KLK編集長の吉川忠男です。新規訪問先で採用難のお話を伺うことが多くなりました。コロナ禍明けで人流が戻ってきた頃は飲食業や観光サービス業での話が多かったですが、今年に入って2024問題が重なり運輸業はもちろん労働集約的な産業全般に採用難が拡がっていりようです。一方で長期的な戦力としての定期採用については労働集約型の産業だけでなくあらゆる業種において「思うような人が採れない」との声をお聞きします。また退職代行サービスなるものが出現したことは驚きでしたが、会社の価値観と入社される方の職業観とのミスマッチが入社して早々に露見してしまっているという見方もできるのではないでしょうか。
かくいう私どもの会社でも数年前まではそのようなことが頻繁に起こっていました。「こんなはずじゃなかった」と経営者は思うのですが、それはその時の新入社員さんも同じ気持ちだったかもしれません。どちらか一方が悪いということではなく、まずは根本的な価値観が合わない会社には入らない(採用しない)こと。そしてその会社なり組織が大切にしていることを求職者に最大限伝えることが大切です。その原点となるのが法人理念なのですが、はたしてその理念は求職者の目線で伝えられているでしょか。
たとえ相思相愛で入社した人であっても入社1か月も経てば「あれ?」と思うことが必ずでてくるものです。たとえ理念が浸透していたとしても、戦略や戦術という業務レベルのことになってくると発生する事象が多岐にわたりますので、どうしても掲げた理念と現場対応との乖離が起こります。社員さんは戸惑った時に「困ったサイン」を出しているはずなのですが、そのサインを会社は見逃していませんか。またそういうギャップは起こるのが前提でそれを双方が埋める方向で努力できるのかどうかが重要です。いわばお互いの価値観の共有です。
「そうはいっても会社には決まった仕事の仕方がある。何より経営方針を曲げてまで新しい人に添うことはできないよ。」と言われるかもしれません。それはその通りですが、その経営方針(理念)はまず既在籍の社員さんに思い通りに伝わっていますか。もし伝わっているなら新しい人にもある程度の時間がたてば伝わるはずです。でも既在籍の社員さんへの浸透も不確かなら新しい人に伝わるのは今まで以上に難しいかもしれません。なぜなら退職代行サービスが出現したように今の若い人は自分からコミュニケーションを取ろうとせずしかも見切りが早いのです。
会社や組織が目指す方向や大切にしている価値は会社理念や経営方針などの明文だけでは伝わりません。ではどうしたら伝わるのでしょうか。実はこの夏、介護施設など京都市内の社会福祉法人の理事長さんや施設長さんのお話を何人からか聞いてきました。それぞれの法人・事業所で採用や人材育成にお悩みをお持ちでした。私はもっぱらそのお話の聞き役でしたが今さらながら介護職というお仕事の尊さそしてそのご苦労に頭が下がる思いでした。そしてなんとかこの事業所に人を送り込むお手伝いをしたい、求職者とのベストマッチングを作りたいと強く思うようになりました。先ほど問題提起をした経営理念の見える化をまずは介護業界からこのKLKAcademy上で展開してみたいと思います。私のような第三者が聴きだして別角度から言語化した法人の理念が求職者にうまく伝わりますでしょうか、乞うご期待ください。