京都太秦の広隆寺にある「木造弥勒菩薩半跏思惟像」は、日本の国宝第一号として特に有名である。そのご尊顔を拝し、癒される方々も多い。

京都府には仏像彫刻39件、建造物51件など多数の国宝がある。京都での私の好きな仏像彫刻には、東寺講堂・立体曼荼羅、三十三間堂内の1001体の千手観音立像や風神雷神像、宇治平等院の阿弥陀如来坐像、三千院の阿弥陀三尊像、大報恩寺(千本釈迦堂)の仏像彫刻、嵯峨の清凉寺の阿弥陀三尊座像など素晴らしい仏像を拝むことができる。

現在それらの仏像に出会うためには少なからず金銭が「拝観料」という名目で必要とされる。その事、事態には意義を申すつもりはない。

西本願寺の阿弥陀堂や御影堂、唐門などは、国宝であるが、ここは誰でも気軽に参拝でき自由に立ち入る事ができる。「志」(こころざし)をそっと賽銭箱に入れ、掌を合わせ、頭を垂れ、お願い事を念じるだけで仏像を拝観できる。

「拝観料」と「志」(こころざし)とは何だろうかと考え直させられる。「拝観料」を支払い、本堂に座する「本尊」にそっと手を合わせ拝むが、暗くて遠くてどのような仏様であるのか分からないことが多い。双眼鏡で拡大して拝むが、欲求不満が溜まる事が多い。

そんな折、自転車に乗り京都探索中、偶然にも仏像を拝観できる美術館に出くわした。その場所は、御所の西側・護王神社の近くであった。平成17年(2005年)に開館した新しい私設仏像美術館であり、慶派の流れを汲む平成・令和の名佛師、松本明慶の佛像・約180体が常時展示されていた。精緻な子佛から一木づくりの情感溢れる秀作まで展示され、また大佛造佛の要となる雛型なども観ることができる。佛像彫刻を愛する人々必見の美術館である。

2階展示室では、畳の広間でくつろいだ雰囲気でゆっくりと仏像を見ることができる。お弟子さんが展示物の丁寧な説明だけではなく、お茶を出して下さるなど、気配り心配りが行き届いている。繊細でありながら迫力のある見事な明慶作品の数々を拝見し、心安らぐ至福の時を過ごすことができる。また、1階には全国に納められた大佛の写真や、パネルやビデオ上映もある。館内では撮影はできないが、明慶氏の作品集やポストカードなど購入できる。

なお、毎月第1週・第3週の土曜・日曜の開館で入場無料ですが、開館日確認を兼ねて電話で予約する事を勧めます。(案内チラシ参照)

きっと京都の思い出の1ページに加わる美術館になる事でしょう。

京都御所の西側

京都御所の西側

地下鉄丸太町駅より、烏丸通りを北へ信号3個目の護王神社を左折、1筋目室町通りを越えて北側。徒歩約10分

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橋本 楯夫

(自称まちの歴史愛好家)
昭和19年京都市北区生まれ。理科の中学校教諭として勤めながら、まちの歴史を研究し続ける。得意分野は「怖い話」。全国連合退職校長会近畿地区協議会会長。

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