポルタ」にご期待下さい。