円安などの影響で、外国人観光客でひしめくようになった京都。もともとコロナ前から外国人観光客が多かったのは確かですが、今やその頃の比ではありません。清水寺や二条城では外国人の方の方が多いくらいです。そして外国人観光客のマナーを巡るトラブルも発生しており、京都観光に携わるものとして、ひどく心を痛めております。

京都を愛するメディアとして、何か建設的な動きができないだろうか。日々、京都は良いところだという記事を書いているのに、このような時に何もできないのか。

観光客には京都を存分に楽しんでもらいたいのは当然ですが、それと同じくらい、受け入れ側の市民を過度なストレスから守れないものでしょうか。両者の良い関係性を模索できないものでしょうか。そのために私たち「京都観光に関わる者」が何ができるか、京都観光に関わる仕事や取り組みをされている方、そして京都市民にも読んでもらって一緒に考えたいと思い、本稿を記します。

わたしが体験したトラブル

京都市民として生活する中でわたしが体験した、外国人観光客関連のトラブルを例にあげます。

外国人観光客への注意で起きたトラブル

風が気持ちいい5月の休日、わたしは友人と鴨川でピクニックをしていました。木かげにレジャーシートを広げ、お弁当を食べて、穏やかな時間が流れます。すると、近くのベンチにいた小学生低学年くらいの女の子が2人、こちらをチラチラと見ているのを感じました。

「2人の写真でも撮ってほしいのかな?撮ろうか?」とわたしは聞きました。女の子たちはもじもじしながら近づいてきて、驚くことを言いました。
「あのおじさんに、服を着てくださいと言いに行くので付いてきてくれませんか?」

どうやら、少し離れた場所にいる外国人の男性2人が上半身裸なのが気になるので、服を着てもらえるように説得しに行くとのことでした。英語は話せないのでスマホで翻訳したものを見せるそうです。
男性達が缶ビールを片手に気持ちよさそうに憩っているのはわたしの視界にも入っていました。でも止めさせそうとまでは思わなかったので、彼女たちの感覚の鋭さは現代的なものなんだろうかなどと驚き、「大人として」どう対処すべきか考えました。

彼女たちが自分の意見をもって、行動しようということは素晴らしいと思います。自主性にあふれています。でも、相手は大人の男性で、お酒を飲んでいて、裸です。これは子どもたちだけで行かせてはいけないなと思いました。たまたまわたしの友人が英会話ができて、かつ男性であったので女の子に付き添ってもらうことにしました。

女の子のうちの1人は気が強いようで、どんどん男性に向かっていきます。もう1人は怖がりはじめたので、わたしと一緒に待っていました。友人たちが話しかけてしばらくすると、「Get Out!Get Out!!」という怒号が響き渡りました。
少し距離があったので詳しくは分かりませんが、男性が明らかに怒っています。1人が怒っていて、片方が止めているようでした。ただ友人たちがそこから離れたら、それ以上何かをしてくることはなく、距離をとった後は穏やかな時間に戻りました。

女の子たちはしゅんとして帰っていきました。わたし達は「あなたたちは悪くないよ」とフォローをして、帰るまで見守りました。その後友人に何が起こったのか詳しく聞いたところ「日本人もここで服を脱いでいるから、自分たちだけが着る必要はない」と言って、男性は怒っていたそうです。
これは、そもそも「外国人だから」起こった問題ではなく、公共の場で服を脱ぐことを不快に思った人と、裸で気持ちよく過ごしているのに服を着ろといわれて気分を害した人のトラブルです。ただ、もしかしてこの男性は「外国人だから差別された」と受け取って怒ってしまったのかもしれません。であるとしたら、それはわたし達の落ち度です。この男性は長く京都に住んでいる人かもしれないし、インバウンドの観光客かもしれない。詳しいことは分かりません。
でも、自分はこのような体験をして、外国人からの怒号を聞いて怖くなって「京都ってこのままでいいのかな」と思ってしまったのは紛れもない事実です。様々な国の方と関わるにあたって、文化の違いを理解することは大切ですし、わたし達はそれができていなかったのかもしれません。それによって、残念なことに双方が嫌な気持ちになってしまいました。このことは「伝え方を失敗した」例として心に留めています。

京都市バスのアナウンスでのトラブル

路線にもよりますが、いま京都市バスはものすごく混んでいてぎゅうぎゅうです。すでにパンクしそうなのに、バス停にとまるたびに際限なく人を乗せるのは危険だなと日々思っています。晴れていたら自転車を使ったり、混んでいる路線を避けたり、地下鉄を使ったりと工夫をするようにしているのですが、それでも避けられないことがあります。

市バスの入口付近(内側)には黄色い線があり、この上に立つと扉が閉まりません。なので運転手さんから出来るだけ中に詰めるようアナウンスが行われます。1歩も動けないような時でも中に詰めなければならないので辛いのですが、このアナウンスをするときはバスの運転手さんも必死なのか、苛立っているような声の調子や発言内容になっていることが多く、市バスに乗りたくないなと思ってしまう理由の1つです。

外国の方がこの状況になってしまうのをよく見ます。運転手さんが日本語で何回もアナウンスをしているのですが、それが彼らに伝わらないような状況です。わたしのよく乗る路線では「詰めないから電車が発車できませんよ~!」と苛立って何度も繰り返す運転手さんがいるのですが、「そもそも日本語だから伝わってないのではないだろうか・・・」と感じます。何度も日本語で怒った後に、やっと機械音声の英語アナウンスを流されたこともありました。「英語版があるならもっと早く流したらいいのに!」と思ってしまいました。ちゃんと英語で説明している運転手さんも中にはいるそうで、本当に素晴らしい方だなと思います。

わたしは英語が得意ではなく、仕事でもプライベートでもいきなり英語が必要になるとたじろいでしまいます。しかし、毎日のように外国人観光客の方が利用して当然という状況であれば、準備や対策はするべきです。このようなことに遭遇するたびに、京都市の観光への対応もまだまだなのかなと悲しくなります。

京都市の対策

実体験である2つのトラブルを通して京都市への意見を申し上げましたが、京都市や京都市観光協会が頑張って色々な対策をしてくれていることも、仕事柄よく知っています。わたしのわかる範囲のものをいくつかご紹介しますが、本当はもっとたくさん多岐にわたってあるでしょう。インバウンドカフェという交流イベントもあるみたいですね。

手ぶら観光

市バスの中にスーツケースを持ち込む問題への対策です。
京都では、駅から宿泊施設まで荷物を運んでくれるサービスや手荷物預かりの場所がたくさんあります。ぜひ、このサービスを使ってほしいです!

朝観光・夜観光

とっておきの京都

込み合う日中(昼間)だけでなく、朝や夜に観光できる場所も提案されています。時間の分散化ですね。「とっておきの京都」では観光客が1か所に集中しないように、京都中心部以外の様々な場所の魅力を紹介し、観光地の分散化を狙っています。


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