商売繁盛の「えべっさん」。この福笹は、草むらのように生えている背の低い笹ではなく、孟宗竹の枝、なんです。大きな竹を伐り、その上の方に出ている葉のついた枝。それが福笹の笹となります。
西宮神社と今宮戎神社と京都ゑびす神社。この三社が日本三大えびすと言われていますが、福笹は京都ゑびす神社の独自の御札が広まったものだとされています。
『「節目正しく真直に伸び」「弾力があり折れない」「葉が落ちず常に青々と繁る」ことから竹の葉が使われています。』

竹と神様には、深いつながりがあります。
神事で神様への奉納の為に行われる舞である神楽(かぐら)。巫女さんが手に持っているのは笹。

神楽の始まりは「古事記」・「日本書紀」で書かれている「天岩戸の神隠れ」伝説。天照大神[アマテラスオオミカミ]が天の岩戸に籠ったとき、天鈿女命[アメノウズメノミコト]が、天の香具山にある笹を取って舞い、その楽しそうな声を聴いて天照大神が姿を現したところを連れ出した、という神話。
天鈿女命が笹を持ったことが始まりとされています。
笹の葉のついた竹は、神様が乗り移りやすく、神様の言葉を伝えるものとして扱われてきました。

では、なぜ竹?なのでしょうか。
竹の持つ特性を書き並べてみましょう。(バックナンバーでも書いたことがあるような事ばかり羅列しますが、、、過去の事は水に流してください。デジャブです。)


生長がとにかく早い事

筍が地表に出て三週間もすると10mほどの大きさになります。ハヤタ隊員が変身して巨大化するときのウルトラマンみたいなものです。(ウルトラセブンは、ミクロサイズにもなれますが。)

常に緑色である事

幹も緑なら、葉も緑。そして、葉は一度に紅葉せず、順番に変わっていくので、一見では葉の色が変わっていることに気づきません。全部がいつも緑色。超人ハルクみたいなものです。

真っ直ぐに成長し、節目が正しい事

節目。律儀なほどに正しいのです。
どの位置でもよいので、連なる3つの節間の長さを測ると、“2番目の節間の長さ”は、“1番目の節間の長さ”と“3番目の節間の長さ”の平均値になる、と文献にありました。
試してみました。ウチにある竹、5本程、測ってみました。確かに平均値!「ウッワぁ、ホンマや」と思わず声をあげました。
鬼滅の刃の竈門禰豆子の竹は、、こうなっていないなぁ。変種の竹???

節目正しい節3つ

節目正しい節3つ

120年に一度しか花が咲かない事

マダケの場合ですが、120年に一度、開花をし、全国一斉に枯れた後、また120年の周期を始めます。逆に言えば、120年に一回しか竹が枯れることがない。竹は無限に続くもの。手塚治虫の火の鳥?

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この記事を書いたKLKライター

銘竹問屋四代目・ギタリスト
利田 淳司

 
1967年京都市生まれ。
関西学院大学法学部卒。
1915年創業の銘竹問屋・(有)竹平商店4代目、代表取締役。
NHK「BEGIN JAPANOLOGY」「美の壺」などのメディアへの出演や「第8回世界竹会議」の開催組織委員・「日本人の忘れ物知恵会議」のパネラー等を務め、日本の銘竹の美を海外・国内に向け発信する活動を行っている。

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利田 淳司

 
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関西学院大学法学部卒。
1915年創業の銘竹問屋・(有)竹平商店4代目、代表取締役。
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|銘竹問屋四代目・ギタリスト|竹/明智藪/嵐山/祇園祭/ギター

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