早朝の賀茂川 〜ラジオ体操〜

私は自転車が好きで毎朝5時半に起き、6時過ぎには自転車で散歩に出かけます。
 
 出町柳の駅前は冬のこの時間、真っ暗ですが何人かの近所の方々がボランティアで、もくもくと駅前のそうじをしている姿を見かけます。スーツケースをゴリゴリ引っぱって足早に歩いている人は、始発の関空行きのリムジンバス(6時過ぎに出町柳駅を出発する便)に向かっています。

 自転車は駅を過ぎて、賀茂川の河川敷に降りて、そこを北山橋へと走ります。暗い中でも、たくさんの人が懐中電灯を持って歩いています。葵橋、出雲路橋、北大路橋とくぐり抜けると北山橋が見えてきます。出町橋から20分くらいのところです。川をさかのぼるため寒い朝でも汗をかきます。

 橋の手前のグラウンドに人が集まってきています。6時30分からのラジオ体操のためです。私は自転車ですが、ほとんどの人は自宅から20分ほど歩いて、ここに到着します。70歳前後の方を中心に、80代の方まで、ふだん50人ほどの方が毎日来られます。暖かくなれば100人近くになる時もあります。毎日のことですから、いたる所で挨拶の声が聞かれます。冬は暗く寒いので顔も確認できない中での挨拶です。

寒い日は気温がマイナス2度にもなります。雨や雪の日には北山橋の下で体操をします。常連の何人かの人が大きなラジオとラジオ体操の旗を持ってきて準備をします。そして毎日続けるための助けとして出席帳にハンコを押してくれます。私もここ数年、毎日のように参加し、毎朝、挨拶し、顔みしりなのですが、いまだにお互いの名前はほとんど知りません。にもかかわらず、春になると花見の会をしたり、年末には忘年会もしたりします。他人の詮索をしないことは大切です。

 6時30分の体操はNHKのラジオ放送とともに始まります。第1体操、第2体操とすすみ、6時40分には皆さんが「ありがとう、ございました。」と挨拶され終わります。賀茂川をはさんで向こう岸でも10数人の方々が一緒に体操をしていますので、こちらから、大声で「オーイ」とエールを送ります。

 体操の最中も前の歩道を色々な人が通ります。犬の散歩、ランニング、ウオーキング、特に大学の女子陸上部のグループが先導の自転車とともに前を走りぬけます。お互いに「おはようございます。」と元気な声が響きます。また冬の夜明け頃には数十羽の野鳥の群が私たちの頭すれすれに勢いよく低空飛行をすることがあります。

 体操の後、私は自転車で北大路通りを20分ほど走り、北白川のマクドで、ホットコーヒーを飲み、体を暖め7時半には出町柳にもどります。このようにして、私の毎朝の運動日課は1時間半ほどで終わります。

 歩いて来られたラジオ体操の方々は、その後、小集団でリズム体操をしたり、鉄球投げのチンクをされたりするグループもいますが、また、20分ほど歩いて帰られます。その意味では、ほとんどの方が1時間以上の運動をしていることになります。

 日本のラジオ体操が行われて、昨年で90年ということで私たちの加茂川ラジオ体操会も、京都にふさわしい京都の文化として、京都市長から表彰されました。また、昨年と3年前の2回にわたってイギリスのBBC放送がはるばる私たちのラジオ体操を日本独自の健康法として取材に来ました。

 また、最近の調べによると、3年以上、毎日ラジオ体操をしている方々の健康年齢が実年齢よりも20歳も若くなっているというデータも聞いています。

 私は毎日体操に来られている人々の名前も職歴も知りませんが、良い人々の集まりだと思います。タバコを吸う人も見かけませんし、毎朝、早起きしてきちっと時間通りに歩いて来られる人は選ばれた幸福な人たちだと思います。

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この記事を書いたライター

 
Elder of the kamogawa.
Consultant.

|鴨川の長老 コンサルタント|Kamo River/Demachiyanagi/出町柳/ラジオ体操/伏見大手筋商店街