京都の春の味といえば竹の子です。

京都には昔から[京たけのこ」と称される極上の春の味があります。

昔から京都は立地的にも海が遠く、魚が入荷しにくいこともあり、野菜がたくさん食されてきました。都があったこと、そして寺院の精進料理の文化などもあり、他の地域に比べ料理屋さんも多くあり、野菜をいかに美味しい料理にするかということで、料理人は技を磨き切磋琢磨してこんにちの京料理というジャンルを築き上げました。

もちろんそれを支えてきたのは、農家の方々なわけですが。

そもそも、竹の子というのは全国いたるところで収穫することができます。

ではなぜこんなにも「京たけのこ」が美味しいといわれるようになったのでしょう。

竹の子ってどうやって収穫するかご存知ですか?
春の特集番組などテレビで取り上げられることも多いので、ご存知の方も多いことと思いますが、竹の子はものすごくわかりにくい土のワレ(割れ目)を見つけて、まさに地面の下から掘り起こすのです。
掘り起こすために使うクワも、珍しい形でホームセンターなどではお見かけしません。
氷山の一角どころのさわぎではありません。全く素人には気が付けないほどの小さな地面の変化を竹の子畑の農家さんは見逃しません。

ここちょっと土が膨らんでるやろ?

・・・?どこ?

といった具合です。

そんな見た目にはほとんど気が付かないほどの小さな変化から、ながーい鎌のようなクワを器用に使って竹の子に傷をつけないように掘り起こす。
まさに職人技です

もちろん竹の子畑もほかの地域とは違い、京都ではよい竹の子を作るための手入れには余念がありません。

竹の子は空気に触れないように育つと白く柔らかく育ちます。空気に触れないため、一番よいのは「粘土質の土壌」です。そんな粘土質の土壌をもち、良質の京たけのこを作るため毎年土入れをし、わらをひき、雑草が生えないよう手入れし、日当たりを邪魔するようになってしまった竹は折って地面の日当たりをよくして土の温度を上げ成長を促すようにする。

そんな一年を通しての手入れがあってこそ、京竹の子が柔らかく白く育つのです。
手間暇かけるからこそ、美味しい竹の子ができる。
手間暇かけるからこそ、そんな美味しい竹の子を使いたいと思う料理屋さんも増える。
手間暇かけるからこそ、昔からの味を守り続けることができるのです。


・・・というこれらの方法は、京都での常識であって全国での常識ではないのです。
だからこそ、手入れに余念がない京都の竹の子は、さらに言えば、一番大切な粘土質の土壌をもつ物集女、塚原地区の竹の子が美味しい所以なのです。

京都と名前がついてるから美味しい、とかそういうことではないのがご納得頂けましたか?


ですが今年の京竹の子、・・・実は不作です。
その原因は今年の冬の雨の少なさです。雨が降らないと土が乾きます、そいてそのため土の中の空気が増え、最高のものができにくい状態になってしまうのです。

さらには去年の台風の被害で竹の被害が多くでてしまったことや、春先に寒い日が続いたことでスタート時期が遅れているという旬の時期のずれもあります。

自然のことゆえ、どうすることもできない部分もある昨今の気候条件。
これからも美味しい「京竹の子」を食べるためにも、お天道様にお願いする以外ないのでしょうか、と憂うこともしばしば。


これから10年、20年と美味しい竹の子を春になると食べたい。
そのためにもこれからも農家さんのたゆまぬ努力で育った、柔らかく白い竹の子を
「春はやっぱり京都の竹の子やなぁ」
と、いっぱしの食通を気取って、食べ続けてもらいたいです。

そして、竹の子は頭は黄色め(地面に出てない証拠)
全体的に黒っぽいものより白っぽいものを選ぶ。
そんなうんちくも付け加えながら、届いたらなるべく早く湯がき上げることもお忘れなく。

最後に一つこっそりと。。。

実は、雨の後の日に収穫されたものが美味しいんですよ。粘土質の土が濡れることで土の中の空気が減る中で育つから、オススメなんです。

まだしばらくは、竹の子シーズンが続きます。

今年も四季折々の旬の味を楽しみつつ、令和の世代の子供たちにも受け継いでいきたいですね。

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野川 邦夫

野川邦夫(のがわくにお)
錦 川政 四代目店主
1975年京都市生まれ。同志社大学商学部卒。
有限会社川政兄弟商会 代表取締役社長。
京都錦市場商店街振興組合 青年部会 会長
京都の料亭をはじめ全国の飲食店へ京野菜を届けております。
厳しいプロの料理人の方にそして京野菜を食される全ての方に喜んでもらえるよう日々努力しております。

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