初心者向けきものの選び方〜京都・天神市の着物屋台にインタビューしました!

吹く風の中に、少しずつ秋の気配を感じるようになった。秋、それは着物の季節。着物好きの人はもうウズウズしているだろうし、「今シーズンこそ着物に挑戦したい!」という気分になってきた人も、それはもうたくさんいるだろう。…いますよね?今回は、そんな人に向けて、元呉服店員であり、自他ともに認める買い物上手(着物限定)である私から、中古着物の買い物術を伝授しようと思う。

 

着物を買う場所

私がこれまでに買い物をしてきた場所は、以下の3つのカテゴリーに分けられる。それぞれ、特徴を書いてみよう。
 

①天神市・弘法市

天神市とは、毎月25日に北野天満宮で開かれる市のことである。弘法市は、毎月21日に東寺で開かれる。今住んでいる家が北野天満宮からほど近いということもあり(徒歩5分)、最近はもっぱら天神市の屋台できものを買っている。10以上の着物の屋台が出ており、それぞれに個性があって面白い。例えば、千円均一!など安さを売りにしているところや、反物の品揃えが充実しているところなど様々である。天神市よりも弘法市(東寺)のほうが、出店全体の数も、着物の屋台の数も多い。いずれも、お祭り気分で買い物ができて楽しい。

 

②中古着物屋さん

京都市内には本当にたくさんの中古着物屋があり、私も全ては把握しきれていない。中古着物店は店によってカラーがはっきりしており、SNSで情報発信しているところも多いので、お店に行く前から雰囲気やおおよその値段感を掴みやすい。店員さんがしっかり接客してくれるお店と、良い意味で放っておいてくれるお店がある。私はひたすら自分で探すのが好きだが、初心者の人はしっかり接客してくれるお店に行くのがいいと思う。「すみません、全然何も持っていないんですが、着物を着たいんです!」と言えば、店員さんが目を輝かせて色々持ってきてくれるに違いない。

 

③インターネット(ヤフオク)

とにかく、おびただしい数の中古着物が常時出品されているため、選び放題である。そして、よほど競らない限り、かなり安く(1000円~)買える。好きな柄やブランド、作家などがあれば、検索して絞り込めるのもいいところだ。私はよく「着物 鳥」で検索している。ただ、実際に品物を触って状態を確認できないので、ある程度のリスクを見込んだ買い物になる。写真と、ブランド名や文字での説明のみで良し悪しを判断しないといけないので、どちらかというと上級者向きの買い方だ。

 

イチオシは天神市

先に挙げた買い物場所の中で、個人的に一番おすすめなのは天神市である。毎月25日しかやっていないものの、気軽に色々な店を見比べられるのがいい。弘法市もいいが、北野天満宮のほうが敷地が狭い分、二周三周しても疲れずに見て回れるので、納得のいくお買い物がしやすい。
一方で、以前『屋台で着物を買うのは、品物の管理がしっかりしていなさそうだからちょっと…』という意見を聞いたことがあった。確かに、屋台には看板も無いし、屋外だし、そう思われる方もいるかな、と思う。そこで、今回天神市をオススメするにあたり、天神市の着物の屋台のうち、私が過去に買い物したことがあって、いいお店だな、と感じたお店の人にお話を伺ってみた。

京都きものクローバーさん

京都きものクローバーさんは、いつも北野天満宮の東側駐車場に出店されている。黄色い「着物」ののぼりが目印だ。ここでは以前着物やら帯やら色々買っていて、状態の良いものをいい値段で買うことができた。

Q1.着物はどこから仕入れていますか?
A.個人の方から依頼を受けて買い取ったり、業者だけが入れる中古着物の市場で仕入れたりします。

Q2.店に並べる商品は、どのように選んでいますか?
A.検品して、「これはいい!」と思ったものを並べています。個性的なものだったり、有名な作家やブランドだったり。奥のほうのテーブルには、特に良いものを、自分でしっかり検品・採寸し、相応の値段を付けて置いています。逆に、手前の台には、奥のものよりはサッとしか見ていないけれども、それなりにちゃんと良いものを、買いやすい値段で置いています。

Q3.「これから着物始めます!」という人へ一言!
A.とりあえず、来てもらったらいいと思います。なにか聞きたいことがあれば、店の者に聞いてもらえればなんぼでも教えますよ!それに、着物好きな人が集まって楽しくやり取りする場にもなっているので、例えば隣で着物を見ている人に「これ、似合いますかね?」とか聞いても、嫌がる人はいないと思いますよ。

Q4.では、逆に、めっちゃ着物着てます!という人に一言!
A.着慣れている人にも、いっぺん見てほしいですね。きっちり選んでるものなので、自信あります!
 
ありがとうございました!

