幕末維新の総合博物館として昭和45年に開館。

幕末維新の総合博物館として昭和45年に開館。

高台寺から二年坂に至る途中の坂道「維新の道」。その先にある霊山(りょうぜん)の山腹には、京都の街を見下ろすかのようにして、坂本龍馬や中岡慎太郎をはじめとする勤王の志士約400柱の墓が静かに並んでいます。「幕末維新ミュージアム 霊山歴史館」は、そのすぐ前に立つ大きな建物。わずか四半世紀という間に社会を変え、近代日本を開化させた幕末維新にフォーカスを当てたミュージアムです。

坂本龍馬を斬った刀(上)。持ち主は京都見廻組の桂早之助。

坂本龍馬を斬った刀(上)。持ち主は京都見廻組の桂早之助。

新選組の池田屋突入や試衛館道場(テレビ番組のセット)の様子を伝える模型。

新選組の池田屋突入や試衛館道場(テレビ番組のセット)の様子を伝える模型。

幕末の始まりとも言えるペリー来航の黒船模型が置かれた入り口近くには、坂本龍馬を斬った刀や、土方歳三と近藤勇の所用刀が。その大きさ、さび具合、現在でも鈍い光を放つ様子を眺めていると、大河ドラマや歴史書などで知っていた幕末が急にリアルなものに感じられます。1階では季節ごとに変わる企画展も開催されており、5000点もの膨大な所蔵品の中からテーマに沿った展示がされるので、それを楽しみに来る人も多いのだとか。

倒幕派と佐幕派の双方の展示が等しく並ぶ常設展。

倒幕派と佐幕派の双方の展示が等しく並ぶ常設展。

書家・杭迫柏樹氏による「至誠通天」の書が掲げられたエントランス。

書家・杭迫柏樹氏による「至誠通天」の書が掲げられたエントランス。

決戦前夜の覚悟を詠んだ土方歳三の絶句。

決戦前夜の覚悟を詠んだ土方歳三の絶句。

広々とした館内に、倒幕派と佐幕派の双方の史料がズラリと並ぶ2階常設展は圧巻の一言。坂本龍馬直筆の手紙をはじめ、龍馬の肖像画、近藤勇が書いた漢詩の屏風、土方歳三の絶句など一点一点が興味深く時が経つのを忘れてしまいそう。倒幕、佐幕の両方を対等に扱った展示は、霊山歴史館の初代館長である松下幸之助の「立場に関係なく、より良い社会を作ろうと命を懸けて戦った人たちがいることを今の若者にも知ってほしい」という意志によるもの。

実際に戊辰戦争で使われていた菊章旗。

実際に戊辰戦争で使われていた菊章旗。

様々な背景で写真や動画の撮影を楽しめるコーナー。

様々な背景で写真や動画の撮影を楽しめるコーナー。

幕末の出来事や人物の相関関係を分かりやすく解説したパネル。

幕末の出来事や人物の相関関係を分かりやすく解説したパネル。

この他にも、プロジェクションマッピング技術を駆使したフォトスポット「偉人の写真館」や、所蔵の逸品を高精細4Kクオリティで拡大できる「立体図鑑」、洋式銃や新選組が稽古で使った木刀(複製)に触れる展示などもあり、様々な角度から幕末維新を体感できるところが魅力です。

様々な幕末関連のグッズが並ぶ、1階ミュージアムショップ。

様々な幕末関連のグッズが並ぶ、1階ミュージアムショップ。

初代館長・松下幸之助が自ら書きつづった理念を伝える石碑。

初代館長・松下幸之助が自ら書きつづった理念を伝える石碑。

疲れたら、京都の街なみや霊山墓地に咲く桜を眺めて、ゆったり過ごすのもおすすめ。巡る季節と、その中でも変わらない人の意志に思いを馳せつつ、街歩きを楽しみませんか?

京都の街を一望。五山送り火の日には「ナイトミュージアム」が開催されることも。

京都の街を一望。五山送り火の日には「ナイトミュージアム」が開催されることも。

2024 年春の企画展「ペリーと吉田松陰」

日米和親条約締結から170周年となる2024年。ペリー来航当時に出回ったかわら版や、共に密航を試みた仲間を思いやる吉田松陰の和歌など、幕末維新の始まりを感じさせる展示が並びます。

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月刊京都

日本の故郷としての京都の観光と美術の随筆誌として本誌は生まれました。
京都に生れ京都を愛するひと、京都に学んだ方、京都に旅して京都を慕ふ方々の御愛読を願ってやみません。
この言葉は月刊京都創刊号の編集後記巻頭の言葉です。
創刊当時は随筆誌であったものの、ここに書かれた編集の志は今にも生かされています。
京都を慕い、京都を愛する全ての方々のための大人マガジン、
それが『月刊京都』です。

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