私は京都で生まれ、気が付けば組紐を組む機械の音を聞いて育ちました。正直、子どもの頃からつい最近まで家業には全く関心がなく距離を置いていたのですが、改めて見ると特殊な仕事なのではと興味を覚えました。そして、実際に仕事を手伝ってみると想像していた以上に手間がかかり、簡単には作れないことを知りました。また、手組みをされている方に実際に教えていただき、たくさんのことを学び始めているところです。まだまだ知らないことや分からないことが多いので、このKLKに記事を連載しながら私自身も成長していきたいと思います。

まず第1回は身近に見ることができる飾り紐についてです。
みなさんは“紐”と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?着物を着る方は帯締めが思い浮かぶのではないでしょうか?街を歩いたり、神社仏閣を見ると色んなところに紐が使われていることに気づきました。数珠についている房紐・暖簾の飾り紐についています。新海誠監督作品の映画「君の名は」の中では髪を結ぶ紐が重要なアイテムとして登場しています。ただ髪を結ぶだけでなく、時間・空間・人物を結ぶという意味合いも込められていると思います。

紐は歴史も古く、縄文時代からあったように聞いていますが、詳しくは専門家の方にお任せしたいと思います。生活様式の変化と共に紐の存在や機能・用い方も変わっていると思います。現代では携帯電話のストラップ・メガネ紐・マスク紐・ベルトなどのアクセサリーとして使われたりしています。紐は装飾品や付属品として使われていることが多いですが、可愛い飾り紐や色合い・結びがついているとさらに品物が引き立って見えます。そういう意味ではなくてはならない存在かもしれません。

実際に作ったアクセサリー

実際に作ったアクセサリー

紐の分類について

まず私が気付いた紐の種類について記したいと思います。

生活の中で使われているもの・使われたもの

・お守りの紐
・簾の紐
・掛け軸の紐(風鎮)
・巾着の紐
・帯締め


神社仏閣に関係する紐

・祭礼の紐
・神主さんの装束・僧侶・住職さんの法衣
・仏具の紐
・神具の紐


伝統文化・芸能に関わる紐

・茶道具に使用される紐
・雅楽・舞楽の紐(包み太鼓など)
・十二単(檜扇・裳の紐・衣冠束帯)
・刀に使用される紐(柄巻き・下緒など)

八坂神社のお守りの紐

八坂神社のお守りの紐

漢字ミュージアムの中に祇園祭の鉾に飾り紐が使用されています

漢字ミュージアムの中に祇園祭の鉾に飾り紐が使用されています

まだまだ沢山の紐があると思いますが、このようにちょっと思いつくだけでも実に多様な種類があることに驚きました。また一つのお店が全て作っておらず、例えば、数珠の紐専門・帯締めの紐専門として特化しているお店もあり、またいくつか複数の紐を扱っているところもあるそうです。

そして、京都には京くみひも組合と京房ひも工業協組合があります。2つの組合には明確な違いはないそうですが、主に手ぐみの組紐を扱うところが京くみひもの組紐に属して、それ以外の業種(神社・お寺・祭禮)が京房ひも工業協組合に属しているそうです。(両方入ることも可能です。))

私の家業はより房という分類になります。

以前、我が家では簾の紐を作っていたそうです。この簾の紐では、紐を組み、叶結び、菊結びという結びをしています。木管には細い撚り紐でかがりという作業があり、撚り取り付けます。完成までには糸屋・木管屋・撚り房屋・紐を組み・飾り結びをするといういろいろな工程があります。

簾とは、主に夏の日よけ・部屋の仕切り使われます。結びとして使われる叶結び
「願いが叶う」・菊結び「延命長寿」の意味があり、縁起の良い結びと言われています。

このように昔の人々は生活に使用されるものに飾り紐つけ、その飾り紐に意味合いを持たせていたということが分かります。

市内のラーメン屋さんで見つけた簾の飾り房

市内のラーメン屋さんで見つけた簾の飾り房

次回は、糸から紐にする工程・実際に作った仕事の紹介をしたいと思います。

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この記事を書いたKLKライター


黒川 弥生

黒川藤造商店 4女として上京区に1995年生まれる。

3年程前から家業を手伝い始める。
現在は伝統工芸士や京都の文化を勉強をしながら、組紐業を日本のみならず世界に発信する方法を模索しております。

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