「7代目アニマル園長選挙」の投票に向かう

二月の終わり、太陽から降り注ぐその光は少しポカポカする。だが風が吹けば少し肌寒い、そんな平日。
この日は、二月一日から始まっていた京都市動物園「7代目アニマル園長選挙」の投票をすべく、いつものJR京都駅前からの市バスに揺られてやってきた。
さっそく正面エントランスの自動ドアをくぐり抜けると、そこにはもう「ひな人形」が飾られていた。
「そうか、来週はもう3月で桃の節句なのか、春が待ち遠しいな」と春の陽気を思いながら暫く「ひな飾り」を眺めていた。ふと、横に設置されたデジタルサイネージに目をやると「7代目アニマル園長選挙」の告知が表示されていた。「だるまさん」と「タスキ」のその可愛らしいイラストが選挙の雰囲気を盛り上げている。

7代目アニマル選挙の案内デジタルサイネージ

7代目アニマル選挙の案内デジタルサイネージ

受付スタッフがチケットや入場券にスタンプを押すその傍らに、いかにも投票所という感じの台が設置されていることに気づき、「これか!」と置いてある「投票券」を一枚手に取った。

しかし、京都の記入台は三角なのだろうか。自身が投票に行くときにはいつも四角い囲いが設置されているのだが、三角の記入台を珍しいと感じながらも、記名式ではないその「投票券」を見ながら園内へ入る。

三角の記入台に置かれた投票券

三角の記入台に置かれた投票券

さっそく、投票箱のあるレクチャールーム前に行こうと思ったのだが、その前に今回の候補者に会いに行ってみることにした。
まずは園内を入って正面の「もうじゅうワールド」から巡って行こう。


 

ツシマヤマネコの「キイチ」

園内に入って一番近くにいるのはツシマヤマネコの「キイチ(雄)」。日本の長崎県の対馬にのみ生息しており、生活環境の悪化や交通事故、感染症などでその個体数が減少している。このままではその姿がこの世から消えてしまう恐れのある生き物として絶滅危惧種に指定されている。京都市動物園でもツシマヤマネコの繁殖や、生息域を守る保全活動の支援をしているそうだ。
「ツシマヤマネコがアニマル園長になれば多くの人にその存在を知ってもらい、保全活動への興味を持ってくれる人が増える良い機会なのではないだろうか」などと考えていると、キイチはのんびりと今日も岩の上で日向ぼっこをしていた。

ツシマヤマネコの「キイチ」

ツシマヤマネコの「キイチ」

ジャガーの「アサヒ」

キイチの展示を左手に見ながら進むと隣には、ジャガーの「アサヒ(雄)」が広くなった展示場で過ごしている。というのも一緒に展示されていた黒色のジャガー「ミワ(雌)」が最近、他園に転出してしまい広くなった展示場で一人過ごすことになったからだ。「一頭になった展示エリアの理由を知っている来園者側からは少し哀愁を感じてしまうが、アニマル園長になって更に多くのファンがつけばジャガー展示場前は賑やかになるのではないだろうか」。アサヒは歩き疲れたのか展示場のガラスの横でスヤスヤお昼寝タイム。

ジャガーの「アサヒ」

ジャガーの「アサヒ」

アムールトラの「アオイ」

お昼寝タイムのアサヒを起こさないようにそっと移動する先には、アムールトラの入り組んだ檻が建っている。
今年の干支で大本命であるアムールトラの「アオイ(雌)」は奥側にある展示場の台の上でくつろぎ、周辺を眺めている様子だ。「彼女は多くの票を獲得するだろう」それにしても、アムールトラは間近で見るととても大きい。檻越しとはいえこれほど間近で息づかいまで感じられるのは動物園だからこその臨場感だ。

アムールトラの「アオイ」

アムールトラの「アオイ」

オオヤマネコの「ロキ」

アオイがくつろぐ檻の隣には、オオヤマネコの「ロキ(雄)」がガラス越しの展示室で座ってあたりを眺めていた。彼には昨年の夏にお嫁さん候補である「ハヅキ(雌)」がオーストリア・ウィーン動物園からやってきた。
いつもは檻の展示スペースの奥の棚で寝ている彼は来園者からは見つけにくい。「こんなに近くでキリッとした表情を見せてくれるのは、選挙活動だろうか」オオヤマネコと言うだけのことはあり、イエネコの雰囲気を持ちつつその身体の大きさと表情の鋭さは実に堂々としたものである。

オオヤマネコの「ロキ」

オオヤマネコの「ロキ」

トラツグミの「カーナ」

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この記事を書いたKLKライター

動物園写真家
阪田 真一

兵庫県明石市在住

初めまして動物園 水族館 植物園 専門の撮影取材をしている動物園写真家(写真家/ライター)阪田真一です。
野生でない環境に暮らす彼らの表情や日常を始め、その飼育に関わる人や取り組みなどを取材しその魅力を伝えています。
@DIME(小学館)というWEBデジタルマガジンに、毎月『動物園』『水族館』の取材記事を掲載中。

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