 

鳥居近くの某お店

こちらのお店は、いつも鳥居の近くに出店されている。私は以前着物や道行コートなどを買って、昨シーズンよく着ていた。お話を伺っている最中にも、このお店のファン!という方が来ていたり、お客さんに愛されているお店なんだなと感じた。

Q1. 着物はどこから仕入れていますか?
A.業者間のやりとりが多いですね、市場とかで。個人の方から引き取ることもあります。

Q2.店に並べる商品は、どのように選んでいますか?
A.自分の好みのものや、値打ちのあるものを選んでいます。加工がいいものや、ちょっと変わった面白いもの、染や生地のいいものなどですね。天神市の他のお店さんは、着物一枚1000円、2000円で出しているところもあり、そういうところには値段では勝てません、うちは帯が大体1万円くらいです。その分、しっかり良いものを置いています。

Q3.「これから着物始めます!」という人へ一言!
A.いきなり呉服屋さんに行って、10万、20万で新しく一式そろえるのも、それはそれで1つのやり方ですし、こういうところ(天神市など)で、金額的に手の届く範囲で買うのもいいと思います。市で買った着物のアフターフォローは、大概の店がしてくれませんが、呉服屋さんはしっかりしてくれます。それが呉服屋さんの値打ちとも言えますね。新品も、中古も、両方いい塩梅で楽しんでほしいと思います。呉服屋さんに行ってくれないと、業界潰れちゃいますしね(笑)。
 
ありがとうございました、そしてこの帯ください(7500円)!!

まとめ

今回お話を伺った2つのお店は、どちらもこだわりを持ってしっかり商品を選び、店に置いているということが分かった。帯は基本的にビニールの帯袋に入れているし、ずさんな取り扱いをしていないどころか、愛情をもって商品を扱っている様子が見て取れた。すべての店がそうかは分からないが、こういういいお店もあるので、特に着物初心者の人はぜひ一度天神市に行ってみてほしい。

 

きものの選び方

さて、お待ちかねの選び方についてである。私が中古着物を買うときに重視するポイントを、重視する順に並べてみよう。

 

①ときめき

着物でも帯でも、パッと見たときに「かわいい!」「これ好き、気になる!」と思えるかどうか。これが一番重要だ。ここをおろそかにして買っても、結局あまり手が伸びない。逆に、ときめきだけで着物を買ってしまって合わせる帯がなくても、そのうち合う帯がちゃんと見つかるので、グッときたものは手に入れておいたほうがいい。

 

②生地感

プロや慣れた人は着物の生地の良し悪しを、触った感触で判断する。しかし、触って分かるようになるには経験が必要なので、はじめのうちは「手触りがしっとりして心地いいもの・手に持ってずしっと重みを感じるもの」を選ぶようにしたら大丈夫。

 

③状態

生地が擦り切れていたり、目立つところに大きいシミがあったりするものは、かわいくても購入しないことが多い。着物一枚~3000円くらいで売っているものは、物によって状態がまちまちなことが多いので、しっかり着物を広げて確認したほうがいい。

 

④サイズ

新品の着物を仕立てるときは、買った人のサイズを測って、その人のピッタリに作る。それゆえに、中古着物はサイズがまちまち。とは言うものの、大体合っていれば着ることができる。私は着物のえりの真ん中を持って身長と同じくらいまで上げてみて、下に着いたらOKとしている。裄は、同じく衿の真ん中を体の真ん中に当て、袖がそれなりに持てればOK。写真は、私の体に合わせて作った着物を持っているところなので、参考にしてみてほしい。

私は背の長さと裄が合えば買ってしまうが、幅が足りるか心配、という人は、お店の人に一声かけて羽織らせてもらおう。体感として、下前が左太ももの幅の半分以上まで来ないとけっこう捲れてくる。スリムすぎて大抵幅が余ってしまう…という人は、ぜひ一度「アンティーク着物」と呼ばれる、大正~昭和初期の着物にチャレンジしてみてほしい。私はいつも身幅が足りなくて着られないので…

 

まとめ

ここまで私流の着物の選び方について書いてきたが、正直過去には色々と失敗もしている。しかし、そのような失敗を経て、だんだんと自分の好みや、品質に照らして納得できる値段感を把握してきた、という側面もある。
京都は中古着物の入手先の宝庫だ。私が今着物選びに関して持っている知識はこの記事にすべて詰め込んだので、皆さんもぜひこの秋にきものデビューしてみてほしい。

 

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この記事を書いたライター

青森県出身。母の実家が小さい呉服店であったことから、幼少期よりなんとなく着物に興味をもつ。実家が裕福でなく、実際に着物を着る機会はほとんどなかったため、着物愛をこじらせて、新卒で関西ローカルチェーンの呉服店に就職。仕事自体は楽しかったものの、理想と現実のギャップに悩んで心を病み、一年で退職。その後は京都に移り住み、自由気ままに着物と触れ合う日々を送っている。

|きものライター|着物/移住/天神市