上左:三重県伊勢市の蛤/上右:シナハマグリ/下:茨城県産蛤

上左:三重県伊勢市の蛤/上右:シナハマグリ/下:茨城県産蛤

蛤の産地の見分け方

京都では12月の中頃から商店の鮮魚コーナーに蛤が出始めます。よく並んでいる蛤は中国産のシナハマグリ、三重県産のハマグリ、茨城県産のハマグリの3種類です。シナハマグリは比較的に安く、買いやすいです。三重県産のものは味が濃く、貝殻の厚みがあまりなく、吸い物以外に焼き蛤に適しています。茨城県産の蛤は貝殻が厚く、お吸い物にぴったりです。宮内庁監修の「宮中 季節のお調理」に紹介されている「潮仕立蛤吸」は一つのお椀に2つの蛤が貝ごと上下に重なるように入っており、下の蛤は身を上に向けて、上の蛤は身を下に向けて被せるように盛られています。この盛つけにも意味がありそうです。貝殻はカルシウムですから、貝殻から出汁は出ないと言われていますが、蛤の貝殻には殻皮や蝶番の部分があり、そういったところから出汁が出るのではないかと私は考えています。

地域によっては手に入りにくい蛤ですが、京都の人も京都以外の人にも、お正月のお蛤のお吸いものを是非食べていただきたいです。食べた後の貝殻は洗って干して絵や字を書いて貝合わせ作りに挑戦してみるのも楽しいですよ。

参考文献
宮内庁監修『宮中 季節のお料理』扶桑社
本山萩舟『飲食事典』下巻 平凡社
株式会社虎屋 社史編纂委員会 『虎屋の五世紀』
高橋浩徳『大阪商業大学アミューズメント産業研究所紀要 第9号より 貝合わせと貝覆い』 ウェブサイト
・広島県教育委員会ホームページ
”草戸千軒展示室「よみがえる草戸千軒」ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)”(参照2022-11-26)
・徳島県庁ホームページ
”とくしま歴史文化総合学習館(徳島県立埋蔵文化財総合センター)レキシルとくしま 鳴門森崎の貝塚(県指定史跡)” (参照2022-11-26)
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この記事を書いたKLKライター

とも藤 代表
佐藤 朋子

京都市中京区の呉服店の長女として生まれ、生粋の京都人である祖母や祖母の叔母の影響をうけながら育つ。通園していた保育園が浄土宗系のお寺であったことから幼少期に法然上人の生涯を絵本などで学び始め、平安時代後期の歴史、文化に強い関心を抱くようになる。その後、浄土宗系の女子中学高等学校へ進学。2003年に画家の佐藤潤と結婚。動植物の保護、日本文化の発信を共に行なってきた。和の伝統文化にも親しみ長唄の稽古を続けており、歌舞伎などの観劇、寺社への参拝、院政期の歴史考察などを趣味にしていたが、2017年、日向産の蛤の貝殻と出会い、貝合わせと貝覆いの魅力を伝える活動を始める。国産蛤の⾙殻の仕⼊れ、洗浄、蛤の⾙殻を使⽤した⼯芸品の企画販売、蛤の⾙殻の卸、⼩売、⾙合わせ(⾙覆い)遊びの普及を⾏なっている。

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京都市中京区の呉服店の長女として生まれ、生粋の京都人である祖母や祖母の叔母の影響をうけながら育つ。通園していた保育園が浄土宗系のお寺であったことから幼少期に法然上人の生涯を絵本などで学び始め、平安時代後期の歴史、文化に強い関心を抱くようになる。その後、浄土宗系の女子中学高等学校へ進学。2003年に画家の佐藤潤と結婚。動植物の保護、日本文化の発信を共に行なってきた。和の伝統文化にも親しみ長唄の稽古を続けており、歌舞伎などの観劇、寺社への参拝、院政期の歴史考察などを趣味にしていたが、2017年、日向産の蛤の貝殻と出会い、貝合わせと貝覆いの魅力を伝える活動を始める。国産蛤の⾙殻の仕⼊れ、洗浄、蛤の⾙殻を使⽤した⼯芸品の企画販売、蛤の⾙殻の卸、⼩売、⾙合わせ(⾙覆い)遊びの普及を⾏なっている。

|とも藤 代表|貝合わせ/貝覆い/京文化

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